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この人と飲みたい(第2、4木曜更新) : 荒川静香(プロフィギュアスケーター)<特別編>「滑りやすい氷のヒミツ」
投稿日時: 2009-06-11 23:59:00

<読者からの続編希望のリクエストにお応えし、今回は対談未公開部分を特別編として公開します>

二宮: 私は南国の田舎育ちなので、もうスケートが滑れるだけで感動してしまいます。初めてスケートリンクに行ったのは、高校時代。ガールフレンドと行ったんですけど、止まり方がわからない(笑)。女の子の手を握ってエスコートするはずが、そのまま壁にぶつかってしまった。もう、2度と来るもんかと思いましたね(笑)。素人がうまく滑るコツを教えてください。



荒川: うーん、一言では難しいですね。私は5歳からスケートを始めたので、もう遊び感覚で自然に滑れるようになっていました。スケートのセンスは、他の運動のセンスとはまた違うように感じます。浅田真央ちゃんも、走ることも跳ぶことも体力測定では普通の女子高生と変わらないと当時聞いたことがあります。筋力も特別多いわけではない。ところがリンクに乗ると、とてつもない能力を発揮するんです。

 氷にアンモニア!?

二宮: たとえば野球やサッカーではグラウンド状態によって、イレギュラーバウンドが起こったりします。フィギュアでも氷の状態で演技が左右されることがありますか?
荒川: 氷を張る過程で、使用する水の性質によっても、滑った感覚は違います。それとはまた別に、穴にはまって転倒しちゃうなんてこともあります。スピンで入ろうとしたら、他人がトゥ(つま先)でジャンプした際にできた穴にガツンとハマったり……。もう、こればかりは運ですね。穴を避けようとすればタイミングがずれてしまうので気にしてはいられない。

二宮: 荒川さん自身も転んだ経験があると?
荒川: 一度、派手に転倒したことがありました。ただ、それは私の考え方を変えるきっかけにもなりました。もう、運の部分でどうなるかを考えたらキリがない。やるべきことをしっかりしてきたならば、もしも不運なミスが起こったとしても自分のやってきたことに悔いはないでしょう。余念が残らないようなしっかりとした準備をするべきだと思ったんです。

二宮: 通常の大会ではどのタイミングで製氷を行うのですか?
荒川: 12人滑ると1回、製氷が入るようになっています。12人であれば、そんなに氷は荒れることがありません。むしろ、製氷後すぐのグループは氷上が固まっていないので、滑りにくいという場合もあります。まぁ、氷の状況にとらわれていては演技には集中できないので、私は与えられた環境を最大限に生かせるような方法、コンディションをいつも考えるようにしていました。

二宮: 水泳選手に話を聞くと、場所によって体が重く感じる水と、軽く感じる水があると。氷の違いは滑っていて感じますか?
荒川: 使われている水が軟水か硬水か、純度がどのくらいかによって氷のでき具合は違います。だから、日本とアメリカとヨーロッパでは全く氷は異なりますね。不純物がゼロだと硬くて滑りにくい。外国に行くと、氷にアンモニアを混ぜているところがあります。科学的な詳しい理由はわからないのですが、滑りやすいベストな氷ができるそうです。

二宮: 他に氷に何かを混ぜている例は?
荒川: 牛乳のような白い液体をまいているのを見たことがあります。フィギュアスケートの会場はアイスホッケーの試合も行われることが多いので、そのロゴやラインを一時的に消すためでしょうか。大会のロゴだけを浮かび上がらせるためにも使います。転ぶと手や体が白くなるので、すぐにわかりますね。

二宮: 確かにホッケーのラインが見えたら興ざめですからね。
荒川: ただ、選手からしてみれば、ラインがあったほうが演技はしやすいんです。たいてい通常の練習リンクではラインがそのまま入っていますから。たとえばリンクを3分割してサーペンタイン(波状に左右に大きく蛇行するステップ)を描く時に、どこまでが3分の1かわかりやすい。

 愛犬は4匹!

二宮: 予定時間をオーバーして2時間以上も話を伺うことができました。改めて荒川さんに感じたのは“クール・ビューティ”。プロとしてますます洗練されている印象を受けましたよ。
荒川: 正直、アマチュア時代より今のほうが自分のレベルを維持するのは大変ですね。年齢的なものもあるでしょうし、練習量も以前とは違う。得られる環境、時間を効率よく使いながら身体を維持し、かつ、自分の力をもっと伸ばしていかなければいけない。プロである以上、自己満足ではなく、お客様を楽しませることを考えなくてはいけない。だけど、これは自分が選んだ道。大変と思って手を抜けば負けです。

二宮: でも、たまにはリラックスしたくなる時もあるんでしょう? お酒を飲みたい時もあるのでは?
荒川: もちろん、あります。でも、飲む量はその時の気分や雰囲気次第。周囲の人と合わせて楽しく飲んでいます。だから、飲みすぎて失敗したおもしろい話がほとんどないんですけど(笑)。

二宮: フィギュアスケート以外に趣味は?
荒川: 犬を飼っていますね。実は、4匹も(笑)。あまりにも好きすぎて、飼っている犬から子供を産ませたいとか、ブリーダー状態になっています。

二宮: オフの日は犬の散歩もされると?
荒川: ええ、2匹ずつ連れて歩いています。犬と散歩していると、散歩コースで出会う方に「荒川さん」ではなく、「ティラミス(犬の名前)ちゃんのママ」と呼ばれます(笑)。

二宮: リンク上で愛犬にも一緒にイナバウアーをやってもらうといいかもしれない(笑)。
荒川: さすがにイナバウアーはしませんが、ショーでリンクにあげると、意外と人気なんです。プルプルやっているだけで、みんなに「かわいい」と言っていただける。拍手をもらうと、その気になるのか、氷の上を歩き回ったりします。

二宮: 犬の散歩時は別にしても、街で歩いていたら目立つでしょう? 声をかけられることも多いのでは?
荒川: でも電車は普通に乗りますよ。車より移動時間が読めますし。さすがに金メダルを獲った直後は駅のホームで囲まれて、ファンの方がケガでもしたら大変なので自粛しましたけど、今は普通に暮らしています。私はアイドルでもなければ、芸能人でもない。ひとりのアスリートです。声をかけられるのもありがたいですし、一般の感覚を失うことが一番怖いですからね。
 今でも気づかれる方は気づきますが、それを苦痛と感じたら、すべてが窮屈です。そういった周囲の目が、自分を磨くための材料だと考えています。

二宮: 荒川さんはスポーツ観戦もお好きだと聞いています。3月の野球のWBCもずっとご覧になられたとか。
荒川: サンディエゴ(2次ラウンド会場)で3試合、ロサンゼルスで決勝も含め2試合、日本代表を応援にしました。やはりスポーツは生で観戦するのが一番。野球は高校(東北高校)が盛んだったこともあって、甲子園に行ったこともあります。私が卒業した後、高井雄平君(東京ヤクルト)やダルビッシュ有君(北海道日本ハム)が入って、かなり強豪校になりましたね。

二宮: 最後に今後の夢を教えてください。
荒川: 今、フィギュアスケートをしている子どもたちの最大の目標は、おそらく世界選手権やオリンピックでメダルを獲ることだと思うんです。日本ではプロスケーターは“現役を辞めた人”というイメージが強い。でも、その先に「プロになりたい」という目標をひとつの道として示してあげられたらと思います。アマチュア時代に頑張れば、プロとしてこんなにすばらしい世界が待っている。そこを見せるモデルとして自分が存在し続けたいと思っています。

>>前編はこちら
>>後編はこちら
>>「この人と飲みたい」バックナンバーはこちら

<荒川静香(あらかわ・しずか)プロフィール>
1981年12月29日、神奈川県出身。プリンスホテル所属。5歳でスケートを始め、小学3年で3回転ジャンプをマスター。天才少女と呼ばれる。94年〜96年には全日本ジュニアフィギュア選手権3連覇を達成。97年にシニアへ移行後、日本選手権で初優勝。98年、長野五輪出場を果たす。2004年、ドルトムントの世界選手権では技術点で満点の6.0をマークし、ワールドチャンピオンに輝く。06年のトリノ五輪ではショートプログラムとフリースケーティングで自己ベストを更新して金メダルを獲得。日本フィギュア界で初めて世界選手権と五輪両方での金メダリストとなる。同年、プロ宣言を行い、現在は国内外のアイスショーを中心に、テレビ出演やイタリアのピエモンテ州の観光大使などさまざまな分野へ精力的に挑戦している。この8月には自身がプロデュースするフレンズオンアイス(>>公式サイト)が開催される。
>>オフィシャルサイト



☆次回のゲスト☆
 次回はサッカー評論家のセルジオ越後さんをお招きします。南アフリカW杯への出場権を手にした岡田ジャパン。1年後に迫った本大会を勝ち抜くため、日本代表には何が必要なのか。二宮清純との辛口トークは必見です。好きなお酒の話も交え、内容満載でお送りします。前編は6月18日更新予定です。どうぞお楽しみに!

★本日の対談で飲んだお酒★
 
世界的な酒類・食品などのコンテスト「モンドセレクション」のビール部門で、3年連続最高金賞(GRAND GOLD MEDAL)を受賞したザ・プレミアム・モルツ。原料と製法に徹底的にこだわり、深いコクとうまみ、華やかな香りを実現しました。

提供/サントリー

<対談協力>
KIRIKO 六本木
東京都港区六本木4−6−7 六本木4丁目ビルB1
TEL:03−5775−6571
営業時間:
Lunch  11:30〜14:45(月〜金)
Dinner 18:00〜24:00(月〜金)
      17:00〜23:00(土)
※Lunchは30分前、Dinnerは1時間前ラストオーダー

(構成:石田洋之)


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