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言論封殺の「暗黒政治」批判者を更迭、提訴、封じ込め
民主党の小さすぎる"ケツの穴"
(週刊朝日 2010年04月02日号掲載) 2010年3月24日(水)配信
こうした指示が何を生み出すのか。別の省庁幹部は、
「厚労省は、国民生活に直接かかわる役所だから、昔から様々な福祉団体とのシンポジウムやマスコミの取材を通じて、直接、フランクな意見交換をして、政策を模索してきた」
と言い、こう指摘する。
「長妻大臣の指示の結果、厚労省幹部は、マスコミ取材でも、シンポジウムなどでも、今や決まった制度を説明するだけで、外部の意見は聞き置くことしかできない。決まっていないことは、将来の政策見通しとしても、個人的な意見としても発言が許されない。ましてや、政治主導で決めた民主党の政策の問題点を官僚が認めることなどもってのほかだ。それで前向きな議論ができるとは思えない」
しかも厚労省関係者によると、長妻氏は、自分の意見に反対の意見を述べた局長に「大臣室出入り禁止」を言い渡したことまである。
決して一方的に官僚の肩を持つわけではないが、これでは、もはや役人は「脳みそを働かせず、意見も言わず、絶対服従せよ」と強いられているに等しい。その結果、長妻氏が意図しているかどうかは不明だが、匿名でも同省幹部の長妻氏や民主党への批判がメディアに出たら、執拗な犯人捜しが始まるという恐怖感が同省を覆っているという。
メディアも、決まったことを取材するだけなら、官報やホームページの閲覧で事足りる。省庁の幹部らを取材するのは、政策決定の過程でどんな議論があったのか、その政策に疑問点や問題点はないか、将来の見通しはどうか、などを明らかにし、役所の本音を探り、国民に伝え、場合によっては世論の力で政策を動かすためだ。民主党は報道対応を政務三役の役割とするが、各省庁ごとに数人ずつしかいないうえ、予算編成から国会答弁、各種行事まで担う彼らには、物理的に十分な対応の時間などない。
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