地域医療について研究する愛媛大医学部の学生でつくる「うりぼうネット~農村医療研究所」が今月27、28日に西予市の市立野村病院で、現場で働く医師や看護師らから地域医療の問題点や実情を聞くイベントを開催する。
企画したのは、同大医学部5年の青木一成さん(25)と3年の松瀬房子さん(27)。高知大で昨年10月にあった地域医療研修に参加し、地域の人たちの温かい雰囲気に感動し、自分たちも研修会を開こうと思い立った。
愛媛大では昨年4月から地域医療学講座を開設。臨床研修が始まる5年生全員に地域医療の実習を課しているが、医学部の授業は1~4年までは座学が中心。そのため、「勉強が大変で、将来の進路設計を忘れがちになる」と松瀬さんは言う。
また、近年、ドラマや映画でも地域医療が脚光を浴びているが、臨床研修中の青木さんは「生活条件が気になるし、進路として現実味がない」、「医学生の間では、(自分が地域医療をやるのかというと)別次元の問題だ」(松瀬さん)と受け止め方はクールだ。そのため、学生が早い時期から地域医療の一端に触れられるイベントを企画した。
参加者は3、4年生を中心に約15人。1泊2日の日程で、西予市立野村病院の医師や看護師らから地域の医療状況の説明を受けて地域医療についてのワークショップをしたり、障害者施設の見学をする。
地域医療学講座を担当する愛媛大医学部の川本龍一教授は「地域医療は希望者がいない。下級生のうちから地域医療を知ろうとする学生の取り組みを支援したい」と歓迎している。【栗田亨】
毎日新聞 2010年3月26日 地方版