2010年3月24日 16時50分更新
24日、沖縄県の仲井真知事は沖縄県庁で記者団に対し、「鳩山総理大臣は最近まで県民の期待に応えたいという趣旨の発言をしたり少なくとも選挙中には、基地は県外にと言っていた。県民の期待はいやが上にも高まっているので県外移設に向けてしっかりやって頂いていると思うが、いずれにしてもどのような検討状況になっているかは政府からきちんと話しを聞いてみたい」と述べました。
沖縄県名護市の稲嶺市長は、記者団に対し、「これまでもずっと陸も海もだめだと言ってきたので、今さら陸上案だと言われても地元住民も県民も受け入れられる状況でない。政府はいつもゼロベースで検討と言うが県外への移設をきちんと検討した跡が見えないのはおかしい。そもそも、普天間基地の危険性を除去するというのがこの問題のスタートなのに、基地の継続使用も検討するというのは問題のすり替えで、理解できない」と述べました。
その上で記者団が、政府が移設に向けた交渉を持ちかけてきた場合、どうするのかと質問したのに対し「交渉であれば、応じない」と述べました。
沖縄県うるま市の島袋俊夫市長はうるま市役所で記者団に対し、「政府が約束したことをいかに履行するかを沖縄県民も国民も注目しているので、それに沿った結論を出すべきだ。うるま市にはアメリカ軍と自衛隊が関連する基地があまりにも多く、これ以上、基地を受け入れることはできないし、地域の経済振興は観光などで図っていきたい」と述べ普天間基地の移設受け入れに反対する考えをあらためて示しました。
普天間基地の地元、沖縄県宜野湾市の伊波洋一市長は記者団に対し、「政府はだいぶ迷走していると思う。名護市長選挙の結果や沖縄県議会が全会一致で県内への移設に反対する決議をしていることを踏まえれば県内への移設はできないということを日米両政府は理解すべきだ。また、新たな基地を建設すると環境アセスメントや住民の理解を得るのにあと10年はかかり、県内移設は危険性の除去を放棄することにしかならない」と述べました。
また、きのう鳩山総理大臣が参議院予算委員会で普天間基地の機能を移設した後も有事の際には普天間基地を使用することを排除せずに、検討していることを明らかにしたことについて、「普天間基地が放置されるのはありえない話だ。14年も前に全面返還に合意しているのに、危険性をこれ以上放置したら日米両政府は笑いものになるのではないか」と批判しました。
アメリカ軍キャンプシュワブがある沖縄県名護市辺野古では、以前の移設計画を容認していた住民からも反発する声が上がっています。
このうち68歳の男性は、「前の政府の移設計画は容認していた。しかし基地の陸上部分に移設されれば、航空機が集落の上を飛ぶのは避けられないので、それが一番怖い。陸上への移設はやめて欲しい」と話していました。
一方、65歳の男性は、「陸上への移設は普天間基地がこの地域にそのまま来ることになるので、基地のたらい回しだ。キャンプシュワブ沿岸への移設にも反対してきたが、さらに危険性が大きくなるので論外だ」と話していました。
また、84歳の女性は、「基地は戦争のための施設なので、沖縄戦の体験者として、陸上でも海上でも絶対に移設は許せない」と話していました。
アメリカ軍基地ホワイトビーチを抱える沖縄県うるま市では、基地の移設に反対だという意見が聞かれました。
このうち自営業の50代の男性は「基地は無いほうがいいです。私は嘉手納基地に近い地域に住んでいるがうるさいので、あのような基地がさらにこちらに移動してくると考えると反対です。市内はほとんど基地に囲まれていますから、みんな嫌がっていると思う」と話していました。
また、40代の女性は「沖縄だけに基地を造るのは反対です。ただ基地で働いている人も多いので複雑な気持です」と話していました。
アメリカ軍基地ホワイトビーチ近くにある沖縄県うるま市の平敷屋漁港では漁業の男性が「基地の建設には反対です。沖縄特産のもずくの生産が沖縄一なのにここに基地を造ったらダメになります。海には何も造るべきではないし汚さないほうがいい。子や孫のためにも海を守っていかなくてはいけないと思う」と話していました。
政府が普天間基地の移設問題で沖縄県内への移設案を軸に検討を進めていることについて、地元の沖縄県宜野湾市では衆議院選挙前の約束と違うといった意見や県内移設には反対だといった意見が聞かれました。
このうち70歳の女性は「選挙前は『基地は県外に』と約束していたのにおかしな状況だと思う。アメリカという相手のある話なので一概には言えないが沖縄に住んでいる者としては県内への移設はしてほしくない。安全に生活ができる沖縄県にしてほしい」と話していました。
また27歳の大学生の男性は「県内中心の議論はありえない。沖縄がこれまで長く基地で苦しんできたのに、沖縄に引き続き基地を抱えさせようというのはおかしいというのが本音です。基地問題を沖縄だけで考えるのは限界があり、日本国民全体で考えるべき問題だと思う」と話していました。
さらに35歳の会社員の女性は「はじめは『基地は県外に』と言っていたのに、どうなってしまったのかという感じだ。結局、県内に移設しても被害を受ける人がいると思うので県内への移設は反対です」と話していました。