三菱地所は25日、2010年3月期の連結純利益が、前期比78%減の100億円になりそうだと発表した。従来予想は550億円。東京・新宿の大型プロジェクトやマンション在庫(棚卸し資産)などで合計1240億円の損失を計上することが主因。大和ハウス工業や平和不動産も同日、同じ大型プロジェクトで損失を計上すると発表した。
菱地所が今回損失を計上する大型プロジェクトは「北新宿地区第2種市街地再開発用地」(東京・新宿)と、特定目的会社(SPC)を通じて保有する「日本テレビゴルフガーデン跡地」(同)の2つ。ともに不動産市況が高騰した07年にオフィスビルや住宅開発を目的に取得した用地だ。取得時から資産価値が4割程度目減りしており減損処理を実施、合計886億円の特別損失を計上する。
06~07年に取得した大型案件を巡っては、リーマン・ショック後の急速な不動産市況悪化で含み損が膨らんでいるとされる。菱地所は今回損失計上する2つのほかにも、「梅田北ヤードA・Cブロック用地」(大阪・北)や英国の複合施設「セントラル・セント・ジャイルス」(ロンドン)をSPCを通じて取得。残り2つも保守的に資産査定したが目減りが進んでおらず、損失計上の対象にならなかった。
これに加えて低迷する住宅事業では、菱地所本体のマンションを中心に価格調整を実施。マンション在庫の評価損は354億円と、従来よりも304億円拡大する。
売上高は7%増の1兆90億円、営業利益は5%増の1450億円になる見通し。東京・青山のオフィスビル売却などでそれぞれ上方修正し、純利益を確保した。ただ利益水準は最終赤字に転落した02年3月期以降では最も低い。今回、含み損を抱えた不動産を損失計上することで「負の遺産」を一掃。来期以降の損失計上リスクを小さくし、業績回復を目指す。年間配当は12円と従来予想を据え置く。
同時に来年1月に菱地所本体の住宅事業と販売部門を会社分割し、子会社の藤和不動産と統合。グループのマンション分譲事業を藤和に集約して住宅事業のテコ入れをはかる。社名は未定。
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