きょうの社説 2010年3月26日

◎増える代位弁済 協会の財政基盤強化が重要
 石川県信用保証協会の2009年度の代位弁済額が過去最高となり、これに伴う協会の 収支不足を補うため、初めて準備金約4億4千万円を取り崩すという。政府が景気対策として緊急保証制度を設けるなど、中小企業の資金調達を円滑にする保証協会の役割が一段と重くなる一方で、不況による企業破たんも増えている。このため代位弁済の増加はやむを得ない面もあるが、保証協会の財政基盤まで揺らぐようなことがあってはならない。

 企業の倒産増加で、収支が悪化している信用保証協会は全国的に多く、財務の基盤強化 は保証協会共通の課題になっている。その対策の一つとして政府は09年度補正予算で、資金を無利子で貸し付ける制度を設け、石川県信用保証協会は15億円(貸付期間10年)、富山県信用保証協会も1億4千万円(同5年)の貸し付けを受けている。各協会は地域金融機関や県との連携も強化して、安定運営に一層努めてもらいたい。

 信用保証協会は、中小企業から保証料を受け取って、金融機関が行った企業融資に保証 をつけている。企業が返済不能に陥った時、保証協会が原則として債務の8割を代わって弁済している。

 石川県の場合、建設関係の破たん増などから、09年度の代位弁済額はリーマン・ショ ックで過去最高となった08年度を上回り、約215億円になる見込みという。10年度はさらに多く約217億円と想定されている。代位弁済額の8割以上は日本政策金融公庫の信用保険制度のほか国、自治体の助成で補てんされるが、収支が悪化している各協会は、信用保証審査やリスク管理という基本業務をより確実に行い、協会運営の合理化、効率化を推進する必要がある。

 代位弁済で保証協会が金融機関から引き継いだ債権(求償権)の回収が困難さを増して いるという課題もある。保証制度の多様化で無担保・無保証人の案件が増加しているからである。各協会は対象企業の実態把握や回収態勢の強化、債権回収専門会社の活用などを進めているが、そうした取り組みをさらに強めて回収率を高めることも重要である。

◎新幹線議員の会 新潟引き込む努力継続を
 北陸新幹線沿線の国政与党系地方議員による議連「北陸新幹線の整備を推進する議員の 会」が、4月16日に設立されることになったが、当初はこれに加わるはずだった新潟の議員が、参加を保留しているのは残念である。石川、富山にとっては2014年度の金沢開業が最優先課題であり、それをゆるがしかねない要素を抱えている新潟の姿が見えない議連では、不十分と言わざるを得ない。

 北陸新幹線建設費の地元負担金をめぐり、新潟の泉田裕彦知事は今年度分の支払いには 応じたものの、新年度予算編成では一部の計上を見送っており、いまだに国との「対決」の矛を完全に収めるつもりはないようである。新潟の議員には、ぜひ国と泉田知事との仲立ち役を務めてほしいところであり、石川、富山の議員には、今後も新潟の議員を議連に引き込む努力を続けることを求めたい。

 新潟は、既に上越新幹線が開通している上に、県土が南北に長いだけに、北陸新幹線の 建設促進に関心がない議員、あるいは逆に危機感を抱いている議員も少なくないのかもしれない。ただ、だからといって、いつまでも議連の「新潟抜き」状態が続けば、沿線の足並みが必ずしもそろっていないことを、周囲に印象付けてしまうだろう。石川、富山のみならず、金沢以西への延伸を主目的として議連設立の旗を振った福井の議員としても、それは本意ではないはずである。

 新潟の議員の加入が、議連設立に間に合えばそれに越したことはないが、無理ならば、 設立後にずれ込んでもやむを得ない。最初は大阪の議員と同じようにオブザーバー参加でもよいだろう。

 新潟のほか、滋賀の議員も、呼び掛けを受けたにもかかわらず議連への参加を保留し、 京都の議員は参加を見送った。敦賀から先の整備方針が定まらない限り、北陸新幹線との関係が不明確という事情がある以上、こうした対応になるのも仕方がないだろう。金沢以西への延伸が決まり、ルート論議が動き出せば、彼らの姿勢も変わってくるのではないか。