1980年春、東大が初めて早大に連勝、選手も応援団も紙吹雪の中で大喜びした
塾で中学生の数学をみる浜田さん(中央)。生徒2人は野球部で、「宿題忘れたら筋トレ」だそうだ=東京都東久留米市
■勉強法、手取り足取り
塾経営のかたわら、浜田さんは08年から月に1度程度、全国各地の進学校の野球部をまわり、「東大に入らないか。野球部を優勝させてほしい」と声をかけている。
野球のうまい高校生を東大に、というOB会のスカウト活動は負け続ける悔しさから始まった。東大の弱さは際だっている。08年秋から21連敗で、09年秋季リーグも最下位。対戦する早大、明大などはアスリート選抜やAO入試があり、甲子園経験者も多い。もちろん東大にスポーツ推薦はない。
東大生に野球を教えて強くしようと頑張ってきたが、勝てない。なら、「野球のうまい高校生を東大に入れよう」。浜田さんが中心となってOB会の7人が「おせっかいなおじさんがやってきて『おまえ、東大に行け』と言う」ボランティア活動を始めた。
進学校で、かつ、甲子園に出場できそうな実力がある「文武両道」の野球部員をリストアップ。09年春の東大野球部の新入部員24人のうち永井さんを含む3人は、浜田さんらが声をかけ、勉強法などの相談に乗った。
部活動と勉強の両立は、多くの中高生がぶつかる壁だ。
浜田さん自身、高知県の土佐高校で甲子園を目指した元高校球児。成績をみて、最初は、東大は自分とかけ離れた別世界に映っていた。しかし、土佐高から東大に進学した先輩に「東大で4番バッターになれ」と言われて、その気になった。東大に現役合格して野球部に入り、4年では主将を務めた。
今、教えている高校生には因数分解や2次関数の前に、時間の使い方を伝授する。まず、学校の授業を真剣に受けること。学校にいる7時間をぼんやりと居眠りするのはもったいない。授業中は油断せず、自分ならどう教えるか、先生になったつもりで考えなさいと話している。
体力があること。うまい人のマネを繰り返すのが苦でないこと。夢にまっすぐであること――。野球に限らず、部活動で身についたこれらの能力はきっと受験で有利になる、と説く。
「身近にモデルがいれば、東大受験も現実味がわく。自分で限界を作らず、部活動も受験も両方欲張ってほしい。くたくたになるまで練習したように、息が切れるまで勉強してみて。最後まで部活動を頑張った方が、受験に勝てると信じています」(中村真理子)
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