西日本新聞

完全養殖マグロ 世界初の量産化 天草の会社、米へ本格出荷へ

2010年2月25日 00:14 カテゴリー:経済 九州 > 熊本

 熊本県天草市の水産加工会社「ブリミー」(濱忠臣社長)が24日、近畿大学水産研究所(和歌山県)と提携し、人工ふ化の卵を親魚に育てた完全養殖のクロマグロの量産化に世界で初めてめどをつけ、近く米国への出荷を本格化させると発表した。クロマグロは欧州を中心に漁獲規制を求める声が強く、同社の取り組みは安定供給と資源保護の両面から期待される。

 同社によると、2007年12月、人工ふ化させた稚魚1500匹(体長約40センチ、重さ約1・2キロ)を近大から購入。八代海の大型いけすで約2年間かけて、親魚(体長約1・2メートル、重さ約40キロ)に育てることに成功した。稚魚は毎年購入し、現在1万匹を保有。2年後には年間約7千-1万匹出荷できる運びで、約10億円の売り上げを見込む。

 回遊魚のクロマグロは動きが激しく、いけすでの養殖は困難とされる。しかし、同社はブリの養殖技術を生かし、大型いけす5基(40メートル四方、深さ約20メートル)を設置。網を汚すことで魚に障害物があると勘違いさせて衝突事故を減らし、約50%とされる生存率を80%近くまで高めた。八代海の水温の高さや水質のよさも有利に働いたという。

 クロマグロの養殖は天然幼魚の「ヨコワ」を捕獲して育てるのが一般的だが、ヨコワの減少も懸念されており、同社の濱隆博取締役は「技術がある程度確立できた。養殖マグロの人気が高い米国出荷に力を入れ、将来は国内出荷も検討したい」と述べた。

■完全養殖

 人工ふ化させたクロマグロを親魚に育て、産卵させるサイクルを人の手で行う技術。クロマグロはふ化から親魚になって産卵するまで約3年が必要とされる。近畿大水産研究所は2002年、世界で初めて完全養殖に成功した。近大は国内7社に稚魚を販売しているが、本格出荷に乗り出すのはブリミーが初めて。

=2010/02/25付 西日本新聞朝刊=

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