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涙あふれる菅家さん 裁判官は立って頭を下げた

 「申し訳ありません」。立ち上がって頭を下げる3人の裁判官。菅家利和さん(63)は何度も何度もうなずいた。26日、宇都宮地裁で開かれた足利事件の再審判決。逮捕から18年余りたった無罪判決に、菅家さんは涙ながらに「謝罪してもらって本当にありがたい」と語った。

 上下グレーのスーツに赤っぽいネクタイ姿の菅家さんは、緊張した表情で入廷。佐藤正信裁判長が「菅家さん、証言台の前に」と呼び掛けると、天を仰ぎ、大きく深呼吸して判決を待った。

 廷内に緊張感が漂う中、佐藤裁判長ははっきりした口調で「被告人は無罪」。ゆっくりと頭を上げた菅家さんは、裁判長の正面に座り、判決内容に聞き入った。

 確定判決のDNA鑑定、自白の信用性をことごとく排除した佐藤裁判長は一呼吸置いた後、「菅家さんが犯人でないことは明らか」と明言した。

 微動だにしなかった菅家さんが顔を上げたのは、佐藤裁判長が「自戒の意味を込めて菅家さんに謝罪させていただきます」と語りかけたとき。

 「真実の声に耳を傾けられず、17年半もの長きにわたり、自由を奪う結果になったことを誠に申し訳なく思います」。直後、佐藤裁判長ら3人は立ち上がり、証言台の菅家さんに向かって深々と頭を下げた。

 閉廷後の法廷では、茨城県で1967年に男性が殺害された布川事件の元被告桜井昌司さん(63)と抱き合い「ありがとう」と涙。

 判決を聞き終えた菅家さんは、晴れやかな表情で両手を大きく振りながら裁判所を後に。自ら「完全無罪」と書かれた旗も掲げ、涙交じりに「謝罪をしてもらって本当にありがたい。二度と冤罪をつくってほしくはない」。安堵からか、ようやく顔に笑みが浮かんだ。

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┃  =ルビ情報=



▽菅家利和(すがや・としかず)

▽佐藤正信(さとう・まさのぶ)

▽桜井昌司(さくらい・しょうじ)

▽冤罪(えんざい)

▽安堵(あんど)



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Yahoo!ブックマークに登録 [ 2010年03月26日 12:14 ]

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