白鵬が押し出しで豊ノ島を下す=大阪府立体育会館
「大相撲春場所9日目」(22日、大阪府立体育会館)
横綱白鵬が豊ノ島を手玉に取った。左腕をきめ上げ、相手が残そうとした瞬間に押し出し、初日から9連勝とした。大関昇進を狙う関脇把瑠都は大関魁皇を倒し、今場所初の大関戦をクリアして全勝を守った。平幕の時天空が敗れたため、全勝は白鵬と把瑠都の2人だけとなった。
◇ ◇
豊ノ島の左腕を白鵬が抱え込む。手前に引っ張り込む動きで相手を崩すと、すかさず跳ね上げた。150キロの豊ノ島の体は宙に浮き、俵の上まで吹き飛ばされるとバランスを崩して土俵外へ。横綱が仕掛けた前後の揺さぶりだけで勝負が決まってしまった。
決まり手は「押し出し」だが『吹き飛ばし』と言ってもいいほどキレがある一撃。白鵬は「あれで決まるとは思わなかった」と話しており、流れの中のつなぎの攻めで、豊ノ島を浮かせる威力があったことになる。
「うまいところを絞ったんじゃない」。快勝をサラリと振り返ると「相撲は力比べじゃないから。使い方ですから」。立ち合いは激しく突き放したが、中に入られるやいなや技能的な相撲に切り替えた。充実ぶりを証明する一番となった。
全勝は把瑠都と2人だけ。ライバルを「自分の相撲を取りきっている印象。今場所は違いますよね」と警戒した。場所前、「壁になる」と宣言しただけに、直接対決までは一つの星も取りこぼせない。
(2010年3月24日)