JALたたき、永田町では怪文書も…ANAが関係か
2010年3月25日(木)17時0分配信 夕刊フジ
怪文書が永田町でバラまかれるなど、JALの再建は一筋縄ではいかない [ 拡大 ]
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水に落ちた犬はたたけとばかりに、会社更生手続き中の日本航空たたきが相次いでいる。日航に関する怪文書が永田町でバラまかれたり、日航を応援するツアーキャンペーンを行おうとした旅行会社にライバル航空会社から「日航を応援するなら付き合い(取引)を考えさせてもらう」と圧力がかかったり。あまりのみにくさに、関係者もあきれ返っている。
「日本航空の販売施策の現状」と銘打ったA4判1枚の怪文書が永田町に出回り始めたのは、日航が会社更生法の適用を申請した後の今年2月前後のこと。
この文書を持っていた永田町有力筋によると、「日航のライバル会社が日航の内部資料のように仕立てて流したようだ」という。
怪文書には、日航の旅行業者向けの航空券について、日航から旅行業者にどれくらいの金額のキックバックが行われているかが記されている。たとえば、「東京〜道東」なら適用運賃額9900円に対し業者へのキックバックが8100円で、日航の実質収入は1800円といった具合。
日航に怪文書や金額について確認すると、「文書は日航の内部資料ではありませんし、キックバックの額もまったくのデタラメです」(広報部)とのこと。
いったい誰が、なんの目的でこのような怪文書を作成したのか。日航では「答えようがない」としているが、大手旅行会社の関係者がこんな解説をしてくれた。
「旅行業者向け航空券の呼び方は、航空会社によって違います。たとえばJALさんなら『団体航空券』、ANAさんなら『旅行航空券』と呼んでいます。この文書は日航の内部資料を装っているのに、『旅行航空券』とANAさんの用語が使われています。なんだか不思議な文書ですね」
国土交通省担当の記者は怪文書の目的について「日航のイメージをおとしめるとともに、日航の航空券の価格戦略をやりにくいものにしようとしているのではないか」と推測する。
日航の足を引っ張るような“工作”はほかにもあるようで、別の旅行会社関係者は次のように明かす。
「うちの系列の旅行会社がJAL応援のパッケージ(ツアー)をやろうとしたところ、ある航空会社から『そんなことをしたら付き合い(取引)を考えさせてもらう』と圧力がかかりました。あまりにも身勝手な対応に困っています」
こうした水面下のドロドロとは別に、先の国交省担当記者がおもしろいことを教えてくれた。
「全日空は国際線1社態勢を望んでいるようですが、そんなことをしたら大変なことになりそうです。日航は昨年12月から中国3路線を運休にしましたが、同じ路線の全日空の料金が早くも上がろうとしています。このデフレの時代に何を考えているのやら」
日航は昨年12月7日から、「成田−杭州」「成田−青島」「成田−アモイ」の中国3路線を運休にした。同路線の全日空の2010年度上期(4〜9月)の公示運賃(スーパーエコ割3)は、前年と比べて20〜29%も上昇。同じ中国路線でも、日航と全日空の競合が続いている「成田−上海」が前年よりやや安くなるのとは対照的な動きとなっている。
デフレに苦しむサラリーマンのためにも、日航には国際線維持の方向で頑張ってもらわなければいけないようだ。