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【神奈川】

『キダチタバコ』食中毒 別名『カラシダネ』で勘違い 

2010年3月25日

男性宅で栽培されていたキダチタバコ(市提供)

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 「カラシダネ」の別名に影響され、川崎市幸区の一家四人が毒性のある植物「キダチタバコ」を食用と勘違いして食べ、おう吐や手のしびれなどの食中毒症状となり、三人が入院していたことが二十四日、同市の発表で分かった。 (加賀大介)

 市健康安全室によると、キダチタバコは南米原産のナス科タバコ属で、観賞用に栽培されている。「カラシダネ」の名前で呼ばれることもあり、幸区の男性(32)と家族が十八日、自家栽培していたキダチタバコを「からし(マスタード)」と同種の植物と勘違いして食べた。

 男性と姉、両親が十八日の昼食に葉を天ぷらにして食べたところ、直後に吐き気やしびれなどが出て、姉以外の三人は入院する事態となったが、その後、四人とも回復した。

 男性は一年ほど前に知人からカラシダネとして種をもらったが、それがキダチタバコだったとは知らなかったという。

 キダチタバコは植物性毒に多い有機化合物「アルカロイド」を含む。ジャガイモの芽やトリカブトなどアルカロイドを持つ植物は多く、ニコチンやカフェイン、モルヒネなどもアルカロイドの一種。

 カラシダネと呼ばれる理由ははっきりしない。県立フラワーセンター大船植物園(鎌倉市)によると、植物図鑑などにも言及はなく、通称とも言い難いという。聖書の中で種が微粒で成長が早い植物として「からし種」の名があり、特徴が似ているため、こう呼ばれるようになったという説もあるが、はっきりしない。一方、マスタードや和がらしとなるシロガラシ、カラシナなどはアブラナ科だ。

 市は春の行楽シーズンを控え、ハイキングなどで持ち帰った毒性のあるキノコや山野草を食用と勘違いする食中毒が毎年あることから、「食用か分からない植物は絶対に食べないでほしい」と注意を呼び掛けている。

 

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