球場解体予算は通すが、廃止条例案は待った―。25日、広島市議会予算特別委員会が示した判断は、多数派工作の駆け引きがもたらした「妥協の産物」といえる。球場解体をめぐって賛否双方の関係者からも当惑の声が上がった。
解体費以外に議会が認めたのは、回遊性向上の検討費や概算工事費の算出費、完成予想図の作成費など約1億8300万円となる。議会が市の跡地計画を認めた形になる。
その一方、夏にも解体を予定する球場の廃止条例案は否決した。修正案に反対の議員からは「明らかに矛盾。意味が分からない」との批判が出ている。
これに対し、修正案を提出した会派のベテラン議員は「矛盾するのは確かだが、過半数を得るには条例の否決しか妥協点がなかった」と認める。市の跡地利用計画に反対する議員は「解体予算を通しても廃止条例が施行しなければ、予算は執行できないはず」と、その狙いを明かす。
この複雑な採決結果に対し、球場解体反対のパレードを企画した喫茶店経営の中川公一郎さん(50)は「まずは一歩前進だが、議会でのねじれ現象を理解できる市民は少ないのでは」と首をひねる。
市中央部商店街振興組合連合会の望月利昭理事長は「球場をなぜ、このままにするのか」と当惑。「商店街の客足は落ち込んでいる。市は次の定例会までに市民の意見をよく聞き、跡地利用策をまとめ解体に着手すべきだ」と求めた。
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