琴欧洲(右)を激しく攻め込む把瑠都=大阪府立体育会館
「大相撲春場所10日目」(23日、大阪府立体育会館)
大関とりがかかる関脇把瑠都が、大関琴欧洲を寄り切って全勝を守り、自身初の10連勝を飾った。13勝以上がノルマとされる大関昇進だけでなく、初優勝にも一歩近づいた。11日目は全勝の横綱白鵬と直接対決。9日目の魁皇に続き、大関戦で連勝し、大一番へ弾みをつけた。平幕の時天空が敗れ、1敗は大関日馬富士だけとなった。
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強い!強すぎる!!把瑠都の力量は、既に「大関」をはるかにしのいでいた。圧倒的な力で琴欧洲をねじ伏せた。
もろ手突きで押し込み、素早く左上手をつかんだ。右四つがっぷりに組み合い、一歩も引かぬ真っ向勝負を展開。上手を引きつけながら力ずくで寄り立て、最後は203センチの巨体をつり気味に土俵外へ追いやった。大関を相手に“力の差”を誇示し、「負けることなんて考えてないよ」と、余裕の笑みを浮かべた。
自身初の10連勝を達成。「腰を落とせているのがいい」と、強じんな足腰を快進撃の要因に挙げた。把瑠都を入門のころから知る整体師の谷平順氏は、把瑠都の筋肉は「中野浩一型」だと言う。谷平氏は、世界自転車選手権で10連覇した中野氏を現役時代に診ており、筋肉が柔らかくて瞬発力があるところが酷似していると説明した。
11日目は、白鵬との全勝対決。把瑠都は「(今場所の白鵬は)立ち合いがすごい。強いよね」と警戒しつつも、「大事な一番になる」と力を込めた。先場所は、12回目の対戦で初めて勝利。「思い切って自分の相撲を取れれば」と、臆するところはない。
「優勝は、あした(の一番)が終わったら言いますよ」。大関と初の賜杯の両どりへ、“世界の中野”級の豪脚で突き進む。
(2010年3月25日)