激励会で抱負を語った落合監督=名古屋市中区の中日新聞社で
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私はあえて言いません、「優勝」と…。名古屋市中区の中日新聞社で23日、中日ドラゴンズ激励会が開かれた。落合博満監督(56)以下コーチ、選手たちが参加した。開幕直前に行われる毎年恒例の本社激励会。落合監督は今年、いつもの優勝宣言を「あえて言いません」と、封印した。優勝は無理? とんでもない。これがオレ流の最高のV宣言なのだ。
いつもと様子が違った。年に1度、そして7度目となった「本社激励会」でのあいさつ。
「この6年間を振り返ると、例年いたるところで優勝、優勝と、あの2004年の戦力のないときでも優勝、優勝と、1人で騒いでました。この6年間で選手は勝つよろこびを知りました。それと代わりにここ3年間は負ける悔しさも十分に知りました」
あれ? いつもはここからV宣言へ。そんな恒例のフレーズをあえて封印したのだ。そしてワケを明かした。
「私の性格上、ものをしゃべってるときっていうのは、ある程度不安を持ってシーズンに臨みます。先頭に立つ者がものをしゃべって、奮起させなきゃいけない。そういう戦略があるものですから、大風呂敷を広げてきましたけども、今年のドラゴンズの選手に関して言うと、両方を知ってる。勝たなきゃいけない、負けたらどういうものが自分たちに跳ね返ってくるのか、と」
鼓舞しなくとも、敗北の痛みは骨身に染みている。そして勝利の味を、選手が欲している。
「それとシーズン144試合は長いです。でも案外気が付いていないのは、この1つのプレーで今年のシーズン台無しになるよ、っていうものがある。それを何人かの選手は気が付いて、こういうことをしちゃいけないんだということを発見してくれたと思います」
長い航路には落とし穴がある。はまれば終わり。そんな“ワナ”に感づく選手が増えた。
勝利への欲求が推進力となり、座礁を避けるかじ取りもできる。6年かけてタフな一団に成長した。進む先にあるのは、言わずもがな。ただひとつ条件がある。
「今年の選手に望むのは、1日1日のゲームを、もう足腰が立ちません、というくらい集中して、全力を尽くす。精も根も尽き果たして1試合、1日を終わる。で、ウチへ帰って英気を養って、また次の日にグラウンドに出て来て、くたくたになるまでゲームに集中して没頭して、そのゲームに勝ちにいく。その繰り返しを半年間やってくれれば、今までの経験からして、このチームが負けることはありません」
「監督がこの場でものをしゃべって、必ず優勝するとか、日本一になる、とか言うのを皆さん期待してるんでしょうけどね、私はあえて今年はそれは言いません」
やはり、決めぜりふのV宣言は封印した。それが自信の裏返しだ。
「2010年のペナントレースで、途中でギブアップする、そういうことはないと私は信じてます。それは私だけかもしれません。今、白井オーナーが(あいさつで)言ったように『スイスイスイ』とは恐らくはいかないでしょう。山あり谷あり。でも、最終的にゴールに飛び込めればいいかなと思います」
「今日提出した28人は、あくまでも3月26日にベンチ入りできるメンバーであって、マラソンに例えればスタートに立てた28人。リレーで言えば、誰が次のランナーに引き継いでいくのか…。そうやって入れ代わり立ち代わり、現在登録されている(支配下)66人、育成6人いますけども、このメンバーをうまく使いながら今年1年間を戦いたいと思います」
コマを使わせたら右に出る者はいない。覇権奪回の準備は整った。 (生駒泰大)
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