社説
首相批判発言 自衛隊は文民統制こそ(3月26日)
幹部自衛官の問題発言が相次いでいる。しかも最高指揮官たる鳩山由紀夫首相への批判とも受け取れる内容が含まれている。
文民統制が揺らいでいる。危惧(きぐ)を抱かざるを得ない。
発端は2月中旬に宮城県で行われた日米共同訓練での訓示だ。陸上自衛隊の前連隊長の1佐が日米の多くの参加者を前に「同盟は『信頼してくれ』などという言葉だけで維持されるものではない」と言い放った。
首相は昨年のオバマ米大統領との会談で米軍普天間飛行場の移転問題に関し「トラスト・ミー(私を信頼してほしい)」と伝えた。北沢俊美防衛相は前連隊長がこの首相発言を揶揄(やゆ)したとして、文書で注意した。
陸自幹部が公の場で首相批判とも受け止められる発言をするのは明らかに規律違反だ。防衛相は「クーデターにつながる」と危機感を表明した。処分は当然のことである。
ところが陸自第11旅団(札幌)中隊長の3佐が防衛副大臣と政務官に「連隊長の発言は総理の指揮統率を乱すものではない」と、この処分を批判するメールを送っていた。
第2特科連隊(名寄)でも中隊長の1尉が朝礼で、普天間問題での首相の対応を批判したという。
思い出すのは、田母神俊雄前航空幕僚長のことだ。一昨年、戦前の侵略を否定し植民地支配を正当化した論文を発表して更迭された。
にもかかわらず今回のような発言が繰り返された。実力組織の中に政治を軽んじる空気が広がっているのではないか。一連の発言が「氷山の一角」だとすれば事態は深刻だ。
自衛官が防衛政策などを研究し、上司に意見を述べることはあっていい。だが、それは組織の手続きにのっとって行われるべきものだ。
札幌の中隊長は口頭の注意処分とした。名寄の中隊長は厳重指導にとどめるという。そうした軽い対応で済まされることだろうか。軍部の独走を許した戦時中の苦い経験を忘れてはなるまい。
防衛相は今月、防衛省改革の有識者会議を発足させた。部隊の機能的な運用などの方策を探るという。
まず取り組むべきは文民統制を徹底させる仕組みづくりだ。教育のあり方を見直し、隊内に規律意識を根付かせる。それが急務だ。
首相にも言いたい。連隊長発言の後に行われた防衛大学校の卒業式の訓示で、日米同盟の重視を強調した。だが首相が真っ先に語るべきは、文民統制の大切さではなかったか。
シビリアン・コントロールを十分に機能させるには統率される側の規律意識とともに、指揮する側の見識と毅然(きぜん)とした姿勢が重要だ。首相は緊張感を持って臨んでもらいたい。
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