【第119回】 2010年03月25日
生方副幹事長解任という“誤報”で得をしたのは誰か?
3月23日、民主党とメディアによる壮大な空騒ぎが終わった。
生方幸夫民主党副幹事長の「解任」騒動は、案の定、元の木阿弥のまま、何ひとつ変わらず、党に混乱の痕だけを残して収束した。
騒動のきっかけは、3月17日付の産経新聞に掲載された次の「生方インタビュー」だった。
〈今の民主党は権限と財源をどなたか一人 が握っている。下に権限と財源が与えられていない状況はおかしいでしょ。党の代表である鳩山さんは、小沢さん(一郎幹事長)を呼んで党が中央集権になっていることをきちんと注意してほしい。1年生議員は民主党に入ったときから、強度の管理体制下に置かれているから、しゃべっていいものかどうかすら分からないんじゃないでしょうか。
(中略)
民主党への信頼が低下している要因には「政治とカネ」の問題もあります。小沢さんに関して、今までの説明に納得していない人が圧倒的に多数で、幹事長をお辞めになるべきだという意見が多い。小沢さんがしかるべき場所できちんと説明するのが第一。それで国民の納得が得られなければ自ら進退を考えるしかないです。
国民は小沢さんが不起訴になったから全部シロだとは思っていないんですよ。おそらく説明できないんでしょうね。小沢さんは前よりだいぶ権威づけられてきたというか、権力者になってきましたね。〉(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100317/stt1003170045000-n1.htm
この発言を「小沢幹事長批判」と理解した高嶋良充筆頭副幹事長は即応した。任意の副幹事長会議を開き、生方氏に辞任を迫った上で、事実上の「解任」を突きつけたのだ。
高嶋氏が許せなかった
生方氏の労組批判
高嶋氏と生方氏は、どちらも民主党結党以来のメンバーだ。だが、労組を母体とする高嶋氏と、96年、「新党さきがけ」からの合流組である生方氏とはもとよりそりが合わない。
二人は、同じ副幹事長というポストに就いたものの、当初からすでに「ギスギスした関係」(別の副幹事長)にあったという。同じ副幹事長がこう証言する。
「高嶋筆頭が本気で怒ったのは、産経新聞の後段部分の『労組批判』の部分ですよ。それを、体よく小沢批判に結び付けただけです」
労組出身議員の虎の尾とは何か。産経記事の続きを見てみよう。
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著者プロフィール
- 上杉隆
(ジャーナリスト)
1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、フリージャーナリストに。「宰相不在 崩壊する政治とメディアを読み解く」「世襲議員のからくり」「ジャーナリズム崩壊」「官邸崩壊 安倍政権迷走の一年」など著書多数。最新刊は「民主党政権は日本をどう変えるのか」(飛鳥新社)。
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