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3月20日(土)付 

大島支庁長に松田典久氏―県職員異動 
 県は19日、4月1日付の定期人事異動を発表した。知事部局の異動規模は前年度より197人多い2439人。伊藤祐一郎知事の直轄組織として新設される知事公室の室長に布袋嘉之商工労働部長(55)が起用され、機構改革で設ける環境林務部長に内門公孝環境部長(58)、商工労働水産部長に白橋大信大隅地域振興局長(58)がそれぞれ就く。奄美関係では退職する元山義和大島支庁長の後任に松田典久保健福祉部次長(55)が就く。伊喜功大島支庁総務企画部長(56)は部長級の大阪事務所長に昇任する。沖永良部事務所長も動く。
 異動者数は、支所(駐在)の本所への集約など一連の地域振興局・支庁体制の最終確立で増えた。ポスト別の異動規模は部長級21人、次長級56人、課長級209人、課長補佐級663人など。新規採用は前年度より15人多い68人。退職者は30人少ない186人。
 今回の異動について篠原俊博総務部長は「施策の円滑な推進を図るため適材適所を基本にした」と話した。2007年度スタートの民間採用で10年度は1人を採用。09年度スタートで初年度10人を採用した離島市町村職員の割愛採用(3年程度)も継続し、新たに3人を採用した。係長以上ポストでの女性職員割合は前年度と同じ7・6%。
 部長級の異動では、総務省に戻る篠原総務部長の後任に同省出身の三橋一彦総務部次長(40)が昇任。保健福祉部長に西中須浩一議会事務局長(58)、商工労働水産部観光交流局長に福壽浩総務部次長(54)、東京事務所長に古川仲二農政部次長(55)、議会事務局長に平田武志東京事務所長(57)がそれぞれ就くなどする。
 大島支庁長に就任する松田氏は鹿児島市出身。東京大経済学部卒後、県庁入り。国際交流課長、保健医療福祉課長など歴任して07年4月から現職(保健・医療担当)。
 同時に発表された県立病院局の人事異動の規模は前年度より26人少ない150人。大島病院関係では眞田純一副院長を新設の地域医療連携室長兼務とし、地域救命救急センター設置に向けた専任職員も配置するなどした。
勝浦トンネルが開通 
 瀬戸内町勝浦と奄美市住用町役勝を結ぶ国道58号・網野子バイパス(総延長6・8キロ)の整備で19日、瀬戸内町内の勝浦トンネル(1・1キロ)が供用開始された。県や町など関係機関や地域の代表ら約60人が安全祈願祭や開通式に臨み、参加者は「網野子バイパスの早期完了」に期待を膨らませた。
 網野子バイパスは網野子トンネル(役勝―網野子、延長4・2キロ)や勝浦トンネル(網野子―勝浦)を設け、奄美大島の国道58号(延長約71キロ)で最後の難所とされる網野子峠越えを解消する計画。2003年度着手した。総事業費は約170億円を見込む。距離で3・4キロ、車の移動時間で約10分短縮される。
 県は10年度、国道の改良事業でおがみ山バイパス(奄美市名瀬)に先行して網野子トンネルの本体工事に着手する。網野子バイパス全体の完了は5、6年後を見込む。
 勝浦トンネルは05年度に着工した。事業費は約37億円。瀬戸内町道網野子・節子線との交差点まで1・5キロが同日、供用開始された。開通式で、房克臣町長は「トンネル整備は交通安全の確保や地域住民の利便性、町の活性化につながる」とあいさつ。網野子トンネルの早期着手にも謝意を述べた。元山義和県大島支庁長は「奄美大島を縦断する国道は観光や経済を支える上でも重要な道路。地域振興で網野子トンネルの早期完成に努めたい」と語った。
 テープカット後、地元の阿木名中学校生を先頭に通り初めをした。
早く一人前の織り手に―紬技術専門学院で修了式 
 本場奄美大島紬技術専門学院(校長・田川盛二紬協組理事長)の2009年度修了式が19日、奄美市名瀬の紬会館であった。30期の本年度は3人が大島紬製織の技術を学んだ。紬業界や行政の関係者は「大島紬の素晴らしさを全国に広めて」と修了生の今後に期待した。
 田川校長は「大島紬再生のために業界一丸で取り組んでいる。修得した技術を大島紬の発展のため、自身の向上のためにも役立てて」とあいさつ。一人ずつ修了証書を手渡した。
 来賓祝辞で、朝山毅奄美市長と上原守峰県大島紬技術指導センター館長は、「織りの技術は体で覚えた特有の技術。その宝を産地の宝となるようさらに技術向上を」と激励した。
 修了生代表謝辞で川畑小春さんは、指導員らに感謝しつつ「(製織は)毎日が自分自身との戦いだと知った。初めて織り切った感激は一生忘れない。早く一人前の織り手になりたい」と決意を述べた。
 同学院の修了生は30期生を含め421人。紬協組によると、3人は次年度も引き続き研修生として、学院で織りの技術を学ぶという。

3月20日(日)付 

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伊子茂校区に新中学校―加計呂麻規模適正化推進委で本部提案

 瀬戸内町の第1回加計呂麻地区中学校規模適正化推進委員会は19日夜、同町加計呂麻島の押角小中学校体育館であった。房克臣町長のほか、町議会議員、同島内6中学校のPTA、校区住民代表など委員23人が出席。会長に上田敏也教育委員長を選んだほか、(1)新中学校の数や場所(2)新設・既設校利用の別―の2点について議論を深めた。
 同町は過去の町立中学校規模見直し審議会答申や町教育委員会意見書などを踏まえて2009年10月、房町長を本部長とする瀬戸内町立中学校規模見直し推進本部を立ち上げ、初回会議で、同地区推進委の設置を決めた。推進委では今後、同推進本部から提案された協定項目などについて調査、審議する。
 初回会合では同本部事務局が複式学級、各教科免許外教員による授業の解消、地理的条件などを理由に「新中学校は1校とし、場所は『伊子茂校区』とする」、町の現状とできるだけ早い時期の統合を進めることなどを勘案し、「既設校の伊子茂中学校を利用し、年次的に施設整備を行う」と提案。施設整備について、「プールは水泳指導を行う上で不可欠。体育館などを合わせた複合施設を検討している」とした。
 委員からは「学校は1つにまとめた方が生徒にとってもプラスの面が多い。多様な考えに触れることができ、専門の教員から学べる」「できるだけ早い統合を望む。野球やテニスもできる広いグラウンドの整備を」「生徒数の推移をみると、統合しても10年後には子どもが半減する。施設整備には長期的な展望をもった投資をするべき」などの意見があった。

ロゴマーク決まる―「あまみ弁当」「アマミムラサキ」

 奄美市が地域ブランドとして認定した「あまみ弁当」「アマミムラサキ」のロゴマーク審査が19日、奄美市役所であり、2点の優秀賞を選出した。弁当は中野寧々さん(14)=名瀬中=、アマミムラサキ(加工食品)は川田悠さん(15)=同=の作品が選ばれた。
 審査はあまみ長寿・子宝ブランド選定委員会(会長・越間多輝鐘奄美大島観光物産協会長)が実施した。弁当は155点、アマミムラサキは57点の応募があった。今回は地元中学校の関心が高く、弁当、アマミムラサキ合わせて183点もの応募があった。
 島内外でのイメージアップ、他商品との差別化、生産拡大などの観点から審査した結果、中野さんと川田さんの作品が選ばれた。2人の作品は今後、ロゴマークシールやパンフレット、弁当のかけ紙など広く使用される。
 「あまみ弁当」「アマミムラサキ」は県が進めるあまみ長寿・子宝プロジェクトの一環。昨年11月に審査があり、弁当11点、アマミムラサキ4点を選出。弁当は炊き込み風鶏飯やニガウリギョーザなど彩りも豊か。アマミムラサキはハンダマ茶や紫コーシャマン(ヤマイモ)の食パンなどユニークなものが多く、人気となっている。

東京駒場で「南西諸島の生物多様性地域戦略」フォーラム

 南西諸島の生物多様性地域戦略の策定を目指す日本生態学会フォーラムが19日、東京大学の駒場キャンパスであり、昨年、世界自然保護基金(WWF)ジャパンが取りまとめた同地域の「生物保全地図」を報告を基に学者、NGO、行政のプレゼンテーター、聴講者が生物多様性地域戦略の必要性について、活発な意見を交わした。その中で鹿児島、沖縄両県のデータの交換やステークホルダー(地域社会)の連携、幅広い分野の人々の参加など戦略の在り方が主張された。
 プレゼンテーターは3人。WWFジャパンの安村茂樹さんは、同ジャパンが2006年から09年までの3年間、専門家ら50人以上の協力を得て作成した南西諸島の生物多様性の保全上重要な地域を取りまとめた地図について報告。その中で「生物多様性地域戦略」を目指す国や鹿児島、沖縄両県の同地図に対する評価やデータの重み付けやデータベースの改良と更新の課題を提起した。
 琉球大学理学部の久保田康裕さんは「島嶼(とうしょ)をモデルシステムとした生物多様性分布の定量手法について」と題して話題を提供。同地図に対して「静的な多様性マップから(時間、地域に即した)“動く”マップの必要性」を強調。今後、行政側の有するデータも積極的に公開すべきだと主張した。
 環境省那覇自然環境事務所の奥田直久さんは「地域戦略策定や保全管理施策充実に向けた研究成果の活用可能性について」と題して話題を提供。(1)南西諸島(特に奄美と沖縄)間の連携、共通課題の設定(2)行政調査と民間調査の役割分担(相互補完)(3)地域協同型研究の在り方を主張。中でもステークホルダーの人々の協力、地域の情報センターの指定などが「戦略」に欠かせないことを強調した。
 会場は多くの学者や学生、生物関係機関の聴講者で満席となった。その中で「同戦略の担い手は科学者ばかりでなく、いろんな分野の専門家を交えて検討すべき」との意見もあり、あらためて「生物多様性地域戦略」の在り方の方向付けの難しさを印象付けた。

3月22日(月)付 

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花の島を楽しく駆ける―沖永良部ジョギング大会に1014人

 和泊町の春のスポーツイベント「第29回花の島沖えらぶジョギング大会」(同実行委員会主催)は21日、笠石海浜公園を発着点にあった。12年ぶりに参加者が千人台を記録。ランナーたちは沿道の景色を楽しみながら、さわやかな汗を流した。
 昨年を63人上回る1014人がエントリーした。コースの内訳はファミリー(3キロ)670人、ソフト(5キロ)、ハーフ(21・0975キロ)67人、ハーフリレー(同)30組180人。
 開会式で大会会長の伊地知実利町長は「大会は競争ではない。自分の体調に気を付けながら楽しんでほしい」とあいさつ。午前9時の号砲とともにハーフの走者が一斉にスタートした。
 人気の高いファミリーコースはベビーカーを押す参加者や手をつないで走る親子の姿も。沿道の声援に後押しされながら、思い思いのペースで春のエラブ路を駆け抜けた。

黄砂、奄美地方をすっぽり覆う

 日本列島が強風に見舞われた21日、中国大陸から飛んでくる黄砂が広範囲で観測され、奄美地方も同日朝から薄いベールに包まれた。
 名瀬測候所によると、同日午前9時現在、奄美市名瀬では視界が2・5キロまで低下した。洗濯物や車への砂の付着やマスク姿の買い物客も目立った。
 気象庁によると、黄砂は中国大陸の砂漠で吹き上げられた砂が、偏西風に乗って飛来する現象。黄砂は22日も広がる見込み。

中央林道で32羽確認―オオトラツグミ一斉調査

 NPO法人奄美野鳥の会(鳥飼久裕会長)が毎年実施している「オオトラツグミさえずり一斉調査」が21日早朝、奄美大島の林道などであり、島内外から129人が参加した。奄美中央林道では32羽のさえずりを確認。昨年より19羽減少し、2000年の29羽に次ぐ少なさとなった。同会の高美喜男副会長は、個体数減少の可能性も含め警鐘を鳴らすとともに、生息環境保護の重要性を強調した。
 一斉調査は、奄美大島だけに生息するオオトラツグミ(国指定天然記念物)の個体数を把握して希少種の保護につなげようと、1994年から毎年、ボランティア調査員の協力を得て実施している。
 調査は夜明け前の午前5時半から1時間、奄美市から宇検村までの奄美中央林道を中心に行われた。参加者は奄美中央林道を中心とする金作原、川内、神屋、赤土山のほか、奄美市住用町のスタルマタ、瀬戸内町の各エリアに分かれ、2〜3人1組で片道2キロを往復し調査を行った。
 往路はオオトラツグミのさえずり、復路はオオストンオオアカゲラの鳴き声やドラミング(木をくちばしでたたく行為)の音を聞き取り、音のする方向や時間を地図に書き込んだ。
 調査員数は昨年より12人少ない129人で、島外からの参加も。長野県在住の待井紗也佳さん(23)は、この日は残念ながらさえずり確認はできなかったが「前日の補足調査では数回聞いた。オオトラツグミ以外の野鳥の鳴き声も聞け、奄美の自然の豊かさを肌で感じた」と感動した様子で話した。
 奄美中央林道以外の確認数は計25羽で、一斉調査の合計確認数は57羽(昨年73羽)だった。
 奄美中央林道の一斉調査でのさえずり確認羽数は07年の78羽が最多。次いで05年の68羽、99年49羽、06年47羽の順。高副会長は「風が強くさえずりが聞き取りにくい部分もあったが、減少の理由はそれだけではないと思う」と述べ、個体数減少の可能性も指摘。「中央林道以外の補足調査(4月上旬まで)の結果も含め分析しなければならないが、森林保護や外来種駆除などの取り組みも必要」と訴えた。

3月23日(火)付 

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春風に揺れ紫の花房―イルカンダ咲く

 奄美大島の山林で、大型のつる性植物イルカンダ(マメ科)が開花期を迎えた。ブドウの実のように紫色の花が房状に垂れ下がり、新緑の野山に彩りを添えている。
 主に奄美、沖縄に分布する。和名は沖縄の方言が由来。「ウジルカンダ」とも言い、鹿児島県のレッドデータブックで「絶滅危惧(きぐ)U類」に位置付けられている。

「米軍基地はいらない」―新日本婦人の会支部が奄美市で街頭活動

 新日本婦人の会奄美支部(荒田まゆみ会長)は22日、奄美市名瀬の中心市街地で「基地はいらない」奄美行動を展開、通行人らに「米軍普天間基地を無条件撤去させよう」と訴えた。
 会員らは「徳之島への基地移設反対」「日本中どこでも基地はいらない」などと大書した紙を手に街頭活動。
 荒田会長は通行中の人や車両に向かって、「沖縄の人たちと連携しよう。基地被害に苦しむ沖縄の現実を広く知らせよう。基地を押し付ける地域振興策では地元経済は活性化できない」などと語り、米軍普天間基地の無条件撤去を訴えた。

「ユリ産業の祖」末裔ブルー・ジェームスさんが先祖ゆかりの島訪問

 沖永良部島のユリ産業の祖といわれる英国商人アイザック・バンティング氏の末裔(まつえい)に当たる女性が21日から来島している。女性はプルー・ジェームスさん(70)=英国在住=。ゆかりの地であらためて先祖の功績に触れ、地元の人々と親交を深めている。
 ジェームスさんはバンティング氏の兄のひ孫に当たる。70歳の記念に先祖の足跡をたどろうと以前から交流を深めていた志學館大学の逆瀬川純行教授と来島した。
 バンティング氏は1850年、老舗養樹園の5男として生まれ、日本に渡って商事事務所を構えた。各地でユリ根やカキ、ツバキの苗などを仕入れ、沖永良部を訪れたのは明治30年代。和泊でユリ栽培を手掛けていた市来崎甚兵衛を通じてユリ取引を始め、栽培から荷造りまでを指導したとされる。
 バンティング家の研究者でもあるジェームスさんは沖永良部の研究者とも交流。和泊町歴史民俗資料館では先田光演さんからユリ栽培の歴史やバンティング氏の功績について説明を受けた。
 念願の初来島に「島の振興に貢献できたことは家族にとっても誇り。熱意と冒険心にあふれた人物像が浮かんでくる。地元の人々の歓迎にも感動した」と感慨深げな表情。沖永良部には23日まで滞在し、帰国後は旅の思い出を家族や関係者に伝えたいとしている。

3月24日(水)付 

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普天間基地の徳之島移設、反対の声を政府に―徳之島3町長

 米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の訓練施設移設案の一つに徳之島が浮上して波紋が広がる中、徳之島3町長は23日、記者会見し、28日に天城町総合運動公園野球場で移設反対郡民大会(同実行委員会主催)を開催すると正式に発表した。数千人規模の大会を見込み参加を呼び掛けている。
 会見は天城町役場町長室であり、大久幸助天城町長が「徳之島への移設案が消えない。島民は落ち着かない状態が続いており、大々的にアピールする必要がある」などと大会を計画した経緯を説明した。
 政府に徳之島を含む県外移設案があることを警戒する大久保明伊仙町長は「現実的な問題になりつつある。賛成派がいることも一部で報道されており、郡民が一体となった大々的な反対の大会を開催し政府に訴える必要がある」と述べた。
 高岡秀規徳之島町長は「候補に挙がる前に3町であらためて表明する必要がある」と述べ、「移設反対だけでなく米軍基地の廃止も同時に訴えるべき」と指摘。大久保、大久両町長も同調した。
 M日夜に予定されている普天間基地移設をめぐる関係閣僚の協議で、徳之島案が持ち上がった場合について大久町長は「要請があっても絶対会わない」と拒否の姿勢を示し、高岡町長は「個人的には反対の立場で話を聞くべきだと思うが、いずれにしても3町長で歩調を合わせて対応する問題」と語った。
 同実行委員会は徳之島3町と3町議会を中心に奄美群島市町村会や市民団体など約60団体で構成。大会には代議士や県議らも出席予定。各種団体決意表明や大会決議表明を行う。同日午後1時半開始。雨天時は同野球場近くの屋内施設「スパーク天城」である。当日はカンパも募る予定。問い合わせは電話0997(82)0412同実行委員会事務局(徳之島の自然と平和を考える会)へ。
徳之島町議選が告示、定数十六に20人立候補
 任期満了(4月21日)に伴う徳之島町議会議員選挙は23日告示された。定数16に対し、予想されていた20人が立候補。投票は28日に行われ、即日開票される。
 立候補者の内訳は現職14人、新人6人。女性は1人。党派別では共産が1人で他は無所属。届け出を済ませた各候補者は、選挙事務所前などで支持者らを前に第一声を上げたり、選挙カーで町内を回って立候補あいさつ。街頭演説する姿も見られた。
 前回選挙(2006年3月)から議員定数は16人。選挙戦は従来同様、地縁や血縁を頼りとした展開が予想されるが、混戦模様。各候補は農業振興や地域活性化、福祉の充実などを政策に掲げており、徳之島に浮上した沖縄駐留米軍基地の訓練施設案も争点の一つとなっている。
 投票は28日午前7時から午後6時まで町生涯学習センターなど12カ所で行われる。開票作業は同センターで午後8時に始まる予定。前回選挙では同11時ごろに当落が判明している。
 12日現在の登録有権者数は9651人(男4657人、女4994人)。前回選挙の当日有権者数は9946人(うち投票者総数8402人)で、投票率84・48%だった。
奄美市議会、議員定数「2減」を可決
 奄美市議会3月定例会は23日、本会議を開き、2010年度一般会計当初予算案など予算議案16件と条例関係など予算外議案9件の計25議案を可決。現行26の議員定数を2減らして24とする条例改正案を全会一致で可決した。また、人事案件では、M田龍太郎氏(64)の辞職に伴う副市長について、総務部長の福山敏裕氏(59)を選任することに同意。人権擁護委員候補者に、金城三雄氏(65)=名瀬有屋町=、重信千代乃氏(54)=名瀬伊津部町=、山野裕子氏=(60)=笠利町=、南武秋氏(72)=笠利町=を推薦することに同意した。核拡散防止条約(NPT)再検討会議での「ヒロシマ・ナガサキ議定書」採択に向けた意見書案と「離島振興事業の推進」に関する意見書案を全会一致で可決した。
 議員定数削減の条例改正案は、特別委員会が提案。師玉敏代副委員長は人口類似都市の定数状況や市の地理的特徴などの検討経過を説明。「行政側にも副市長1人、自治区長廃止などといった改革が進められており、全会一致で2名削減と決した」などと報告した。
 条例は、2011年11月に任期満了となる次回市議選から適用する。
 副市長人事案件の採決は、議長を除く議員25人が無記名投票を行い、賛成25、反対ゼロだった。
 福山氏は日本大卒、1975年に旧名瀬市役所入り。人事秘書課長、地域活性課長、保健体育課長、行政改革推進課長などを経て07年に総務部長に就いた。福山氏は「朝山市長の下、市議会の協力をいただきながら、元気で明るい奄美市づくりに職員と一緒に取り組む」などとあいさつした。
 10年度一般会計総額は09年度当初比3・2%(9億1767万3千円)増の295億3006万3千円。主な事業は、末広・港土地区画整理事業に13億5200万円、金久中学校校舎建築事業に3億4800万円、乳幼児医療助成に6560万円、へき地児童生徒援助に1億1840万円など。

3月25日(木)付 

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宇検、名瀬のサクラはオオシマザクラにあらず
 「オオシマザクラ」とされていた奄美市名瀬の高千穂神社境内と宇検村田検の山中にあるサクラが専門家の鑑定で別のサクラであることが分かった。調査した森林総合研究所森林バイオ研究センターの勝木俊雄主任研究員によると、2カ所のサクラは同じ種で、葉などの特徴から九州南部から種子・屋久に分布する「ツクシヤマザクラ」の可能性が高いとしている。高千穂神社の黒木正和宮司は「神社関係者からヤマザクラと聞いてはいた。長年の疑問が解決できてよかった」と話している。
 22日に来島したのは勝木主任研究員と同研究所森林遺伝研究領域の加藤珠理特別研究員の2人。勝木主任研究員によると、調査は日本のサクラの分類を目的に2009年度に始まったプロジェクトの一環。各地を回って試料(葉)を採集し遺伝子による分析を進めている。
 高千穂神社のサクラは1935(昭和10)年、同神社が県社になった記念に寄贈され、宇検村田検のサクラは約120年前に峠で茶屋を営んでいた同集落の西山梅次郎さんが植えたものとされる。
勝木主任研究員によると、いずれのサクラも葉周囲にあるノコギリ状のきょ歯がオオシマザクラに比べ短く、葉の裏がオオシマザクラは表と同じなのに対して白い点などが異なっている。勝木主任研究員は「もともと奄美にあったものではなく、種子・屋久から持ち帰ったものと思う」と推定している。
黒木宮司によると、高千穂神社のサクラの由来に関する資料は残ってない。以前、植物の専門家に鑑定を依頼し、「オオシマザクラと思っていた」という。周辺には黒木宮司が実生苗で育てたサクラも10本ほど植えられ、勝木主任研究員は特徴から境内にあるヒカンザクラとの雑種とみている。
 勝木主任研究員によると、ヤマザクラの南限は日本では種子・屋久だが、台湾にも近縁種があり、「奄美にあってもよく、気になっていた」と話す。
 遺伝子分析による品種の最終的な結果は1年後に判明する予定。
奄美漁協龍郷支所が龍郷湾で藻場造成事業実施
 「生き物のゆりかご」と呼ばれる藻場回復に役立てようと、奄美漁業協同組合龍郷支所(田畑浩支所長)は24日、龍郷湾(笠利湾)で藻場造成事業を実施した。組合員らはホンダワラとアマモを育成するための藻場ブロックを投入した。
 作業は龍郷支所の組合員を中心に行われ、株式会社マリン・コアと新日鉄エンジニアリング、株式会社エヌジェイ・エコサービスが協力。午前9時前に龍郷町芦徳漁港に集合し、ブロックを入れるためのかごの作成など準備をした後、芦徳と赤尾木の2カ所にブロックを投入した。
 ブロックはエヌジェイ・エコサービスが開発した。家庭ごみを高温溶解処理したリサイクル砂(溶解砂)を活用し、(1)1700〜1800度の高温溶解で重金属の含有度が低い(2)ミネラル成分(シリカ、カルシウム)で構成され、海藻類や植物に対する肥料的な役割がある―といった特徴がある。
 ホンダワラはかごの下にブロックを積み、上から付着させる。アマモはブロックに茎を植え込む方法(田植え式)で育苗する。龍郷支所は今後、定期的に藻の育成状況を確認する。作業を終えて田畑支所長は「奄美の海を守っているのは藻場とサンゴ、小さな生き物たち。藻場は魚の産卵の場、隠れ場所にもなるが、近年は激減している。少しずつでも回復させたい」と話した。
 藻場再生は漁業振興の大きな課題。県水産技術開発センター(指宿市)は奄美でも地元漁協青年部と協力して造成事業を進めている。奄美大島では奄美市笠利町佐仁と龍郷町安木屋場、瀬戸内町白浜の3カ所で実施。天然の藻が生えている佐仁地区で育苗した藻を安木屋場地区に投入している。
 奄美群島水産青年協議会(田畑浩会長)は17日、宇検村佐念で階段状ブロックを設置した。藻場再生に向けた取り組みが奄美各地で広がっている。
各地で小学校卒業式、嘉鉄小では1人の旅立ち祝う
 奄美各地の小学校で24日、卒業式があった。群島内の卒業生約1240人が、保護者や在校生に見守られながら学びやを後にした。卒業生ゼロは西阿室、池地の2校。卒業した児童は来月6日に中学校の入学式を迎える。
 瀬戸内町の嘉鉄小学校(上園光行校長、児童20人)の第62回卒業式は同校体育館で行われ、ただ一人の6年生、重田海慈君の旅立ちを祝った。
 海慈君は7年前、家族と共に京都から移住。幼稚園、小学校と嘉鉄集落で過ごしてきたが、両親の都合により4月から京都の中学校に通うことになった。この日は多数の地域住民が、島を離れる海慈君の門出を見守った。
 式では上園校長が「どこに行っても嘉鉄の皆が応援団。苦しい時も夢を忘れず努力してほしい」と式辞。在校生が、共に過ごした日々を振り返り「僕たちは海慈兄ちゃんが大好きです。嘉鉄魂を忘れず頑張ってください」とエールを送った。
 海慈君が「6年間で心も体もこんなに大きくなりました。嘉鉄小で学んだことを胸に、立派な中学生になります」と誓い、全児童で「ビリーブ」を熱唱。最後は在校生全員による「いきゅんにゃ加那」三味線演奏で、海慈君を送り出した。
 母親の直花さん(39)は「集落の皆に温かく見守られ、おおらかでたくましい嘉鉄っ子に育った。どこに行っても頑張ってくれると思う」と話した。

3月26日(金)付 

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知事、徳之島3町長ら官房長官に「県内移設反対」を要請

鹿児島県の伊藤祐一郎知事や金子万寿夫県議会議長らは25日、総理官邸を訪れ、平野博文官房長官に「米軍普天間基地代替施設の本県内への移設は県民の理解が到底得られる状況にない。県民の不安を解消し、安全を確保する立場から本県内の移設を行わないよう強く要請する」などとした反対要請書を手渡した。
 伊藤知事は要請後、報道陣に対し、「わが国の安全保障に責任を持つ政府としての基本的な認識を示すこともなく、地元への説明や意見もなく、住民は強い不満と衝撃を受けていると訴えた」
「長官は戦後の米軍の在り方などについては述べたが、具体的なことについては言及しなかった」と話した。
 要請には知事と議長のほか、県内で基地の候補地として名前が挙がっている徳之島3町長、西之表市・馬毛島の長野力市長らが同行。
 天城町の大久幸助町長は「徳之島は農業の島としてビジョンを描いている。今回の官邸訪問は『島民は基地移設に反対ですよ』という意思表示をしっかりと伝えるための要請」などと述べた。
 伊仙町の大久保明町長は「長官の話は総論的なことだったが、ただ、沖縄県民の基地負担を分散するために本県内に移設では困る。今後、地元3町含めて断固反対の立場を訴えていきたい」などと話した。

新須古橋が完成、通り初め式

 県大島支庁瀬戸内事務所が宇検村須古地区に建設を進めていた新須古橋が完成し25日、開通式があった。新須古橋は湯湾―須古を結ぶ延長90・5メートルの車両専用道路。新橋りょうの開通に伴い、昨年4月から続いていた全面通行止めも解消した。関係者からは「交通安全や経済活動に貢献する」と期待の声が相次いだ。
 開通式はこの日午前11時から行われた。神事に続いて住民が早速、渡り初めし、新しい橋りょうの感触を足で確かめた。祝賀会で國馬和範村長は「新須古橋の完成で交通安全の確保など課題が一気に解決した。道路の整備充実は村民の利便性向上、経済活動に大きく貢献する」とあいさつした。
 新須古橋の建設は主要地方道・名瀬―瀬戸内線の特殊改良工事(須古工区)の一環。総事業費は10億9千万円。事業期間は2005〜10年度。新須古橋を含む延長445メートルを2車線にする。新須古橋は車道幅員6・0メートル、歩道2・5メートル。須古橋(旧橋りょう)は10年度中に改良し、歩行者専用道路として使用する。
 主要地方道路・名瀬―瀬戸内線は総延長101キロ。奄美市と大和村、宇検村を経て瀬戸内町に至る。住民の生活や産業を支え、災害時には国道p号を補完する重要な道路。宇検村の須古橋は老朽化が著しい上、道路幅員が狭く交通に支障があった。昨年4月23日には橋りょうに新たな損傷が見つかり、全面通行止めとなっていた。

避粉地PR事業展開へ―長寿・子宝プロジェクト推進協

 県が進める「あまみ長寿・子宝プロジェクト推進協議会」(宮廻甫允会長、委員9人)の2009年度最終会合が25日、知名町のホテルであり、事業の取り組み状況が報告された。10年度は新たに「スギ花粉の少ない島あまみPR事業」を実施。出席者から「子育て」をテーマにしたプログラム導入を求める意見が上がった。
 同推進協は奄美大島、徳之島に続いて3回目。「巡るいのちのキョラジマ創造事業」を実施した3市町から取り組み状況の説明があった。
 奄美市は長寿弁当の確立や地域ブランド「アマミ・ムラサキ」の創出などを展開。和泊町は農業体験などを取り入れたヘルスツーリズムの確立を目指す。与論町はウオーキング大会や農協観光ヘルスツーリズム体験など。
 着地型観光メニューを盛り込んだ奄美大島体験交流受入協議会の「あまみシマ博覧会」は2月14〜28日に奄美大島で開催された。33プログラムに508人が参加。事務局は「参加者のアンケート結果を基に課題を検証し、新規プログラムの開発に努めたい」とした。
 10年度新規事業の「スギ花粉の少ない島あまみPR事業」は花粉症患者を対象としたツアーの商品化や大都市圏でのPR活動を展開。「『長寿・健康の島』継承・発展事業」、「巡るいのちのキョラジマ創造事業」(奄美市、宇検村、龍郷町、天城町、伊仙町)などを継続実施する。
 天城町から「奄美大島だけでなく島ごとに事業を開催してほしい」と要望する声や、委員から「親子体験プログラムなど、プロジェクトに『子育て』を盛り込んで」との意見もあった。
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