【ワシントン=伊藤宏】米太平洋軍のウィラード司令官は25日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題について、「現行計画が最善」との立場を強調した上で、日本の鳩山政権が負担軽減策として検討しているような形で、訓練の一部を沖縄県外に移す案は、航空部隊と地上部隊を一体で運用できなくなることから難しい、との見方を示した。
ワシントン市内での記者会見で見解を明らかにした。「海兵隊の軍事行動では、地上部隊を訓練地域などに運ぶために、回転翼(ヘリコプター)の支援を必要とする」と指摘。「(ヘリコプター部隊が)沖縄県外に出ると、所要時間や移動距離の問題から、航空支援と地上部隊が一体になるのは難しく、任務が達成できなくなる」と述べた。
ウィラード司令官は「長年にわたる日本政府との協議の結果、最も受け入れ可能な代替案として、現行計画に落ち着いた」と述べ、現行計画を支持する立場に変わりがないことを強調した。
日本政府は現在、県内2カ所の移設案と共に、ヘリコプター訓練の一部を徳之島(鹿児島県)など県外に移転することを検討している。ウィラード司令官は、こうした訓練移転案に軍事的な観点から否定的な見方を示した形だ。