――そうした厳しい状況の中、今年1月から日本雑誌協会に加盟する大手出版社が雑誌の有料ネット配信ポータルサイト「parara」の実証実験を開始しました。
堀江ダメでしょうね(笑い)。だって雑誌が要らないんだから「parara」も要らないでしょう。購入する人はいると思いますが、採算ラインに乗るとは思えないですね。厳しい言い方をすると、記事のバラ売りをするのであれば、わざわざ週刊誌を通す必要がないんです。上杉さんとか田原総一朗さんが、直接、メルマガで記事やコラムを配信すればいいわけですから。
――本誌のコラムニスト全員が有料メルマガを個人で行えば、週刊誌を読む必要がなくなる。
堀江上杉さんはたぶん、やると思いますよ。今後も週刊誌への寄稿は続けるでしょうけど、有料メルマガはやるでしょうね。すでに勝谷誠彦さんや村上龍さんとかやっているじゃないですか。今後は、週刊朝日に寄稿しているような人たちが、続々と有料メルマガをやり始めると思いますよ。
――では、「週刊朝日メルマガ」となると、どうでしょうか?
堀江そこが問題で、週刊朝日ではなく、上杉隆であったり、田原総一朗であったり、「人」に読者がつくんですよ。どうしても週刊朝日のイメージってアルバムなんですよね。今の時代に、アルバムに魅力を感じる人は少ないと思います。
――とはいえ、いくら優秀な人でも、毎回面白い記事を書けるとは限らない。
堀江それを月額課金という課金システムでカバーするわけですよ。たまにおもしろくない記事があっても定期購読だから読んじゃう。
――ツイッターやブログでは個人が記事を書いていますね。しかし週刊誌となると、複数の人間がひとつの記事にかかわっています。つまり記事に対する信用度の面では週刊誌が勝っていると思うのですが......。
堀江いや、それは関係ないと思いますよ。本音の部分では、実際、みんな陰謀論とか好きじゃないですか。本当か嘘かなんて関係ないんじゃないんですかね。たとえばアポロが月に行ってなかったとか、そういうの大好きじゃないですか。だから、週刊現代の飛ばし記事なんかも読んでしまうわけですよ。
実際、ネットでは植草一秀さんとか、ベンジャミン・フルフォードさんとか、けっこう人気があるんですよ。だから、田母神俊雄さんなんかがメルマガを始めたら、すぐに1万人くらい読者がつくでしょうね。
――堀江さんに聞くのもなんですが、週刊誌はどうすればいいんでしょう?
堀江これから長い期間、通用するビジネスモデルを作りたいのであれば、たぶん「週刊朝日」ではなくて何か違う形だと思います。形態としては、たとえば上杉隆さんのメルマガで「Powered by 週刊朝日」みたいな感じにして、上杉さん責任編集で、何人かそこにライターがくっついている、みたいな。単純な記事のバラ売りではなく、「バイネーム(by name=名指し)」のほうが売れると思います。
――「Powered by 週刊朝日」ですか(笑い)。
堀江「上杉隆マガジン Powered by 週刊朝日」みたいな(笑い)。ただ、週刊朝日というブランドには確かに信用はありますから、週刊朝日の表記は入れる。ただし前面に出てきてはダメです。有料メルマガだけでなく、ネット限定で有料ブログや有料動画も配信する。月額500円で見放題。そういう形をいくつか週刊朝日というレーベルで作っていく。田原さんでもいいでしょうし、山口編集長でもいいと思います。
――つまり、それが「人が最大のコンテンツ」ということですね。
堀江そうですね。今回のテーマについての答えを見つけることは非常に難しいですが、たぶん週刊誌の未来はプロダクションのような形なのかもしれません。これからはアーティストを抱えるプロダクションのようになっていく。上杉さんや田原さんや山口編集長という魅力的な記事を発信できる人々が前面にでてきて、彼らを出版社側がネット上だけでなく、講演会やトークライブなんかもマネタイズ(monetize=収益事業化)していくと。これは面白いですよ。
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