人間が宇宙空間に晒されると破裂するのか?
SF小説や映画では多くの「宇宙空間(またはそれに類する真空に)防護なしで晒された人間」の描写を見つけることができます。目が傍聴して破裂したり,血液が沸騰して体が爆発したり,絶対零度に近い宇宙で瞬く間に体が凍ってしまったり...。
そのようなことが,実際に人間の体に起こるのでしょうか? 2001年宇宙の旅で,HALに宇宙船からロックアウトされ,宇宙空間を漂う乗組員の描写があります。著者のアーサー・C・クラークは,後に「人体はもっと強靱で,宇宙空間でもより超時間生存できるのではないか」と回顧しているそうです。
実際に人間が宇宙空間に晒されると何が起こるのか,ということについて,科学的な考証や実験結果などを交えてまとめた記事 Five Ways You Probably Wouldn’t Die In a Vacuum, and One Way You Probably Would(io9.com) が面白いので,ちょっと超訳してみます。
記事では,まずSF映画などで見かける描写や都市伝説のたぐいを否定することから始めています。
眼球が破裂する : ×
トータルリコールのアーノルド・シュワルツネガーのように,真空中で眼球がふくれたり破裂したりすることはない。水に10メートル潜ったくらいの影響があるだけ。気圧差で体が破裂することもない。なぜなら,体内には眼球や体を破裂させるのに十分な圧力がないから。
体が凍って死に至る : ×
宇宙空間に晒されて,運良く体が凍るくらい長く生き延びることができたとしても,体が凍ることはまずない。そもそも宇宙空間には空気分子や原子がほとんどないので,地上で寒い場所に居るときのように体温が奪われることはない。太陽の近くでエアロックからロックアウトされたのでもない限り,せいぜい起こるのは,体から逃げる熱の分だけ体温が下がることくらい。
血液が沸騰する : ×
液体を真空に置くと気化するが,それは液体が外部に晒されているから。体水分は皮膚や細胞壁に守られているので,沸騰することはない。目や口,鼻や下の方の穴から水分が失われたり,細胞壁をすり抜けて体水分が失われることはあるかもしれないけれど,沸騰することはない。
肺がずたずたに : :×
宇宙空間でも息を続けようとすれば起こりうるが,口を閉じていれば大丈夫。息苦しくなっても我慢すること。
窒息 : ×
人間が生きるためには呼吸をしなければならない。宇宙空間には空気がない。もちろん長く宇宙空間にとどまれば窒息してしまうけど,その前にもっと致命的なことが起こるので心配ない。
では何が起こるのか
真空中に動物を晒す,という実験をした結果,多くの動物が1分経たないうちに心不全を起こした。心臓が停止すると,毛細血管の圧力が低下し,真空によるダメージがより早く進む。対組織が壊れて体水分が真空に晒され,血液が沸騰し始める。ただし,多くのSF映画に急激な反応をみせるのではなく,人が住まなくなった家のように,朽ち果てるように反応が進んでゆく。もっとも,人間が宇宙空間に晒されると10秒から15秒ほどで気を失うので,自分の体が朽ちてゆくように死んでゆくのを見ずに済むはずだ。
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Googleのプログラミング講座 - C++,Java,Go,そしてPython
Google主催の勉強会の模様などを収録したビデオなど,プログラミングの学習に役立つ素材が こちらのページ にまとまっている。C++,JavaなどGoogle社内で活用されている言語の講座,Go言語の講座なども見ることができる。
中でも特に充実しているのがPython。Python Cookbookの著者Alex Martelliさんの Python Design patterns などを初め,いろんな講座のビデオがまとまっている。
Google's Python Class はWebで読めるPythonのチュートリアル。ビデオの素材と,文字の素材が対になっているので,英語だけど見ていて分かりやすいと思う。最後には 練習問題 などもある:-)。
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ぱいぱんつミ☆
PythonにはPyPi(パイパイ:Python Package Index)というサービスがあります。PyPiはサードバーティのライブラリ/モジュールのカタログサービスで,いわばPerlのCPANに相当するようなサービスです。
登録数は多く,似たような機能を提供するモジュールもあります。PyPiを使うPythonistaは,しばしば「モジュールのデキ」を判断する必要があります。
そんな時に便利なのが ぱいぱんつミ☆ です。「ぱいぱんつミ☆」は,モジュールやライブラリのデキをぱんつに模して評価してくれるサービスです。たとえば,テスティングツール nose について,ぱいぱんつミ☆を使って評価してみましょう。
ランクBと出ました。ampqという,AMQP用のクライアントライブラリをはランクAと出ます。ぱいぱんつミ☆的に評価が高いですね。
ぱいぱんつミ☆は,PyPiへの登録頻度,ダウンロード数,モジュールの構成が正しいかどうか,ドキュメンテーションやコードの質などを機械的に判別してランクを付けている様子です。最終的な判断は使う人本人がやるしかないのですが,前段階の取捨選択にはぱいぱんつミ☆は役立ちそうです。
なにより名前がステキですよね。ぱいぱんつミ☆。
関連リンク
ひどい誤解
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Be Pythonic ! - Pythonチュートリアル第二版
Python界では「Pythonic(パイソニック)」という言葉がよく使われる。
用例としてはこんな感じだ。
- 人のコードを読んで「このコードはPythonicだね」
- Pythonへの新機能の提案に対して「その機能はPythonicじゃないね」
Pythonicを一言で説明するのは難しい。無理してやってみると「誰もが正しいと考える、たった1つの方法をできる限り採用する(There should be one—and preferably only one—obvious way to do it)」となるかなあ(これはPerlの「TMTOWTDI(There's more than one way to do it)」に対するアンチテーゼとして生まれた言葉)。「import this」で表示される文言はPythonicだし, PEP8 もPythonicだ。selfはパッと見Pythonicじゃなさそうだけど, よくよくみると Pythonicだ。
PEP8なんかを見ると分かるけど,Pythonicな教条には,「エンジニアとして守るべき事柄」のうち「広く活用できるルールや教条」が多く含まれているとも言える。 Pythonのパラドックス を引き合いに出すまでもなく,「Pythonicな技術者」は優秀な技術者であることが多い。転じて,「Pythonicになること」は優秀な技術者になるためのルートであると言える。
Pythonicな技術者になるための一つの方法は,Pythonicな技術者と接することだろう。Pythonの仕様を作っているGuidoさんの書いた 「Pythonチュートリアル第二版」 がちょうど出たので,読んでみるといいと思う。
「Pythonチュートリアル」 はその名の通り,サクッと読めるPythonの入門書なのだが,随所にちりばめられたPythonの作者ならではの言葉がすばらしい。
例えば58ページでPythonでは式の中では代入が出来ないことに振れ,
Cプログラマの方はご不満かも知れないが,==を書きたいところで=を書いてしまう,という, Cのプログラムにおいて非常によくある問題が,これによって回避されているのである。
などいうことがさらっと書いてある。
他に例えば,121ページでosモジュールの説明部分。
「from os import *」でなく,必ず「import os」を使うこと。 これはos.open()がビルトインのopen()関数を隠さないようにするためだ。 動作が全然違うのだ。
というような感じ。
2つの例は「曖昧さの回避,明示的な記述」というPythonicなルールをよく表したコメントだ。明示的なコードは,Pythonに限らずどの言語でも,バグの混入率が低くなるとか,ポータビリティが増すとか,読みやすいとか,良いことがたくさんある。このように,技術者が守るべきルールをよく表した言葉が満載されている。他にも,PythonのスライスがIcon由来とか,クラス実装がModula-3やSmalltalkを参考にしているとか,言語の設計者ならではの言葉がちりばめられていて読んでいて楽しい。
気づきの多い書籍だ,というのが改めて読んでみた感想。よりPythonicになりたいPythonistaだけでなく,多くのエンジニアに読んでいただきたい書籍だと思う。
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