今年も“弱ヤク巨食”？セ開幕カード「お得意さん」がカギ

(夕刊フジ)

　３・２６セ・リーグ開幕カードの３連戦には、共通した重要な意味合いがある。巨人対ヤクルト（東京ドーム）。中日対広島（ナゴヤドーム）。阪神対横浜（京セラドーム）。キーワードは「お得意さん」だ。

　巨人で５年、ダイエー、ソフトバンクで通算１４年間の監督生活を経験、リーグ優勝４回、日本一２回のソフトバンク・王球団会長はこう明言している。「どこに勝っても１勝は１勝だ。変わりはない。弱い者イジメといえば聞こえは悪いが、特定の球団に大きく勝ち越して貯金するのが優勝への近道だ」と。

　が、この「お得意さん」関係は１年たつと主客転倒する恐れがある。だから初対決が重要になってくる。苦手意識をそのまま植え付けられるかどうか。最初が肝心なのだ。セ・リーグ開幕３カードは、まさにそういった意味がある。

　昨年、リーグ３連覇を達成した巨人にとって、３位ヤクルト戦の貯金「１３」は球団別で最多。最下位独走した横浜戦でも貯金「１２」だったのだから、それを上回ったヤクルトは最大の協力者といえる。リーグ連覇の一昨年も５位・ヤクルトに貯金「１２」。最下位の横浜にも貯金「１３」。

　巨人は、王氏の言う「優勝への王道」を歩んでいる。２度あることは３度あるか。３年契約最終年の巨人ＯＢ・高田監督が意地を見せ、３度目の正直で巨人に雪辱するかが見どころだ。

　中日・落合監督も、昨年貯金「８」の広島との開幕３連戦は手堅く勝つ必要がある。横浜戦の「１２」に次ぐ大口貯金を確保できるかどうか。４年ぶりのリーグ優勝達成には欠かせないノルマになる。１２年間Ｂクラスから一気に１９年ぶりのＶ奪回を宣言する野村新監督にすれば、逆にお得意さん返上、開幕ダッシュが求められる。

　２年契約の２年目、連続Ｂクラスにでもなれば、進退問題が浮上する阪神・真弓監督にとっても横浜との開幕３連戦は同様の意味がある。４位に終わった昨シーズン、横浜戦に貯金「６」、広島戦での貯金「２」しかプラス分はない。虎の子とも言える２チームからの貯金を守る必要がある。横浜・尾花新監督としたら、３年連続最下位の屈辱だけは阻止しなければならない。何がなんでも開幕からの貯金のばらまきストップだ。

　開幕３連戦は、トータルすれば１４４分の３にすぎないが、今季の場合は重要性を秘めている。さて、どういう結果が出るのか。（編集委員・江尻良文）