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言論封殺の「暗黒政治」批判者を更迭、提訴、封じ込め
民主党の小さすぎる"ケツの穴"
(週刊朝日 2010年04月02日号掲載) 2010年3月24日(水)配信
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党や最高実力者への批判は一切許さない。そんな今の民主党の体質をきれいに表す解任騒動だった。小沢一郎幹事長の独裁的な党運営を批判した生方幸夫副幹事長を解任し、鳩山由紀夫首相も支持したのだ。世論の反発を受けて撤回したが、身内の論理による批判の封殺は、今や民主党の十八番。“ケツの穴”の小ささばかりが目につく状況だ。
「党執行部への批判はあっていい。ただ、党の中では一切話をしないで、メディアに向かってすることは果たして潔いのかどうか」
生方氏解任が伝えられた3月18日夜、鳩山首相はそう語り、解任は妥当との見方を示した。小沢氏に近い細野豪志副幹事長も言った。
「確かに外部に発信して組織内部を動かすやり方も政治にはある。だから全否定はしないが、生方氏は週1回の副幹事長昼食会でも政調復活問題の会議でも、一度も発言していない。内部で意見を言って、聞き入れなければ外に向かって言うのが組織人としての筋だ」
要するに、いきなり外部で党を批判したやり方が許せんというわけだが、ここまで言っておきながら、23日になると、党内外の批判に慌てたように解任を取り消すバタバタぶり。それでも、批判を強権的に封じようとした事実は変わらない。
そもそも生方氏の発言は目くじらを立てるほどの内容なのだろうか。騒動の発端となった17日付産経新聞のインタビューでの発言骨子はこうだ。
(1) 与党に政策部門がないのはおかしい。自民党の中央集権を批判してきたのに、今の民主党の運営は小沢幹事長に党内の権限と財源が集中したまさに中央集権だ。
(2)1年生議員は党に入ったときから強度の管理下におかれ、しゃべっていいものかどうかすらわからない。
(3)政治とカネの問題で、小沢さんの説明に納得していない人が圧倒的。しかるべき場所できちんと説明するのが第一。それで国民の納得を得られなければ自ら進退を考えるしかない。
(4)北海道教組による違法献金問題は、一番上が(日教組出身の)輿石東参院議員会長。組合からあまりお金をもらってはいけない。
いずれも、すでに報道されていたり、世論調査で国民の多数意見になっていたりした批判ばかりだ。党副幹事長だから知り得た事実を暴露したわけでもない。仮に生方氏が党内で何も言わず、突然メディアで発言したとしても、せいぜい厳重注意で済む程度の内容だ。
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