地元無視 住民憤り 普天間移設

なぜ今ごろ陸上案/約束守って 国民新党案に反発

2010年3月9日 09時38分この記事をつぶやくこのエントリーを含むはてなブックマークLivedoorクリップに投稿deliciousに投稿Yahoo!ブックマークに登録

 【北部・中部】「到底受け入れられない」―。与党国民新党が8日、政府に正式提案した「キャンプ・シュワブ陸上案」と嘉手納基地へ「普天間」を統合する「嘉手納基地騒音低減案」。地元の意思を無視するかのように進められる政府の検討作業に、移設先とされた住民らの怒りが広がった。

 辺野古移設を条件付きで容認してきた名護市商工会の荻堂盛秀会長は「なぜ、今ごろ陸上案なのか」と首をかしげる。「普天間の危険性を除去するため沖合への移設を認めてきたが、集落に近づく陸上案は騒音や危険性を移すにすぎない。移設先の住民も反対しており、到底認められない」と怒りをあらわにした。

 ヘリ基地反対協の安次富浩代表委員は、前提となる15年の期限付きについても「一度造らせてしまえば、何の歯止めにもならない」と実効性を疑問視する。同党の県選出衆院議員、下地幹郎氏に対して「辞職して、7月の参院選に出馬し民意を問うべきだ」と批判した。自ら具体案を示さない民主党には「鳩山首相は『最低でも県外』と言った約束を守ってほしい」と訴えた。

 キャンプ・シュワブに近い同市久志区で行政委員を務める森山憲一さんは「海外にはテニアンなど受け入れる場所があるのに、可能性を探る努力をしていない」と政府に不信感を抱く。「今でさえ射撃訓練で山は無残な姿になり、憤りを感じているのに」と怒り心頭。「14年たってもできなかった事実は、沖縄にはもう基地が造れないことを意味する。政府はいいかげんに分かってほしい」とあきれた。

 嘉手納町の宮城篤実町長は、国民新党の「嘉手納基地騒音低減案」に「外来機の飛来で騒音が増えている中、減ることは考えられない」と実効性を疑問視。「県選出与党国会議員が統合案を口にすることは県民の総意に反する」と述べた。

 嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会の野国昌春会長(北谷町長)は「国の案にならないと期待する」と強調。伊波洋一宜野湾市長は同飛行場を10年間閉鎖状態にするとした国民新党案を「沖縄の振興発展を阻害する。閉鎖返還はすみやかに実現すべきだ」と反論した。

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