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「ATI Catalyst 10.3」登場。性能向上とノートPC用GPU初対応などトピック満載
対応製品は,デスクトップPC向けがATI Radeon HD 2000〜5000シリーズのGPUと,「AMD 740G」を除くAMD 7世代のチップセット。英文リリースノート内で「ATI Catalyst Mobility」とも呼ばれるノートPC向けが,ATI Mobility Radeon HD 2000〜5000シリーズのGPUと,「ATI PowerXpress」対応のチップセットだ。対応OSは,デスクトップPC向けがWindows XP・Vista・7,ノートPC向けがWindows Vista・7となる。
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※2010年3月25日22:20追記
初出時に,日本時間25日12:00時点で,日本語対応版の「ATI Catalyst Control Center」が公開されていないとしていましたが,GAME.AMD.COMではなく,AMDのサポートサイトでは公開されていたため,リンクを張り替えました。
ノートPC用GPUの対応や新機能追加に留まらず
パフォーマンス最適化の規模も大きい
とにかくトピックの多いCatalyst 10.3なので,どこから紹介したものか迷ってしまうのだが,機能面における最大の特徴は,やはりノートPC用GPUのサポートということになる。ドライバをカスタマイズして提供するメーカーもあるため,すべてのノートPCがサポートされるわけではないが,ゲーマー向けノートPCなどは,ほぼ対応すると考えていいだろう。
これまで,ATI Mobility Radeonのユーザーは,最新ゲームタイトルへの対応などで不利な状況に置かれることが少なくなかった。それだけに,今回のアップデートで“月刊Catalyst”の恩恵に与れるようになった意義は小さくない。
なお,対応製品,そして制限事項は下記のとおりだ。
●Catalyst Mobility 10.3で対応したノートPC向け製品
- ATI Mobiliy Radeon HD 5800シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 5700シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 5600シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 5400シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 5100シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 4800シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 4600シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 4500シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 4200シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon 4100シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 3800シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 3600シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 3400シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 3200シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon 3100シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 2700シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 2600シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 2400シリーズ
- ATI PowerXpress対応のAMD製ノートPC用チップセット
●Catalyst Mobility 10.3の制限事項
- 本バージョンのリリース後に発表されたノートPCは非対応
- Intel製チップセットを搭載し,Switchable Graphicsを採用したノートPCは非対応
- 東芝製ノートPC,ソニー製「VAIO」シリーズのノートPC,パナソニック製ノートPCは非対応(※従来同様,ドライバはPCメーカーから提供される)
このほか,新要素として挙げられているのが,Eyefinity周りの機能拡張と,3D立体視関連のアップデートである。後者は,あくまで開発者向けのサポートなので,今すぐユーザーメリットをもたらすものではないが,前者で,ベゼルコレクション(Bezel Correction)が有効になったのは,3枚あるいは6枚のディスプレイを並べてゲームをプレイできる,贅沢な環境を持っている人にとって,間違いなく福音だ。
なお,下記は,そんな機能拡張と,パフォーマンス引き上げ,そしてバグフィックスについて,英文リリースノートの和訳を試みたものになる。見てもらうと分かるのだが,パフォーマンスの引き上げも,相当に規模が大きい。一部よく分からない部分はあるものの,ここ1〜2年で最大規模といっていいのではなかろうか。
垂直リフレッシュレートを85Hzまでしか設定できない問題への対処など,ユーザーコミュニティの間で話題になったトラブルへの対応が進んでいるのもポイントが高い。一部,パフォーマンス最適化に関して,気になる情報がないでもないが(※1),基本的には,対象製品のユーザーが,自己責任で導入する価値のあるバージョンになっているとまとめられそうである。
●Catalyst Mobility 10.3で対応したノートPC向け製品
- ATI Mobiliy Radeon HD 5800シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 5700シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 5600シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 5400シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 5100シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 4800シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 4600シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 4500シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 4200シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon 4100シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 3800シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 3600シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 3400シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 3200シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon 3100シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 2700シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 2600シリーズ
- ATI Mobiliy Radeon HD 2400シリーズ
- ATI PowerXpress対応のAMD製ノートPC用チップセット
●Catalyst Mobility 10.3の制限事項
- 本バージョンのリリース後に発表されたノートPCは非対応
- Intel製チップセットを搭載し,Switchable Graphicsを採用したノートPCは非対応
- 東芝製ノートPC,ソニー製「VAIO」シリーズのノートPC,パナソニック製ノートPCは非対応(※従来同様,ドライバはPCメーカーから提供される)
●Catalyst 10.3におけるEyefinity周りの拡張
- 複数のEyefinityグループ構成機能追加
(※一つのシステムで二つ以上のEyefinity構成を利用可能になった) - ベゼルコレクション(Bezel Correction)機能の追加
(※マルチディスプレイ環境の構築にあたって,ディスプレイデバイス1台あたり,ディスプレイ解像度の5%分まで,「額縁部にもピクセルが存在すると仮定したディスプレイ配置設定」を,ウィザードから行えるようになった) - ディスプレイ単位の色・明るさ・コントラスト設定機能追加
- Eyefinityディスプレイ設定をプロファイルとして管理し,「ATI Catalyst Control Center」(以下,CCC)から切り替える機能追加
- クローンモードと拡張デスクトップモードの切り替え容易化
●Catalyst 10.3における3D立体視サポートの概要
- iZ3D製などの3D立体視対応ディスプレイに対し,「左右60Hzずつ振り分け,3D立体視を実現させる」ミドルウェアに向けた,Direct3D Quad Buffer(クアッドバッファ)サポートの追加
●Catalyst 10.3におけるパフォーマンス向上(※1)
- 「3DMark Vantage」の総合スコア
ATI Radeon HD 5000シリーズ:最大8%
(※すぐ下の項目と内容に齟齬があり,どちらが正しいのかは分からない。原文は「Overall scores increase by up to 8% with ATI Radeon HD 5000 graphics products」) - 「3DMark Vantage」の総合スコア
ATI Radeon HD 5800シリーズ:最大4%
ATI Radeon HD 5000シリーズ:最大3%
(※すぐ上の項目と内容に齟齬があり,どちらが正しいのかは分からない。原文は「Overall scores increase by up to 4% on ATI Radeon HD 5800 Series products and up to 3% on ATI Radeon HD 5000 Series products」) - 「Aliens vs. Predator」
ATI Radeon HD 5000シリーズ:最大5% - 「Battleforge」
ATI Radeon HD 5000シリーズ:最大8%
ATI Radeon HD 4800シリーズ:最大3% - 「バイオハザード5」
ATI Radeon HD 5000シリーズ:最大5%
ATI Radeon HD 4800シリーズ:最大3% - 「Call of Duty: World at War」
ATI Radeon HD 5800シリーズ:最大2%
ATI Radeon HD 4800シリーズ:最大6% - 「Colin McRae: DiRT 2」
ATI Radeon HD 5970:最大30%
ATI Radeon HD 5800&5700シリーズ:最大20%
ATI Radeon HD 4800シリーズ:最大10% - 「Company of Heroes」
ATI Radeon HD 5000シリーズ:最大6%
ATI Radeon HD 4800シリーズ:最大3% - 「Crysis」「Crysis Warhead」
ATI Radeon HD 5000シリーズ:最大6%
ATI Radeon HD 4800シリーズ:最大2% - 「デビル メイ クライ 4」
ATI Radeon HD 5000シリーズ:最大10%
ATI Radeon HD 4800シリーズ:最大6% - 「Enemy Territory: Quake Wars」
ATI Radeon HD 5800シリーズ:最大5%
ATI Radeon HD 5000シリーズ:最大3%
ATI Radeon HD 4800:最大2% - 「Left 4 Dead」「Left 4 Dead 2」
ATI Radeon HD 5000シリーズ:最大6%
ATI Radeon HD 4800シリーズ:最大4% - 「S.T.A.L.K.E.R.: Call of Pripyat」ベンチマーク
ATI Radeon HD 5000シリーズ:最大10%
(※アンチエイリアシング適用時) - 「S.T.A.L.K.E.R.: Clear Sky」
ATI Radeon HD 5970:最大2%
ATI Radeon HD 5800シリーズ:最大2% - 「Tom Clancy's H.A.W.X」
ATI Radeon HD 5970:最大15%
ATI Radeon HD 5800&5700シリーズ:最大20%
ATI Radeon HD 4800シリーズ:最大3% - 「UNiGiNE Tropics」
ATI Radeon HD 5000シリーズ:最大5% - 「World in Conflict」
ATI Radeon HD 5800シリーズ:最大5%,ATI Radeon HD 5700シリーズ:最大3%,ATI Radeon HD 4800シリーズ:最大5% - 「Wolfenstein」
ATI Radeon HD 5000シリーズ:最大4%,ATI Radeon HD 4800シリーズ:最大4%
※1 NVIDIAは,Catalyst 10.3におけるパフォーマンス面での最適化に対して,「FP16レンダーターゲットをR11G11B10レンダーターゲットへ引き下げるという手段を用い,古いエンジンを用いたゲームタイトルのいくつかで,画質を落としてパフォーマンスを上げる手段を講じた」と主張している。同社によると,その影響が見られたのは「Dawn of War 2」「The Elder Scrolls IV: Oblivion」「Empire: Total War」「Need for Speed: Shift」「Serious Sam II」「Far Cry」。ほかにも影響を受けるタイトルがある可能性が捨てきれないという。そういった情報が出ていることは押さえておきたい。
●Catalyst 10.3で解決した問題(Windows XP・Vista・7共通)
- 「3x1」(※ディスプレイ3台を横一列)または「1x3」(※ディスプレイ3台を縦一列)のEyefinity環境構成中に,対象となるディスプレイエリアに何も表示されなくなる問題
- CCCの「Avivo Video controls」の設定値を「0」にして無効化しても,その内容が保持されない問題
- デスクトップでCCCを開いているときにHDMI接続ディスプレイをホットプラグすると,「HDTV Standard Modes」のボックスが表示されない問題
●Catalyst 10.3で解決した問題(Windows XP)
- 「The Tower of AION」で,ゲーム内オプションからディスプレイ解像度を変更すると,画面表示がちらつく問題
- 「Adobe Flash Player 10.1」のセットアップ後,「Dailymotion.com」にある「Hulu」のビデオ再生中に,早送りや巻き戻しを行うと,Webブラウザがフリーズする問題
- 「The Saboteur」で,ビデオのカットシーンが正常に描画されない問題
- 「Adobe Flash」形式のビデオを「Hulu」上で再生し,その最中に早送りや巻き戻しを行うと,画面表示がおかしくなる問題
- 「Windows Media Player」からMPEG-2形式のビデオファイルを再生すると,画面表示がおかしくなる問題
●Catalyst 10.3で解決した問題(Windows Vista)
- Blu-ray Discで提供されるH.264インタレース形式のビデオを再生すると,散発的にフレームドロップが発生する問題
- 休止状態もしくはスリープからの復帰後,バックグラウンドでムービーを再生すると,画面に格子模様が表示される問題
- 「Heaven-OGL」もしくは「GL View」を実行し,終了させると,そのとき,画面に何も表示されなくなる問題
- Blu-ray Discで提供されるムービーの再生中に,CCCの「Basic Color」から色調補正を行うと,その適用がスムーズに処理されない問題
- 特定のマルチGPU環境で,ATI CrossFireX(以下,CFX)を無効化すると,その初回,画面に何も表示されなくなる問題
- 「Call of Duty: Modern Warfare 2」の「Act II: Exodus」で,レーザーポインタビームが正常にターゲットを補足しない問題
●Catalyst 10.3で解決した問題(Windows 7)
- CFXを有効化すると,「Shattered Horizon」で画面がまたたく問題
- ホットプラグしたデジタル接続ディスプレイで,サチュレーションの設定値が間欠的にデフォルトの0へ戻される問題
- (CCCから)「detail enhanement」を有効化すると「dynamic contrast」が機能しなくなる問題
- CCCのシステムトレイが,搭載しているGPUの数を正しくレポートしない問題
- 垂直リフレッシュレート85Hz以上のEDID override設定を行えない問題
- CV Connectedされ,かつ拡張デスクトップモード設定が行われていると,CCCの「Graphics Desktop Properties」から解像度(関連の項目)が消える問題(※「CV Connected」が何を指すのか不明のため,意味を取れない。原文は「 Resolutions no longer missing in Catalyst Control Center Graphics Desktop Properties with CV connected and displays in extended mode」)
- 「The Saboteur」で,アンチエイリアシングの強制適用が有効にならない問題
- (CCCの)「Digital Panel Properties attributes」から,「Enable GPU Scaling」を有効化すると,リフレッシュレートがデフォルトの60Hzに戻ってしまう問題
- DirectX 9/10世代のGPUを搭載した環境において,DirectX 11モードで「Aliens vs. Predators」を実行しようとすると,適切に起動しない問題
- マルチディスプレイをクローンモードに設定しているとき,プライマリとセカンダリのディスプレイ設定を入れ替えると,マウスカーソルが表示されなくなる問題
- ディスプレイをホットアンプラグして,再びホットプラグすると,いくつかのポートに接続されたディスプレイに何も表示されなくなる問題(※「ホットプラグしたほうではないディスプレイに何も表示されなくなる」可能性を指摘しているのではないかとも思われるが,よく分からない。原文は「 Displays no longer goes blank on some of the ports after display is hot-unplugged and then hotplugged back)」
- (地上デジタルテレビ放送規格の一つである)DVB-T形式のビデオコンテンツをメディアセンターから再生すると,画面表示がおかしくなる問題
- 「Empire: Total War」と「Napoleon: Total War」で,異方性フィルタリングを強制的に適用すると,画面表示がおかしくなる問題
- 関連タイトル:
ATI Catalyst
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