2010年度政府予算が今週中に成立する運びになりました。これによって鳩山由紀夫首相は背負っていた最も重い荷物の一つを下すことになります。しかし、重荷が消えることはプラスの面ばかりではありません。政治はしばしばそうですが重荷、課題が推進力になるからです。年度内成立が実現すると大きな目標がなくなることも意味します。
さらに今週は鳩山首相が「3月中には政府の考えを示す」と自ら設定した沖縄の普天間基地移設問題が大詰めを迎えます。23日には関係閣僚を交えて協議も行われる予定ですが、依然として①沖縄の気持ち②連立与党③アメリカ政府―という利害関係3者が丸く収まる案は一向に出てきません。
一方、民主党内でも生方幸夫副幹事長の“解任問題”が強烈なボディブローとして利き始めているように思えます。生方氏の “解任”によって小沢氏の「政治とカネ」をめぐる問題は、民主党全体の信用問題になったのです。「民主党には言論の自由がない」「国民が求めていた民主党ではない」…。生方氏の要求も受け入れられない、かといって信用失墜はどうしても避けたい。民主党は「進むも地獄、退くも地獄」という状況に追い込まれたのです。
3月年度末を迎えて民主党は大きな岐路に立たされています。過去の歴史を紐解いても参院選のある年の年度替りには実に多くに政治ドラマが展開されてきました。
1989年は竹下内閣がリクルート事件と消費税導入で行き詰まり、4月下旬に退陣。最近では2001年の3月に支持率急落の森喜朗首相が退陣を表明、4月に小泉純一郎氏が後継首相に就任しています。なぜこうした退陣劇が起きるのか。それは衆院選挙と異なり、参院選は選挙の時期を選択できないからです。「今の首相じゃ選挙を戦えない」となれば準備期間が設定しやすいのです。
首相退陣劇ほど大きくなくても参院選前にはいろいろなことが起きるものです。92年の細川護熙氏による日本新党結成、98年の参院選前には「自社さ連立政権」が崩壊しました。「与党効果が支持率に結び付かない」ということで社民党と新党さきがけが連立を離脱したのです。
自民党の鳩山邦夫元総務相の離党劇も参院選が念頭にあるからにほかなりません。永田町では5月の大型連休明けに向けて何が起きるか分からなのです。それが政治です。
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さて、私が出演しています「総力報道!THE NEWS」は今週の金曜日で放送終了となります。従いましてこのブログも今回をもって最終回とさせていただきます。この1年間に書いたブログが今回を含めて140回になりました。私自身は4月以降、フリーランスとして政治を中心に取材と発信を続けていきたいと考えています。番組の視聴とブログのご愛読を心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
2010年3月22日 後藤謙次