竹原信一市長の議会出席拒否や判決無視などで混迷する鹿児島県阿久根市政について、西日本新聞は22日、有権者の市民100人(男性52人、女性48人)へのアンケート結果をまとめた。「市長は交代すべきか」の問いに、過半数の51人は「はい」とし「いいえ」33人と「どちらでもない」16人を上回った。支持者も含めて議会の出席拒否に反対意見が多かった一方、市長の「市職員高給」批判への賛同は過半数を占めた。
■「職員高給」主張は支持
市長の議会の出席拒否や課長への答弁拒否命令については反対76人、賛成9人、どちらでもない15人。「出席して主張しなければ改革は進まない」との理由が目立った。
鹿児島地裁の判決に従わず、市長が懲戒免職処分の効力停止が決定した元係長に給与を支払っていない問題も「法律無視は乱暴」との理由で反対が65人に上り、賛成は10人にとどまった。
「市長を信任しているか」の問いに「はい」は24人、「いいえ」が51人。信任する市民も議会の出席拒否は8人が反対。元係長への給与未払いも7人が反対した。
一騎打ちとなった昨年5月の市長選で接戦を制して再選した竹原市長に「投票した」41人も、うち9人が「信任していない」に転じ、さらにうち5人は「市長は交代すべきだ」と踏み込んだ。
市政が混乱する中、全体では竹原市長になって市政が「良くなった」と答えたのは17人にとどまり「悪くなった」31人、「変わらない」52人を下回った。
一方、市長の「職員給与が高すぎる」との主張は反対18人、賛成62人で過半数の支持を得た。市職員の平均年収約633万円(2007年度)に対し、1人当たりの市民所得は約192万円(06年度)。単純比較はできないものの、官民格差への不満が根強いことが浮き彫りになった。
アンケートは20、21両日、市内全域で対面調査で行った。
■阿久根市
鹿児島県北西部に位置、約40キロの海岸線を有する。1952年市制施行。基幹産業は農水産業で、特産品はかんきつ類のボンタンや東シナ海で取れる「華アジ」。2006年の事業所数は1308で01年比155減。人口も約2万4千人で1955年の約4万1千人をピークに減少が続く。阿久根駅はJR鹿児島線の特急停車駅だったが、04年3月の九州新幹線部分開業で第三セクター「肥薩おれんじ鉄道」に経営分離、過疎化が懸念されている。
=2010/03/23付 西日本新聞朝刊=