亡くなった吉田智樹ちゃん宅の玄関に供えられた花束。「天国で幸せになってね」と書かれた紙が添えられていた=24日、奈良県桜井市粟殿
奈良県桜井市の吉田智樹(ともき)ちゃん(5)が満足に食事を与えられず餓死した事件で、奈良地検は24日、会社員の父吉田博容疑者(35)とパート従業員の母真朱(まみ)容疑者(26)を保護責任者遺棄致死罪で起訴し、発表した。裁判員裁判で審理される。地検は両容疑者の認否について「裁判員に予断を与えかねないためコメントしない」としている。
起訴内容によると、2人は共謀し、智樹ちゃんが昨年9月ごろにはやせ細って衰弱していたのに、適切な治療を受けさせず、わずかな飲食物を与えたのみで放置し、今年3月3日に栄養失調で死亡させたとされる。
奈良県警によると、虐待は真朱容疑者が主導。調べに対して、智樹ちゃんについて「(このまま放置すれば)死ぬかもしれないと思った」と供述したという。その一方で、1日1回といえども食事を与える意思はあり、助けを求めて児童相談所の奈良県中央こども家庭相談センター(奈良市)に自ら虐待を通報していたことから、地検は死亡の可能性を認識していたとする「未必の故意」にはあたらないと判断し、殺人罪の適用は見送ったとみられる。