望 〜都の空から
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【今日の読み物(スコープなど)】<スコープ>迷走招いた首相“口約” 期待あおり傷深く2010年3月24日 紙面から 政府が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県外移設を断念し、結局は沖縄県に負担を求めることになった。鳩山由紀夫首相が県外・国外移設を訴えた昨夏の衆院選から半年余、政権は迷走を繰り返した末に、公約を断念せざるを得なくなった。首相の口約束の「軽さ」が厳しく問われる。(竹内洋一) 首相は二十三日の参院予算委員会で、五月末までに決着させると対米公約した普天間問題について「生きるか死ぬかの大きな論争、激論の中で最終的に国民の皆さん、特に沖縄の皆さんにも、さらに米国にも理解していただくものに仕立て上げていく」と述べ、その覚悟を強調した。 普天間問題を大論争にしてしまったのは、首相にほかならない。民主党マニフェストは米軍基地の在り方について「見直しの方向で臨む」とだけ触れていた。当時、幹事長だった岡田外相が、米軍キャンプ・シュワブ(名護市辺野古)沿岸部に移設する現行計画の容認も視野に、まとめた文言だった。 首相は自身の判断でマニフェストを越えて「最低でも県外」と踏み込んだが、政権発足後に政府で県外移設が現実味をもって検討された形跡はない。シュワブ陸上や米軍ホワイトビーチ(うるま市)沖埋め立てといった県内案が軸になった今、首相の「口約束」はむなしく響く。 政府は、那覇市に内閣官房の沖縄連絡室分室を新設して振興策に力を入れる。「アメ」と引き換えに沖縄に負担を求める姿勢に映る。 北沢俊美防衛相は記者会見で県内を念頭に「受け入れ先には、かなり丁寧に事前に説明する必要がある」と配慮を示した。 だが、首相が県外移設への期待感をあおった分、沖縄の落胆は大きく、反発は強まっている。移設先に挙がる名護、うるま両市では市長が受け入れ拒否を表明し、議会も反対の意見書を可決した。県議会、仲井真弘多知事も強硬姿勢だ。 首相は大詰めの局面になって「県外はなかなか今の環境としては難しい」とようやく認めるようになった。県内移設で決着を図る以上、沖縄の反対を押し切る形になる。県外移設を唱える社民党は、連立離脱を辞さない構えだ。代償は、すべて首相が負わなければならない。
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