ゆいレールを運行する沖縄都市モノレール(那覇市、比嘉良雄社長)は24日、9月から乗車運賃を20~30円上げると発表した。景気低迷による乗客の減少や財務体質の悪化など厳しい経営が続いているため。値上げは03年8月の運行開始以来初めて。同社は単年度の黒字目標や資金の調達方法など中長期経営計画を9月までに見直す方針も示した。
平均値上げ率は11%で、初乗り運賃は現在に比べ20円高い220円。例えば始発の那覇空港駅から終着の首里駅まで乗車した場合は30円高い320円となる。同社は値上げ率について「現在のバスの初乗り運賃や収支などを総合的に勘案した」と説明。7月上旬にも内閣府沖縄総合事務局に運賃改定を申請する予定だ。
値上げに伴い新たなサービスも提供する。一駅だけ乗車する「おとなりきっぷ」(仮称)の運賃は現在の200円から100円に値下げする。回数券の有効期限を現在の6カ月から無期限に変更するほか、休日に定期券を利用する顧客の家族の運賃を割り引く。
同社が値上げを決めた背景には観光客を中心にした利用客の減少がある。2月の乗客数は前年同月比3.7%減の約98万人と16カ月連続でマイナス。1日当たりの乗客数は3万5000人と、中長期経営計画に比べ5000人下回っている。
開業時の車両購入に伴う減価償却費負担なども収益を圧迫、10年3月期の最終赤字は約10億円となる見通し。累積赤字額は97億円、借入金も250億円以上にのぼる。
03年から30年間の中長期経営計画では11年度に単年度の黒字化目標を掲げるが、修正は必至。同社は本土のモノレールの経営などを参考にしながら、9月までに今後の増資方法や乗客目標など同計画を見直す方針だ。
ただ、今回の値上げだけで赤字体質からは抜け出せない。安全を大前提に人員配置の見直しや一段のコスト削減など企業の構造改革も求められる。同日、記者会見した比嘉社長は「抜本的な対策を打たないと会社として自立することはできない」と話した。
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