高木マニア堂
何となく思いついたこと、目についたことをツラツラと…。
106:エレキの若大将が不機嫌な理由とは?
<2007年9月=東スポ携帯サイトより>
私が人生で最も多く観た映画は一体何だろう? それは加山雄三主演の「エレキの若大将」(1965年・東宝=岩内克己監督)のような気がする。きちんと数えたことはないけれど。
泣ける映画や、人生の意味や意義を問うような小難しい映画は苦手だ。そんな私は昔から、頭を空っぽにしつつも十分に楽しめる「若大将シリーズ」が大好きだった。ボ~っとした夏休みや冬休みの気だるい午後にピッタリだ。昭和30~40年代独特の街並みや風俗も楽しい。出演者もいい味出した人が多い。それにスポーツ大会(京南大学と西北大学の対抗戦)の勝利で、強引にハッピーエンドになってしまうのも単純明快で気分良し。これぞ「娯楽の王道」だ。
特に「エレキの~」は音楽だけ聴いていても楽しい気分になる。時にBGVとして鑑賞しているのだが結局、毎回最後まで見入ってしまうのだった。
弾厚作(加山雄三本人)作曲の「ブラック・サンド・ビーチ」「ランニング・ドンキー」「夜空の星」「君といつまでも」など名曲を加山本人と“エレキの神様”寺内タケシ&ブルージーンズの演奏で聴けてしまう(日光和楽踊りまで登場する)この作品だが、昔から不思議に感じていたシーンがある。
まずは、よく指摘される矛盾点。日光の中禅寺湖畔で加山扮する田沼雄一が、友達以上恋人未満の澄ちゃん(星由里子)に向かって「澄子さんのことを考えながら作った曲があるんだ。聴いてくれる?」と、ギターで「君といつまでも」の弾き語りを始めるシーンがある。
最初はうっとりと歌声に聴きほれていた澄ちゃんだが「♪大空~染めていく~夕陽~色あせても~」の部分から、加山とデュエットを始めてしまうのである。えっ…初めてじゃなかったの?
米国の人気ドラマ「フルハウス」では、ミュージシャンのジェシーが「素晴らしい曲が完成したんだ。聴いてくれる?」と3人娘(姪っ子)の前で得意気に歌い始めると、途中から娘たちが大声で歌い始めてしまい、大抵、その曲はCMソングや過去のヒット曲を思い出したモノに過ぎなかった…という定番ギャグがあった。だが、それとは明らかに違う。
若大将シリーズはミュージカルの要素もあるし、そんなことは、ほんの些細な矛盾点に過ぎない。私が昔から本当に疑問に感じていたのは、ここで「君といつまでも」を歌う加山が、まるで苦虫を噛み潰したかのような不機嫌極まりない表情であることなのだ。歌の内容からして、もっとニッコリ、幸せそうに歌うべきではないか?(しかも画面は、このシーンだけ昔の“にせカラーテレビ”のように、画面前に青い下敷きを被せたような色合いになる)。
先月、加山自身の古希を記念してNHKのBSで放送された2時間番組「加山雄三 永遠の若大将」を観て、長年抱いていた謎が解けた。
番組内で星由里子、江原達怡(運動部のマネージャー・江口役)と再会トークを繰り広げた加山は、その矛盾について「だって、どう考えたったおかしいじゃないの? 初めて歌う歌を、澄ちゃんが歌えるワケがない」と口を尖らせて力説していた。もちろん撮影当時も、この演出に不満タラタラで、不機嫌なまま中禅寺湖畔での撮影を終わらせてしまったのだとか。田沼雄一は演技というより、ほぼ素の加山のままだったらしいが、ふてくされたままカメラの前に立つ若大将おそるべし。というか、それでOKしてしまう岩内監督恐るべし…。
劇中、テレビのエレキ合戦(ダジャレ好きな司会者は内田裕也!)に出場する「石山新次郎とヤングビーツ」のメンバーは田中邦衛、加山雄三、寺内タケシ、黒沢年男、二瓶正也(ウルトラマンのイデ隊員)と実にバラエティに富んだ5人組。全員が元気なうちに再結成して欲しいものだ。
もちろん司会は内田裕也で。
プロフィル
高木圭介のプロフィル
昭和44(1969)年6月4日、神奈川県川崎市生まれ。かつてジャイアント馬場さんも暮らした新丸子の街
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