白鵬、綱の意地！把瑠都との全勝対決で完勝！…春場所１１日目

白鵬に上手投げで敗れた把瑠都（左）

　◆大相撲春場所１１日目　○白鵬（上手投げ）把瑠都●（２４日・大阪府立体育会館）　横綱・白鵬（２５）＝宮城野＝が綱の貫禄を見せつけた。大関取りを狙う関脇・把瑠都（２５）＝尾上＝との全勝対決を上手投げで制し１１連勝を飾った。優勝争いで単独トップに立ち、残り４日間も白星を重ね２場所ぶり１３回目の優勝で一人横綱としての責任を果たす。敗れた把瑠都は１３勝以上が大関昇進のノルマだけに、あと１敗しかできない厳しい状況に立たされた。

　さすが横綱だ。これが白鵬の強さだ。立ち合いで必殺の右四つ左上手を決め１９８センチ、１８８キロの把瑠都の突進を食い止めた。「投げを食っても返せる」。がっちりつかんだ右下手が勝利への確信だった。

　不動の横綱に把瑠都がしびれを切らす。強引に左から巻きかえた瞬間を逃さなかった。右上手をつかみ突進。とどめは上手投げだ。土俵下まで豪快に投げ捨て大関取りへの野望を打ち砕いた。今場所、平日で初の満員御礼が出た注目の大一番で綱の貫禄を見せつけた。「両まわしを引いていたので慌てずにいった」。２２秒５の大一番を振り返る静かな口調が、逆に強さを際立たせた。

　反省の白星だった。先場所は左から巻き替えられ、すくい投げで把瑠都に不覚を喫した。「同じ技を絶対に食わないようにと思った」。先場所と同じパターンで敵が攻めてきた時、天性の勝負勘がフル回転した。勝負だけでない。元横綱・朝青龍関（２９）が引退した今場所。横綱としての姿勢も見つめ直している。

　先輩横綱が暴行問題で引退した時、有力後援者から「実るほど頭を垂れる稲穂かな」の言葉を贈られた。厳しくも温かい助言に「周りに注意してくれる人がいないといけない」と痛感したという。朝青龍を反面教師にした姿勢が１１連勝を呼んだ。

　過去、１１連勝以上は６場所でうち４場所が全勝Ｖを決めている。単独トップに立ったこの日は夜に堺市内ですっぽんを食べてパワーを充電した。武蔵川理事長（元横綱・三重ノ海）は「取りこぼす雰囲気がない」と絶賛。「いつも通り」。一人横綱の責任を果たす２場所ぶりの賜杯を抱くまで不動の姿勢で戦い抜く。