<動画配信事業について>
ここにきて本格的な動画配信の態勢が整いました。
まず、4月5日(月)、「YouTube」に公式チャンネルを開設します。番組関連の動画や局のキャンペーン動画などを配信する予定で、これまでテレビ東京に馴染みの薄かった視聴者層にもリーチを広げ、番組や事業などのプロモート強化につなげていきたいという狙いです。
これに先立ち、3月23日(火)からは「テレビドガッチ」で民放5局による動画配信サイトもスタートしました。
また、アニメの分野では、去年1月から動画を配信していたアメリカのクランチロール社に対して資本参加することを決めました。もともとは、違法投稿動画の阻止をひとつの狙いとしていたわけですが、資本参加を機に、積極的に配信事業を強化し、その他の事業についてもクランチロール社とともに検討していきたいと考えています。
さらに、3月23日(火)にスタートした「日本経済新聞 電子版」にも、ニュース映像などを動画提供し、グループの中で中核的な役割を担います。
そして今日、ヤフーとGyaOから発表になった通り、ヤフーから株を4%取得して、GyaOに資本参加することになりました。
こうして蛇口をいろいろと広げることで、放送事業と動画配信事業を相互にうまく噛み合わせて、新しい視聴者の獲得や事業の展開を考えていきたいと思っています。(他局と比べて)動画事業への参入は、やや遅れ気味でしたが、環境が整ったということですから、これから馬力をかけて、力を入れていきたいと考えています。
(辻取締役)
「YouTube」上の公式チャンネル「テレビ東京digital7」を、4月5日(月)から配信開始します。
掲載コンテンツとしては、①番組・局の宣伝動画(記者会見の模様、4月スタートの番宣番組「デジケン」や事業番組「A×A」のWEB専用バージョン)②番組関連の動画(「いい旅・夢気分」で紹介した宿の動画、「空から日本を見てみよう」空撮動画、「カンブリア宮殿」RYU'S EYE・座右の銘、「週刊ニュース新書」田勢のきょうのあとがき・大江アナのホッと一息、「情熱の系譜」の本編動画)などを予定。また、5月23日(日)に開幕する「世界卓球2010モスクワ」のプロモート企画「世界卓球CMアワード」の告知・投稿受付も「YouTube」で行っています(※ 現在は特設チャンネル)。
3月23日(火)から配信を開始した、プレゼントキャスト運営の「テレビドガッチ」では、アニメ「イナズマイレブン」「スレイヤーズ」シリーズなどを有料配信で提供。一方、「やりすぎオンデマンド」「てれとWATCH!」「TX BIZ NEWS」などに掲載されている動画を提供し、それぞれのサイトへの誘導も図っています。
クランチロール社については、去年1月から、約10番組のアニメを日本で放送した直後に配信しています。順調に進みつつあるこの事業の拡張と、そして、クランチロール社が主としているアニメ関連商品のネット販売を視野に入れ、資本参加することにしました。
Q.動画配信事業の売り上げの見込みは
A.まだ、それほど期待しないほうがいいでしょう。まずは、どのサイトをどのように使っていくのか、どういう動画をどう流していくのか、社内の調整機能をどうするのか。そういったことを勉強しながら、社内の体制を固めていきます。機が熟してきたので、一挙に参入したということです。
Q.二次利用収入については
A.やはり、モバイルをどう使うかということが、一番のポイントだと思います。そこへ向けて、体制をどう整理していくかということですね。
ニュース動画については、「日本経済新聞 電子版」を第一に考えているので、ここで作る協力関係を固めた上で、その後、二次利用について本格的に考えていきたいと思っています。ですから、ちょっと先になるでしょう。クランチロール社を別にすると、当面、ビジネスとして性急な期待はしていません。モバイルをどう使えるかということを、考えていきたいと思います。
<地上デジタル放送関連>
テレビ東京では、独自に「地上デジタル放送に関する認知調査」を行っています。今回で5回目となりますが、最新調査を3月11・12日に実施しましたので、その結果をご報告します。
チャンネル番号「テレビ東京=デジタル7チャンネルを認知している」という人は、全体の54.5%と、初めて5割を超えました。前回調査(09年8月)から9.6ポイント上昇しており、成果はあったと言うべきでしょうが、地デジ完全移行まで500日を切って、まだ5割というのは、まだまだこれでは足りないともいえます。同じ質問への回答を、"すでに地デジ視聴している方"に絞ると、デジタル7チャンネルの認知度は71.5%になりますが、もっともっとスピードを上げていかなければなりません。今年も7月に、民放連の地デジ推進担当を務めます。テレビ東京のデジタルチャンネル番号である7月、そして、完全移行までちょうど1年前というタイミングですので、地デジの推進と7チャンネルの認知に、さらに拍車をかけたいと思っています
調査結果で少し気になったことは、アナログ放送の視聴者に対して「いつ、地デジ放送への対応をするか」と聞いたところ、10%強の人が「完全移行後に対応する」と答えたということ。この結果を、どう捉えたらいいのでしょうか。ひょっとすると、白黒からカラーに変わるくらいに考えていて、移行してもまだテレビが見られると思っている人が、まだ相当いるのではないかという心配があります。地デジ全体のキャンペーンについても、もっと丁寧にやるべきかもしれません。当社の調査の特性かもしれませんが、「完全移行後に対応する」という人がこれだけいると、2011年7月に停波したとき、相当な問題が起きかねません。その点を心配しているところです。
なお、地デジ対応促進の一環として、当社では4月クールから「すべてのアニメ番組」をレターボックス化します。4月クール全体では、全日20.1%、PTで23.7%(今クールは、全日12.7%、PT19.0%)までレターボックス番組を増やし、7月からアナログ放送を完全レターボックス化します。
<編成関連について>
昨日放送した開局45周年記念ドラマスペシャル「シューシャインボーイ」が、視聴率12.2%と健闘するなど、1月クールはやや改善してきましたが、2009年度としては、あと1週を残し、厳しいまま終わりそうです。
1月クールの視聴率(第11週まで)は、ゴールデンタイムが7.2%(前年比-0.3ポイント)、プライムタイムが6.7%(同-0.5ポイント)、全日3.2%(同-0.3ポイント)。2009年度では、ゴールデンタイムが7.1%(前年比-0.6ポイント)、プライムタイムが6.7%(同-0.6ポイント)、全日3.2%(同-0.3ポイント)となっています。
4月改編で、新たな出直しをしたいと思っています。先月、4月改編のテーマは「未来は今」と申し上げましたが、久しぶりの大幅改編で視聴者の真意を問いたいところ。改編率は、GH 37.1%、PT 29.9%、全日26.9%(3月24日現在)となり、なかでもGHの改編率が30%を超えるのは近年ではあまり例のない大きな改編です。
クロスメディア的な展開も、さらに活発に進めていきたいと考えています。例えば「ピラメキーノ」は、ゴールデン進出にあわせて、いろいろな事業展開をしており、富士急ハイランドで7000人規模のイベントも成功させたとのこと。こうしたいろいろな形のクロスメディア展開を実施していきたいところです。
今後の特番では、「世界卓球」を今年も独占中継します(5月23日~30日)。今年は、中継を始めて6年目になりますが、「団体戦」の年になりますので、視聴率的に期待ができるのではないでしょうか。前回の「団体戦」だった広州大会は、男女とも銅メダルを獲得して、PT7試合平均で11.5%という高視聴率を獲得しました。卓球界では新しいスターも誕生しているようですので、ぜひ頑張っていただき、高視聴率を期待したいところです。
また、アナウンサーによる応援ユニット「ピンポン7」を今年も結成します。メンバーの入れ替えもあるようですので、改めてお披露目します。
ほか、スポーツ関連の特番では、「スターズ・オン・アイス2010」を、4月11日(日)19:54~21:48に放送(公演は、東京と大阪で計7公演)。浅田真央選手、髙橋大輔選手をはじめ、バンクーバー五輪の日本代表選手6人が全員出演します。
4月14日(木)には「アスリート感動劇場 1億の心に響く物語」のパート2。ガンを公表したJリーガー、塚本泰史選手(大宮アルディージャ)、バンクーバー五輪のフィギュアスケート銅メダリスト、ジョアニー・ロシェット選手(カナダ代表)など、スポーツ選手の感動物語をお届けします。
4月25日(日)は「ロンドンマラソン」を中継します。今回は、09年世界選手権の銀メダリスト、尾崎好美選手や、ママさんランナーとして人気の赤羽有紀子選手などが出場しますので、注目してください。
視聴率的には非常に苦労した1年でしたが、優良放送番組推進会議による「会議が評価する2009年度の番組」ベスト5に、テレビ東京の番組が2番組ランクインすることができました。「ワールド・ビジネスサテライト」が2位、「ガイアの夜明け」が5位に入っています。ここで評価されたことはうれしいことですが、視聴率を獲得して、番組の市民権を得て、それがビジネスの基礎になるという基本は変わりませんので、まず視聴率を取るということが先決です。しかし、こういった新しい手法を番組の力にどうつなげていくか、ビジネスにどうつなげていくかということも、これから考えたいところです。この結果に甘えることなく、幅広い視聴者の理解を得られるような番組作りをして、総合力をつけた番組にする。そういったことに、ぜひ、来年度はチャレンジしたいと思っています。
Q.4月から23時台の競争が激しくなるようだが
A.最近、NHKは相当経済ニュースに力を入れていますよね。そういう意味では、極めて手強い相手だと感じていますが、テレビ東京は、20年以上経済報道番組をやってきたノウハウがあります。このノウハウをいかした独特の作り方、テレビ東京ならではの番組を作っていきたいと思っています。
経済番組のなかなか難しいところが、ビジネスマンやその世界のプロに見ていただいた上で、一般の視聴者にも分かりやすく伝えなければならないという点です。これらを両立させるという難しさ、しかも映像で見せるという難しさがあるので、もう一回原点に帰り、その日一日、あれを見ないと終わらない、という番組にしていきたいと思っています。生活習慣の中に根付かせる番組作りを目指して、今、改めて新しい競争の中で、きちっと存在感のある時間帯にしようと、尻を叩いています。
<営業関連>
2月の営業実績は、タイムが前年同期比+0.3%、スポットも+0.3%、タイム・スポットの合計で+0.3%でした。バンクーバー五輪の上積みと、スポットが少し上向いてきたため前年を上回ることができましたが、スポットは地区平均には届いておらず、まだまだ厳しい状況は変わりません。3月も少し動いているようですが、GRPが不足ぎみです。
4月以降、どうやってスポットを固め、全体の傾向であるタイムの減少をどうテコ入れしていくか、営業基盤をどう確立していくか、ということが、この1年の大きなテーマだろうと思います。
放送収入は、全体として一時期より少し改善しているようですが、元に戻ることはないし、急増することもないでしょう。その中で内容をどう良くしていくか、その基盤の上にどういう独自性をもった番組を作っていくかが勝負になると思います。そのような方向に、みんなで頭を切り替えなければならないと思っています。
<事業関連>
(辻取締役)
長寿の里Presents「スターズ・オン・アイス ジャパンツアー2010」(東京公演:4月9日~11日、大阪公演:4月17・18日/計7公演)が、2週間後に迫ってきました。チケットの前売りは大変好調です。今週の「世界選手権」が後押しすると見ており、完売を目指しています。
3月29日(月)からは、井の頭線・渋谷駅のホームを「スターズ・オン・アイス」一色に染める計画です。出演者全員の写真を柱に掲出して、ホーム全体を彩ります。
特別協賛の冠スポンサーには、(株)長寿乃里が決まりました。
4月17日(土)~25日(日)には、国営昭和記念公園みどりの文化ゾーンで、開局45周年の冠をつけた「東京インターナショナル フラワー&ガーデンショー」を開催します。「スターズ・オン・アイス ジャパンツアー2010」への出演で来日する、バンクーバー五輪の銅メダリスト、ジョアニー・ロシェット選手(カナダ代表)が来場し、サイン会などのイベントに参加してくれることになりました。
テレビ東京は今年、劇場版のアニメにも力を入れており、年間で約10作品を公開する予定です。その第3弾となる「劇場版 銀魂 新訳紅桜篇」を、4月24日(土)から公開します。配給は、ワーナー・ブラザーズ映画です。
もともと「銀魂」シリーズは、女子中高生をコアにした相当根強いファンがおり、現時点で前売券が11万枚を超える非常に好調な売れ行きです。
今日(25日)19時からは、両国国技館で「銀魂春祭り2010」というファンイベントを開催しますが、この1万席もすでに完売。全国で行われる、イベントの同時ライブビューイングも大変好調な売れ行きで、根強いファンに支えられて、映画公開を迎えます。
<民放連シンポジウムを開催して>
視聴者が壇上を見上げる形になってしまった点。それから、50人もの番組制作者たちが一堂に会した割には、制作者同士の話が少なかった点。そのような反省はいくつかありますが、全体としては、キー局の代表的なバラエティー番組を作っている制作者たちの、心意気や意気込みが伝わってくる、熱っぽい議論が展開されたのでは、と思います。
BPOの吉岡さんも水島さんも一緒になって、ホットな議論に参加していただき、非常に良かったと思っています。司会の福井さん(フジテレビ)が、「もう一回やれっていったら、とても持ちません」とおっしゃったほど、神経を使っていただきました。それくらいのものに仕上がったのではないでしょうか。
もともとBPOの意見書を受けてスタートしたわけですが、ただBPOとの向き合うだけのシンポジウムではなく、「バラエティー向上委員会」と名前をつけて、"自分たちが作りたいバラエティー""自分たちが見たいバラエティー"ということで、議論しました。その点も良かったのかなと思います。
バラエティーというのは、本当の意味でテレビ的な表現形式。バラエティーに力がないと、テレビの力がないということになってしまいます。今、みんなが何に悩んで、何を見つめているかということを率直に話し合うことができ、これが明日へのバラエティーの活力につながってくれれば、こんなにいいことはありません。おおむね、BPOの先生方にも好評だったようです。あとはバラエティーの中身で勝負ということでしょう。
<放送法改正案について>
ハード・ソフトの分離については、放送業界の主張を理解いただいたと思っています。いくつか、その中で番組種別の公表の問題については、まだ議論をきちんとしていないということですね。それは民放連、それから各社それぞれが、社内議論、業界内議論を重ねながら、政省令がまとまっていくにあたり、活発な議論をしていかなければならないだろうと思います。
民放連の中での議論不足ということがあって、いくつか、ちょっとこれは、ということがあるようです。ひとつは大臣裁定制度が残ってしまったこと。これはかねてから、民-民で解決しましょうということになって、比較的定着しかかっているのに、なぜ残したのかなという感じがします。ほかにも、放送法がいろいろ変わっているなかで、電波法にはなくてもいい条項が残っていたり、電波監理審議会の機能について、よく意図が分からない部分があったりして、個々で見ていくといろいろ問題があるようです。そのようなところについては、民放連でも見過ごしてしまったところがあるようなので、これから法案の議論にあわせて、民放連で、もうちょっと急ぎ議論していかなければならないという気がします。
<その他>
Q.自殺報道に関する総務省の照会について
A.さすがにこれはまずいと思って撤回されたのでしょうが、やはり、そういう誤解を生むような照会をすること自体は非常に遺憾なことだと思っています。当社にも照会が来たようで、現場での対応ということになったようですが、放送内容に対する介入と思われるようなことは、避けていただきたいということです。
Q.沖縄国際映画祭に出品する映画「お墓に泊まろう!」について
A.(地デジ移行でテレビ東京が倒産し、島田社長の葬儀をするというストーリー設定は)なかなか複雑な心境ですが、この時期にテレビ東京の葬式を出すのは悪くないなと思っています。生前葬というのは、長生きするためにはいいらしいですね。これで、局も私も長生きするんじゃないかと思っています。
地デジが始まったら倒産する、というストーリーを深刻に考える人もいるかもしれませんが、このままでは倒産しちゃうぞ、という警鐘として考えれば、それはそれでいいかなと思います。
それくらいの決意で、今年度ギリギリの3月末にテレビ東京の葬式を出す。来年度から生まれ変わる。そして、2011年の7月を迎える。そこからおおいに成長するというイメージです。本当の葬式にならないよう、社員一同気合を入れてやります。
(広報・IR部まとめ)
≪会見者≫
代表取締役社長 島田 昌幸
常務取締役 編成局、制作局、ドラマ制作室、報道局、スポーツ局担当
兼 BS業務推進本部長補佐 藤延 直道
取締役 コンテンツ事業局、デジタル事業推進局、アニメ局、コンテンツ管理センター担当 辻 幹男
上席執行役員 経営戦略局長 兼 関連企業統括室長 三宅 誠一
編成局長 多田 暁