(cache) あの人は今こうしている　斉藤優さん

　最近のバラエティー番組は有象無象のお笑い芸人がうじゃうじゃ。当然、消長は激しく、いつの間にか消えてしまう芸人も少なくない。例えば、テレビ朝日「内村プロデュース」の準レギュラーだったノッポとチビのお笑いコンビ「パラシュート部隊」もそうだ。１８０センチの矢野ペペさんと１５６センチの斉藤優さんを覚えている読者は多いだろう。いまどうしているのか。

「ど～もど～もォ。ワタナベエンターテインメント九州支部の『パラシュート部隊』斉藤で～す。福岡に引っ越してきて４年。食べ物はおいしい、酒はウマい、おまけに人情は温かい。ホンマ、福岡はエエとこですよ」

　ＪＲ博多駅に近いホテルの喫茶室で会った斉藤さん、こういって白い歯を見せた。この日、相棒の矢野ペペさんは所用があったため、マネジャー氏と２人だ。

「ワタナベエンターテインメントの創始者、故・渡辺晋前社長が福岡出身でしてね。で、渡辺プロ創立５０周年の０７年に九州エリアに拠点をつくることになり、ボクら２人とピン芸人のゴリけんの３人が先遣隊として東京から転勤になったんです」

●「実力がないのに、トントン拍子過ぎた」

　ゴリけんは熊本出身で福岡大卒業。自分の庭に戻ってきたようなものだ。しかし、大阪・豊中生まれのパラシュート部隊の２人には縁もゆかりもない……。

「そ～なんですよ。最初、福岡行きがゴリけんだけだと思い、送別会を開いて、“大変やろうけど、ガンバってや”と見送ったんですわ。よもやその１カ月後に自分らにも辞令が下りるとは夢にも思いませんでした、ハハハ」

　決まっていたのは地元テレビ局の深夜バラエティーの週イチのレギュラー１本だけ。事務所もなければ、マネジャーもいない。おまけにコネもないのナイナイ尽くしだった。

「自分らで活路を開いていかなアカンって意味じゃ、まさに落下傘部隊で、井上陽水さん、長渕剛さん、チューリップなんかが歌った天神の名門ライブハウス『照和』に飛び込みで営業に行って、即席のお笑いライブをやったこともあります」

　さて、パラシュート部隊がメジャーデビューしたのは９９年。

　ＮＨＫ「爆笑オンエアバトル」で注目され、翌年、斉藤さんの「♪燃えて散って花火？」のギャグが受け、「内村プロデュース」の準レギュラーになった。

「実力がないのに、トントン拍子過ぎた。それは自分らが一番知ってました。相方なんて緊張のあまり、収録直前に吐いたこともありましたもん」

　当時のギャラは出来高制で、毎月２万円前後。運送会社の引っ越しの手伝いや警備員、はたまた怪しいセミナーのサクラなどのバイトで食いつないだ。