◇春場所 11日目
(24日・大阪府立体育会館)
横綱白鵬(25)=宮城野部屋=が全勝で並んでいた関脇把瑠都(25)=尾上部屋=を上手投げで仕留めて11連勝、単独トップに立った。日馬富士は琴光喜に逆転負けして2敗に後退。1敗は把瑠都だけになった。琴光喜は勝ち越して大関かど番を脱出。琴欧洲も豊真将を寄り切って勝ち越した。
横綱の強さを、どうだと言わんばかりに見せつけた。白鵬は日の出の勢いの把瑠都を上手投げで、土俵下に放り投げた。「全勝同士だし、どんなもんだろうというのがあって、気合が入ったね」。大勝負を制して、冷静に振り返ってみせた。
「同じ技を食わないことを頭に入れていた」。先場所、把瑠都に12度目の対戦で初めての敗戦。前に出ていった土俵際で右を巻き替えられて、すくい投げを打たれていた。この日も把瑠都が巻き替えに来たが、その瞬間に右まわしを強く引きつけて許さず勝負を決めた。数年前の対戦成績や取り口もスラスラ出てくるほど記憶力抜群の横綱。先場所の屈辱を体が忘れていなかった。
パワーで大関とりの道を突き進んでいる把瑠都に対し、口癖の「相撲は力比べじゃない」を実践して見せた。「足腰大関、上半身は幕内、合わせて横綱」という白鵬。筋力トレーニングはせず、相撲の基本であるしこやすり足で足腰を徹底的に鍛えることと技術で、絶対的なパワー差をカバーする。「両まわしを引けば、まだまだ把瑠都はいけるね」と、余裕の笑みを浮かべた。
武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)も「速いし鋭いし、完璧(かんぺき)。(優勝も)見えてきたという感じだね」と絶賛した。白鵬の11連勝は過去6度。そのうち優勝した4度は、すべて全勝優勝で決めている。「まだ終わってないから」と、決戦を乗り越えた後も気持ちを緩めない白鵬。13度目の賜杯へ向かって、このまま白星街道を進んでいくだけだ。 (田中一正)
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