高木マニア堂

＜2008年３月＝東スポ・プロレス格闘技サイト、プロレスマニア堂より＞

　最近、よく目にする「ＫＹ（「空気読めない」の略らしい）」って言葉が嫌いだ。そもそも「空気読める」って略でもＫＹじゃないのか？

　それはともかく、プロレス界で「ＫＹ」と言えば、20数年前にストロング・マシン軍団を率いた悪のマネージャー・将軍ＫＹワカマツ（若松市政＝現・芦別市会議員）のことだろう。先日のＩＧＦ・有明コロシアム大会（２月16日）
でも、往年の姿で登場し、猪木を挑発。リアルな“ＫＹ”ぶりを発揮していた。

　そもそもワカマツ氏の「ＫＹ」とは何の略なんだ？　当時を知る関係者に聞いても、誰もハッキリした答えを知らない。

　ワカマツ氏が「ＫＹ」を名乗り始めたカナダ・カルガリー時代から、機械の如く操られ、後に仲間割れしたスーパー・ストロング・マシンに聞いても「さあ、何だろうね？　そう言えば聞いたことないな…フッハハハ」。

　当時、新日本プロレスの副社長職にあった坂口征二さんも「ＫＹか～。アイツの変な衣装は、マシン軍団が登場する、ちょっと前に行ったドバイ遠征で、ウチの社員が買ってきた現地衣装を奪い取ったモノだったんだよな…。あと拡声器も、事務所にあったモノを強奪してったみたいだ」と思わぬ貴重な証言をしつつも、ＫＹに関しては確証がないという。

　プロレスマスコミの重鎮にたずねても答えは出ない。国際プロレス出身のワカマツ氏は、吉原功社長（故人）を大変に尊敬しており、その忠義心から「国際プロレス・吉原社長」の略では？　という説まで存在した。

　これはもう本人に確認するしかない。ＩＧＦの有明大会で久々に再会したワカマツ氏を直撃すると、意外ともいえる回答が返ってきた。

「ＫＹはですね。その昔、カナダにＫＹと呼ばれる、大変悪い将軍がいたらしくて、そのイメージから、私はプロモーターに“将軍ＫＹワカマツ”と命名されたらしいですよ」（ワカマツ氏）

　つまり由来はカナダの歴史に登場する将軍様の名前。

　名付け親は当時のカルガリー地区の大プロモーターであるスチュ・ハート氏とい
うことだ。ＫＹ騒動、これにて一件落着！。

　日本流ならば、武芸よりも和歌を愛する源実朝にちなんで「将軍ＳＭ～」とか、金閣寺に住み、一休さんにトンチでやり込められてしまう足利義満から「将軍ＹＡ～」。人間よりも犬を愛する徳川綱吉にちなんで「将軍ＴＴ～」とか、暴れん坊の八代将軍・徳川吉宗にちなんだ「将軍ＹＴ～」ってな感じなんだろうか？

　カナダ史に残る悪い将軍・ＫＹさんも、まさかこんな形で、遠い日本国民の記憶に残ることになるとは思わなかったことだろう。