県警による強姦冤罪(えんざい)事件で服役後に無罪が確定した柳原浩さん(42)が、国や県などを相手に約1億円の損害賠償を求めた国家賠償請求訴訟の第4回口頭弁論が11日、富山地裁(田辺浩典裁判長)であった。
国側は、前回弁論で裁判所から捜査記録などを提出するよう要請されたのを受け、公判記録や公判未提出の「一部鑑定書」などの資料を提出した。しかし原告側は「ほかにも残っている資料はないのか」として、国に対しさらに資料の開示を求めた。
また原告側は、柳原さんの事件での警察、検察の捜査の違法性を立証するため、犯行を自供した松江市の男(54)の公判記録と捜査記録の開示の必要性を主張し、裁判所に対し送付嘱託を求めた。裁判所は送付嘱託の一部を採用し、柳原さんが誤認逮捕された2事件に関する男の公判記録と捜査記録の提出を要請した。
弁論後、記者会見した柳原さんは「(国は)まだ出していない記録について、積極的に出してほしい」と語った。
またこの日の弁論は、足利事件の菅家利和さん(63)ら全国の冤罪被害者4人が傍聴。志布志事件の川畑幸夫さん(64)は「(資料提出を巡る国側の対応に)自分の事件での検察の対応と重なり、怒りがわいた」と語った。布川事件の桜井昌司さん(63)は「裁判では真実を明らかにすべきなのに(国などが)証拠を隠していいのか」と憤りをあらわにした。【岩嶋悟】
毎日新聞 2010年3月12日 地方版