ここ数年、コロンビアのエメラルド鉱山から良質の原石が激減しています。
いくつかの鉱区では、歩留まりが悪く採算が合わないため、閉山してしまいました。
坑道もより深く、長くなり、採掘費用が上がってきたために、原石の価格が高騰しています。
しかし、良質の原石の絶対量があまりにも少なく、きれいなコロンビアエメラルドで大きな石は幻の宝石と呼ばれるようになりました。
今回、THE逸品でご紹介するエメラルドは、5年以上前に採掘されたものばかりで、デパートの宝石売り場や町の宝石屋さんではまず並んでいないと思います。
今となっては、コロンビアの首都・ボゴタの宝石市場では、滅多にお目にかからないものばかりです。
(スーパーバイヤー今橋)

1990年時点では300万カラットに達したとも言われる、コロンビアのエメラルドの産出量は世界市場の約80%を占めています。
かつて、南米大陸のアステカ王国の征服を目指し、上陸してきたスペイン軍による侵略とともに、コロンビアの名だたるエメラルドの鉱山は、開拓されていきます。
何世紀にもわたる支配と利権争いが絶えなかった「コロンビア産エメラルド」はまさに、人の心を捉えてしまう「不思議な宝石」であることは、間違いないでしょう。