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「権利」より「思いやり」浜松市の子ども育成条例 静岡

2010.3.25 03:22

 全国でも珍しい「愛国心」の醸成を盛り込んだ「子ども育成条例」が、24日に開かれた浜松市議会定例会で賛成多数で可決、成立した。子供に関する自治体の条例は、国連の「子どもの権利条約」に影響され、ことさらに子供の権利を強調したものが大半を占める。だが、この条例は「子供の権利」は明記せずに、むしろ親や地域、行政が果たす役割を強調し、子供には他人への思いやりや愛国心を求めた特徴的な内容となっている。

 この日成立した条例は「基本理念」として「子どもが他人への思いやりや共生の心、郷土や国を愛する心をはぐくむことができる環境づくり」をうたい、親の役割を「子育てについての第一義的責任を有する」と規定。子育ては「市、保護者、学校等、事業主、子ども育成団体および市民が、それぞれの役割を果たすとともに一体的に取り組む」と定めている。

 「国を愛する心」が明記された背景には、浜松市特有の事情もある。市議会厚生保健委員会で「外国人が多く居住する浜松市では、国を愛する心は大きな意味を持つ」との意見が大勢を占めた。このため、原案では「市民の役割」の項に記されていた「郷土を愛する心」が、最終的に「郷土や国を愛する心」と修正されて「基本理念」に“格上げ”された。

 条例推進派の議員は「子供の権利ばかりを主張するのは好ましくない。義務があるから権利がある。国連の『子どもの権利条約』と自治体の条例とは対象も環境も違うので、一緒にしてはならない」と市条例を評価した。

 浜松市は鈴木康友市長がマニフェスト(政権公約)の筆頭に「子育て第一主義」を掲げるなど、先進的な子育て政策を打ち出す地域として知られている。

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