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2004年
週刊ビジネスガイド12月16日号
このコーナーでは、毎週、注目すべき動向をタイムリーに提供していきます。
ただいま、2004年12月9日〜2004年12月15日のトピックスをフィーチャー!
今週の注目トピックス
1.ソニー・サムスン、汎用技術特許を相互解放
2.次世代DVD、ハリウッド映画会社の支持二分
3.2004年のヒット商品
1.ソニー・サムスン、汎用技術特許を相互解放
 ソニーと韓国サムスン電子(以下、サムスン)は14日、両社が保有する「汎用技術特許」にかかわる広範なクロスライセンス契約を結んだと発表した。両社の特許を容易に相互利用することでスピーディーかつ効率的な商品開発を狙う。

 電気各社は通常、個別技術や分野ごとにライセンス契約をしており、分野を超えた広範な契約は極めてまれだ。契約の対象となるのは、基礎半導体技術と家電・情報機器関連の業界標準技術など。両社の技術特許を米国登録件数でみると、ソニーが約1万3千件、サムスンが約1万1千件(ともに累計)。ソニーの場合、そのうち先端分野の6%を対象から除く。製品領域がほぼ重なっているソニーとサムスンは今回の契約で、特許使用料の軽減、特許審査など関連作業の効率化のほか、訴訟リスクの回避を狙う。
 両社は来年、液晶パネルの合弁生産を開始する予定。今回の提携で協力関係を一段と推し進めることを狙う。ただし、個別の製品やサービスの中核技術である「差異化技術特許」をクロスライセンスの対象から除外することで、基本特許を共有しながら商品化の面では競争関係が続くことになる。
 日本の電気メーカーの間では、迅速な輸入差し止めを可能にした2003年の関税定率法改正などを踏まえ、知財で攻める姿勢をみせている。こうした動きに反し、ソニーは独自の協調路線を進むことになる。
 知的財産の流出に向けて環境整備を進めてきた経済産業省の間には、今回の契約を「異質のアプローチ」と不快感を表す声もある。アジア勢の猛追を受ける日本メーカーの知財戦略は新たな局面を迎えているようだ。
(参考:日本経済新聞 12月15日ほか)
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2.次世代DVD、ハリウッド映画会社の支持二分
 米ウォルト・ディズニー(以下、ディズニー)は8日、ソニーなどが次世代DVD(デジタル多用途ディスク)として提唱している「ブルーレイ・ディスク」の規格に準拠したソフトを発売すると表明した。

 現在、次世代DVD規格をめぐり、ソニー・松下電器産業などが推す「ブルーレイ・ディスク」と、東芝・NECなどが推す「HD DVD」の二規格が並立したままの状態にある。DVDに続く次世代光ディスクの規格争いには、最大の映像ソフト供給源として強い影響力を持つ米映画業界の意向が色濃く反映されるといわれる。
 これら2陣営を支持する米映画制作会社のDVD販売シェア (2004年上半期米国内) をみてみると、今回の発表により「ブルーレイ・ディスク」陣営は47.3%となり、「HD DVD」陣営の44.6%と互角になった。ディズニーがこの時期に「ブルーレイ・ディスク」支持に動いたのは、ライバルのタイム・ワーナーが先月末に「HD DVD」への賛同を表明したことが影響したとみられる。
 これにより、ハリウッド勢の支持取り付けは一巡した。両陣営ともハリウッド勢の支持意向が固まれば規格の趨勢は見えてくると踏んでいた。しかし、各社の「両てんびん」戦略により、両陣営ともまだ決定的な優位を確保できないでいる。ディズニーは、今回の「ブルーレイ・ディスク」陣営への参加を「排他的ではない」と強調し、状況次第では「HD DVD」方式でもソフトを出す可能性を示唆している。20世紀フォックスは、「ブルーレイ・ディスク」支持といわれるが、「HD DVD」規格の開発に協力しているという。
 映画会社にとっては、海賊版防止への解決策を見出すことが最大の課題である。映画会社は、著作権保護機能を大幅に強化した次世代規格への移行を急がないと、違法コピーが横行して収益が大打撃を受けた音楽業界の二の舞になりかねないとの危機感を強くもっている。次世代DVD規格への移行がもたついているうちに、米映画会社は次世代DVDへのコンテンツ供給をやめる可能性さえある。日本の家電メーカー各社は、規格統合の可能性を含めて早急に戦略を練り直す必要に迫られている。
(参考:日本経済新聞 12月9日ほか)
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3.2004年のヒット商品
 2004年も終わりに近づき、各メディアで今年のヒット商品を総括する時期になりました。今回は、日経流通新聞から抜粋して2004年のヒット商品を報告します。なお、弊社でもネットモニターを対象に独自の調査を実施し、「2004年、印象に残ったもの」として掲載しております。こちらもあわせてご覧下さい。

 大相撲の番付スタイルが定着している日経流通新聞の「2004年ヒット商品番付」では、その東西横綱に「韓流」と「アテネ特需」がランクインした。
 「韓流」こと韓国ブームの火付け役は韓国の純愛ドラマ「冬のソナタ」である。「冬のソナタ」主演のペ・ヨンジュンが来日した際には、空港やホテルが追っかけであふれた。ペ・ヨンジュン写真集も話題を集めた。「冬のソナタ」でヒロイン役を演じたチェ・ジウも日本のCMに起用されるなど注目を集めた。「韓流」は、音楽、韓国旅行、語学熱にまで広がっている。「冬のソナタ」の経済効果は、日韓あわせて約2,300億円に達すると推定された(第一生命経済研究所調べ)。
 「アテネ特需」とは、アテネオリンピックをきっかけに、デジタル家電などの需要が増えたことである。薄型テレビのほか、長時間録画できるDVDレコーダーが売れた。メダルラッシュの日本選手団は大画面テレビを売り込むコンテンツとして貢献した。オリンピックでの若きアスリート達の活躍によって、子供向けの水泳や柔道教室もにぎわった。
 「2004年ヒット商品番付」の中で、マーケティング会社である当社が注目するのは、東の大関「聴く携帯端末」と、西の関脇「アジエンス(花王)」である。
 「聴く携帯端末」の代表格はアップル社の「iPodミニ」。アップル社は、利益の出ないパソコン市場に依存せず、「HDD内蔵オーディオプレイヤー」によって新しい市場を切り開くことで活路を見いだした。「Hello iPod. Goodbye MD.」というコピーを用いて、MDを開発したソニーへ宣戦布告しつつ、「iPod」のメリットを強調した。「iPodミニ」は、従来の「iPod」と比べてHDD容量は減ったものの、本体サイズの小型軽量化を実現したことに加えてカラーバリエーションが増えたもの。「iPod」と「iPodミニ」の人気でマッキントッシュに乗り換えるPCユーザーが増加するといった相乗効果も生じている。
 「アジエンス」は、東洋の美しさを訴求ポイントとして売り出した花王のシャンプー・リンスである。今秋、売上高100億円を突破し、トイレタリー商品として久々の大ヒットとなった。「アジエンス」はシャンプー市場で外資系に譲っていた首位を奪取。花王は昨年「ヘルシア緑茶」をヒットさせたように、ものづくりとプロモーションを通じてヒット商品を創出する好循環を生み出している。

(参考:日経流通新聞 12月8日ほか)
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