NIRAから、福祉政策についての研究報告書を送っていただいた。基本的な考え方は、先日の片山さんとの議論とよく似ているが、政策としての実現可能性に配慮して具体的な提言をしている。その柱は、次の3つ:
ところが報告書も批判するように、派遣労働の規制を強化したり雇用調整助成金で過剰雇用の負担を企業に押しつけようとする民主党の政策は、低負担の「自由主義レジーム」と高福祉の「社会民主主義レジーム」のいいところをつまみ食いしようとする矛盾したものだ。それは2010年度予算で明らかになったように、財政破綻のリスクを高めるばかりでなく、世代間の不公平をさらに拡大する。
財政的な余裕のない中で、この報告書の提言するようなレジーム転換を行なうことは、きわめて困難である。問題は、民主党政権にそのようなアジェンダ設定さえないことだ。少なくとも支離滅裂なバラマキ福祉を「いのちを守りたい」などという美辞麗句でごまかそうとする鳩山内閣が退場しないかぎり、何もできないだろう。
- 政府による公平なリスクの社会化を実現する:高齢者世代へ偏った再分配政策のあり方を見直し、各世代がリスクを公平に分かち合うことのできる制度に変更する。給付に当たっては、ターゲティングの考え方に基づき、真に保障を必要とする人に限定した再分配を行うとともに、窓口における行政の裁量性を排除する。
- 市場メカニズムを最大限に重視した政策を実現すると同時に、市場での競争を支えるインフラ整備を行う:規制緩和をはじめとする市場メカニズムを活用した効率性重視の政策を実現し、企業の競争力を強化する。また、企業や個人がリスクを取ることができるように金融市場を活用したリスク・シェアや寛容な破産法制の整備を行う。
- 雇用規制による一律の保護ではなく、個人が自分にあった働き方を主体的に選択できるようにする:規制によって個人を保護するのではなく、個人が、自分に合ったリスクとリターンの組み合わせを選択し、主体性を発揮できる社会を築く。同時に、性別・雇用形態・年齢によって差別されない公平な社会を築く。
ところが報告書も批判するように、派遣労働の規制を強化したり雇用調整助成金で過剰雇用の負担を企業に押しつけようとする民主党の政策は、低負担の「自由主義レジーム」と高福祉の「社会民主主義レジーム」のいいところをつまみ食いしようとする矛盾したものだ。それは2010年度予算で明らかになったように、財政破綻のリスクを高めるばかりでなく、世代間の不公平をさらに拡大する。
財政的な余裕のない中で、この報告書の提言するようなレジーム転換を行なうことは、きわめて困難である。問題は、民主党政権にそのようなアジェンダ設定さえないことだ。少なくとも支離滅裂なバラマキ福祉を「いのちを守りたい」などという美辞麗句でごまかそうとする鳩山内閣が退場しないかぎり、何もできないだろう。
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コメント一覧
ベーシックインカムとリスクプレミアムを一対にしたセーフティーネットを構築すれば日本の雇用問題の大部分を解決できると考えます。問題は、それをやれる頭と力のある政治家がいるのか、ということでしょう。
とくにリスクプレミアムは、雇用する側に強制できないので、さしあたり政府関係でやるしかない。しかし、同じ仕事をするのであれば、正規雇用した公務員より派遣労働者のほうが賃金が大きいというような制度を、公務員の組合が受け入れるとは思えないのです。たとえば、国立大学で、常勤講師の給料より非常勤講師の給料を大きくする、といったことがやれるものでしょうか。自民党政権でもやれないと思います。
あまり言うと、もはや革命しかない、となってしまうので、これくらいで止めにしておきますw
あまり関係ないですけど、やたら極論を言う左右の人たちのために言っておきます。
民主党が、法人税を40%から30%以下に引き下げると言っています。もしも、一方で、年収1800万円以上の高額所得者の所得税を40%から50%以上に引き上げるのであれば、それは妥当な政策であると言えるでしょう。これが政治です。ただし、民主党に、そのようなプロフェッショナルの政治ができる政治家がたくさんいるとは思えません。私の見るところ、民主党なんて素人サークルの連合ですよw
中国ならこれらは現状に近いので誰も驚かないと思います。みんな何とか自らの力で人生を切り開いて生きようと努力しているからです。
死ぬほどの赤字国債を抱えた国民はいい加減に目を覚まして、このぐらいのことをやるのは将来の世代のために当たり前じゃないんでしょうか
秋
最近の鳩山さんの画像をみていると、なにか表情に覇気がないというか、それどころじゃない死相のようなものさえ漂っており、大丈夫なのか?という気になりますね。はやく禅譲して楽になればいいと思うのですが。それとも参院選で敗北するところまでいって、またネジレ現象で国会を空転させるつもりなのでしょうか?鳩山さんには、ここは冷静に空気を読んで、国益を考えた行動をしてもらいたいと切に思いますね。
>中国ならこれらは現状に近いので誰も驚かないと思います。
だから、国際社会は中国の経済的発展を手放しで評価出来ないのです。政治の自由化や福祉の充実無しに経済発展する前例を認める訳にはいかない…民主化はダメ、人権意識もテキトー、環境問題やる気ネー、そんな連中にカネ持たせてもロクなことにはなりませんから。
私は社会リスク対応コスト最小化の法則というものがあると思いますね。
社会に存在するリスクを、地方も含む政府で対応すべきもの、企業やコミュニティで対応すべきもの、個人で対応すべきものに仕分けします。
どういう観点でかと言うと、社会全体がリスクに対応するために要するコストの総額を最小にするという観点でです。
そういう社会が最も効率的な社会ではないでしょうか?
当然社会の状態によって違います。
例えば、農業の完全自由化、補助金全廃は低コストか高コストか?
農家はほぼ全滅でしょうから、十中八九高コストでしょう。
失業者を放置するのはどうでしょう?
社会不安等で逆に高コストになると思います。
コスト最小化で日本なりの全体最適を目指すべきです。
今はそこら中に落とし穴があって、勝ち組と言えども、いつはまるか分からない社会じゃありませんかね?
http://www.dir.co.jp/publicity/column/091005.html
http://www.dir.co.jp/publicity/column/060629.html
ikuside5さん、次の参院選は前哨戦。天王山は来年の統一地方選です。
民主党も、バカな連中は別にして、鳩山さんや小沢さんはそれくらいのことは分かっていますよ。これは自民党も同じです。私は、参院選後に今の執行部に退陣していただいて、河野さんを総裁にして来年の統一地方選に勝って党勢を挽回したいですね。
それから趙秋瑾さん、そういうことをしているから、中国では年間何万件もの暴動が起きているわけじゃないですか。孟子思想の強い日本で年間何万件もの暴動が起きれば革命になってしまいます。自民党の総会で石平さんが「中国人には中庸の精神がない」と言ってましたよ。演説では「中国人は民主主義がわかっていない」と言ってましたけどw
Jestemnekoさま、

良いか悪いかなんて議論は不毛です。
. 「中国人は民主主義がわかっていない」なんて話は、Jestemnekoさんご自身が一番良くご存知じゃないですか。ちょっと「らしくない」コメントじゃないかと思います。
それから日本で年間多くの(何万件はちょっと大げさかと思いますが)暴動がおきたら、日本では革命ではなくて、逆に反革命による強権政治が始まるのだと思います。革命は日本に似合いません。
Codebluelineさま、
経済発展を外国が手放しで褒めてくれることなんか中国はこれっぽっちも望んでません。望んでるのは自分たちが豊かになることだけです
「そんな連中にカネ持たせてもロクなことにならない」と言いながら、そんな連中がカネを持ち始めてるが一体どうしようか・・・と右往左往してるのはどこの国の方々でしょうか
秋
行政サービスは高いものを望み、税負担は少なく、国債の発行は最低限を守る。そのような今の「小さい政府」論は夢物語ではないだろうか。無論、行政の効率化は進められるべきだろうが、全てをそこに求める事は出来ないと考えるのが「知性」だと思う。
それ故、今の政治の閉塞を突破するために、消費税の大幅増大を提言したい。何故なら、あらゆる政治的選択が財源をボトルネックとして現実化出来ないからだ。消費税率を守って、政治がこのまま麻痺した状態を続けるよりも、20パーセントの消費税率で夢ある安心で明るい未来社会を描きたいものだ。
介護や医療、福祉、年金、教育などで或いは貯金がなくともまともに暮らせる社会。そんな社会が実現すれば将来に備えて本当に必要かどうか分らない貯金をする必要も無くなるから、みんな気軽に消費行動が取れるようになるのではなかろうか。例えそれが二割増の値段であっても。
ジャオ様、日本では、かなりの極論なのでしょうが、この件に関しては、同意見です。現状の社会福祉、医療の現状はひどいものです。傷病手当金などの休養保障などは大企業、地方公務員など言ったものがち。働かないで診断書だけで年間数百万円保障されている人など山ほどいます。本当の病気なら仕方ありませんが・・。偽装の母子家庭にして医療費無料にしたりは、当たり前。地方財政も健保組合も、持つわけがありません。ただ池田先生のおっしゃるところの民主党の、こういう体質は選挙前からわかっていたことではないでしょうか。テレビがそれを隠蔽し続けてきて、大多数の国民がまだまだワイドショーの誘導のまま投票してしまう、そのことが日本で一番の問題なのではないでしょうか。
趙秋瑾さん、私が言ったのではなくて石平さんが言ったのですよ。先日の自民党の総会に来賓として出席して講演されたのですが、なんでも、立川市で金美齢さんが講演するのを立川市在住の中国人たちが妨害したとか。それで、金美齢さんの考えに反対なら自分たちも立川市で講演会を開いて言えばいいじゃないか、抗議行動で他人の言論を妨害するのは中国人が民主主義を知らないからだ、そんな連中に地方参政権を与えてはいけない、と言ってました。
石平さんは鎌倉時代に同じ四川省出身で来日した高僧をすごく尊敬しているようです。それで、中国共産党=元朝みたいに思っているところがあるようです。天安門事件で殺された友人たちのことがあるのでそうなってしまうのでしょう。天安門事件の激しさから見れば日本の全共闘運動への弾圧なんてたいしたことないわけで、石さんには何も言えないですよ。
Mtcrkさま、

私のは極論と言うよりホントに暴論です。でもこの方向へ行くべきだと言うことは信じています。
労働契約については、特に公務員は5年の有期契約で更新をしていく方が、どうしようもない人まで隠して抱えている現在の自治体も助かると思うのですが。
先日、ちょっとした検査に病院へ行ったのですが、とにかく老人が多くて3時間以上も待たされました。お爺さんお婆さんたちはヒマそうにお喋りしてるのですが、私は午前中だけ休ませて・・・と上司に無理を言っただけに時間が経つのが気になってジリジリしました。病院に老人の患者が多いのは仕方ないですが、せめて水曜と金曜は55歳以下の患者に限るという「現役診察の日」を設けてくれてもいいと思います。
Jestemnekoさま、
そそっかしい私の早とちりで失礼しました。
Taquonossさま、
私は「行政サービスは最低限、税負担はかなりやって、国債償還を進める」というのが日本が向かうべき方向だと思っています。おっしゃるような消費税の大幅増税は一つの具体的なやり方だと私も思います。
秋
>9. taquonoss 2010年03月24日 00:46
行政サービスは高いものを望み、税負担は少なく、国債の発行は最低限を守る。そのような今の「小さい政府」論は夢物語ではないだろうか。
「小さい政府」を経済学的に定義して下さい。文学では世の中を適切に診断できませんよ。