経営統合の撤回を発表する高島屋の鈴木弘治社長(左端)=25日午後、東京都千代田区、池田良撮影 |
経営統合の中止を発表するH2Oの椙岡俊一会長=25日午後、大阪市中央区、高橋正徳撮影 |
大手百貨店の高島屋と、阪急阪神百貨店を傘下に持つエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングは25日、経営統合方針を白紙撤回すると発表した。2008年10月に3年以内の統合で合意したが、消費が冷え込むなかで規模拡大の利点を見いだせなかった。10%ずつの株式持ち合いや、商品の共同開発などの業務提携は維持する。両社とも当面は新たなパートナーは探さず、単独で生き残りを図る。
両社は破談の理由について、全国展開する高島屋と大阪・梅田に軸足を置くH2Oで店舗戦略の溝が埋まらなかったこと、08年秋の金融危機以降に収益が悪化し、戦略のすり合わせに労力をかける余裕がなくなったことを挙げた。統合が実現すれば、売上高は1兆4856億円(08年度の単純合算)と、百貨店首位の三越伊勢丹ホールディングス(1兆4266億円)に肩を並べるはずだった。
両社は業務提携委員会で議論を重ねたが、人事体系や、商品情報システムの統一でも方針の違いが鮮明になり、昨年末には破談の可能性が高まっていたという。今月19日、高島屋の鈴木弘治社長とH2Oの椙岡(すぎおか)俊一会長が大阪市内で会談し、統合撤回を確認。25日に開いた取締役会で正式に決めた。
25日に東京都内で記者会見した高島屋の鈴木社長は「規模が絶対(的な条件)ではないとの認識は当初からあった。話し合うほど考え方に差異があり、統合比率も議論したが、一致点はなかった」と説明。大阪市内で会見したH2Oの椙岡会長は「我々は地域に特化した戦略。統合後の成長戦略を描ききれず、議論が不十分なまま進めば、両社の良さを殺しかねないということになった」と話した。