第2回 週刊誌に未来はあるのか

ここ数年、不況業種と言われる出版界にあってとりわけ売り上げが落ち込んでいるのが総合週刊誌だ。本誌はまだまだ元気ですが、半世紀前に100万部を超えていた時代があったことを思うと、何だかやるせなくなるのもまた事実。週刊誌はなぜ売れなくなったのか。未来はどうなるのか。本誌は無謀にも、自らに匕首(あいくち)を突きつけるような連続企画を考えてみました。題して「週刊誌の未来を考える」。第2回は時代の最先端を生き続ける"ホリエモン"こと、堀江貴文さんにお話をお聞きします。(聞き手・竹内良介)

プロフィール

堀江貴文(ほりえ・たかふみ)37歳。ライブドア社長だった06年に証券取引法違反容疑で逮捕。一審で懲役2年6カ月の実刑判決を受け(控訴は棄却)、現在、上告中。本誌では「ホリエモンの近未来大予測」を連載中。また、今年2月から有料メルマガ「堀江貴文のブログでは言えない話」を配信中。

――さっそくですが、堀江さんは週刊誌を読みますか?

堀江読んでますよ。

――定期的に読む週刊誌はありますか?

堀江定期的ではないですけど、写真週刊誌を中心に、週刊文春、新潮、現代くらいですかね。

――あの、週刊朝日は?

堀江もちろん(笑い)。上杉隆さんの記事はよく読みますね。ただ、全部は読まないです。

――一日のどのタイミングで週刊誌を読みますか?

堀江飛行機の中ですね。そこくらいしかじっくり読む時間がないんですよ。それ以外の移動中ではiPhoneがつながりますから、ツイッターやブログを中心に情報収集しています。

――ツイッターとブログですか。

堀江あとはポータルサイトのトピックスですね。順位をつけると、ツイッターが1番、ポータルサイトが2番、3番がブログという感じです。正直、それだけで世の中の流れを十分把握できます。週刊誌はその下、新聞はほとんど読まなくなりました。

――あの、今回のテーマは「週刊誌に未来はあるのか?」なんですが......。

堀江ははは(笑)。ん〜未来はないんじゃないですか、残念ながら。確実に読者数は減少するでしょうね。
その理由はいくつかあって、たとえば今年はiPadが出ます。これは紙媒体にとってきついと思いますよ。おそらく週刊誌どころか、PCも要らなくなるでしょうね。PCは起動に時間がかかりますが、iPhoneってほとんど0秒ですよ。iPadもそうですからね。

――そのほかの理由とは?

堀江まずはお金の問題ですね。だって週刊朝日だと月額約1400円ですよね。携帯電話は必ず使うわけですから、携帯で1万円を使うとして、それにプラス1400円と考えるときつい。iPhoneならほとんど無料でニュースを見られるし、そう考えると、もうこれだけでいいってなっちゃいますよ。あとはサイズの問題です。物理的なサイズではなくてコンテンツの量という意味で。要らないコンテンツ(記事)が多いんですよ。

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――では、実際に本誌(2010年2月19日号)の目次を見ていただいて、読みたい記事はどれですか?

堀江「暴走検察の果て」ですね。とくに上杉さんの検察の記事です。この号だと、それしか読みません。

――上杉さんの記事を目的に本誌を開いて、他の記事に興味をひかれるということは?

堀江なんかアルバムみたいな感じなんですよ。つまり、シングルカットできるような曲は1、2曲しか入っていない。いや、もちろんすべての記事に価値はあるんですよ。でも極私的に考えると、どうしても要らない記事が多いとなっちゃう。

――聞きたくもない曲を聞かされている感じですか?

堀江そうですね。これって結構、重要で、音楽業界でいうとアルバムが売れなくなったのは、「着うた」や「iTunes」がでてきて、1曲単位で好きな曲が買えるようになったからです。週刊誌も同じくセット売りというビジネスモデルで、読者は週刊朝日というアルバムを購入しているわけです。こうしたビジネスモデルは、もう時代に合わなくなっています。
いま、コンテンツ供給者は受給者の細切れの時間を奪い合うようになっていて、細切れの時間というのは寝る前の30分とか電車で移動中の30分とか、友達を待っている30分とかですから、その時間内に週刊誌って読み終えられない。
だから「上杉さんのこの記事だけ読めればいい」とか、「iPhoneでいいや」とかになっちゃう。シングルにしか魅力を感じないから、アルバムを買おうとは思わないんですよ。

――総合週刊誌は、いまの時代にそぐわないということですか。

堀江はい。総合週刊誌はこれから難しいでしょうね。とはいえ、いらない記事を削ったら週刊朝日じゃなくなる。だから、総合週刊誌の週刊朝日として未来を考えるとなると、未来はないと言わざるを得ない。

――う〜ん、なんだか、お先真っ暗ですね。

堀江僕はインターネットビジネスを始めていたときから思っていたんですけど、最大のコンテンツというのは「人」なんですよ。人それぞれが独自の宇宙を持っていて、いくらつまらない人でも、それなりの宇宙があって、それがぶつかるから無限の可能性があるんです。
たとえば、先日、上杉さんと夕食を食べに行ったんですけど、上杉さんが「今からヤリイカ食べに行く」とツイッター上でつぶやいたのを見て、僕が「ヤリイカ食べたい」とメールをして実際に合流した。そういう集まり方ができる時代なんですよ。誘うでもなく、誘われるわけでもないのに人が集まれるようになった。そうなると、テレビを見たり週刊誌を読むよりも、上杉さんとご飯を食べに行ったほうがいい。
つまり、テレビや週刊誌は、居酒屋とも細切れの時間を奪い合わなければならないんですよ。電車内の時間でも、完全に携帯電話とゲーム機に奪われましたよね。この時間を奪われたのは、週刊誌にとって非常に痛いと思いますね。

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