仏ダッソー・システムズのベルナール・シャーレス会長(53)は昨年夏からアジア地域研究開発(R&D)センターをどの国に設立するか悩んできた。 船舶の初期設計から維持・補修にいたるまで造船所製作過程のライフサイクルを3次元(3D)で管理する次世代ソリューション開発が目的だった。 ソフトウエア(SW)基盤はインドが強いが、造船産業の競争力は韓国が断然世界トップだあるため、韓国内の候補地を物色した。 当初は世界屈指の造船会社が密集する蔚山(ウルサン、現代重工業)と慶尚南道巨済島(キョンサンナムド・コジェド、三星重工業・大宇造船海洋)の中間地帯である釜山(プサン)地域に注目した。 しかしダッソー・システムズが最終的に決めた地域は大邱(テグ)だった。
R&Dセンター設立協約式に出席するため最近訪韓したシャーレス会長は中央日報の記者と会い、「大邱は3Dソリューション開発で熟練した研究者が多く、造船業関連知識が豊富だ。 何よりも関係者の意欲的な雰囲気が気に入った」と述べた。 大邱市長が仏パリ近郊のベリジー本社を訪れて誘致活動を行った点も影響したという。 ダッソー・システムズのR&Dセンターは早ければ来月、大邱・慶北経済自由区域内の啓明(ケミョン)大キャンパス内にオープンする。 事実上、大邱地域に設立される、初めてのグローバル企業のR&Dセンターという。
5年間に360億ウォン(約30億円)を投資し、造船所の製品の寿命サイクル管理とクルーズ・ヨット・レジャーボートなど次世代造船業アイテムの発掘作業を行う。 すでに3-4人の専門家を確保し、20人余りの研究人材採用に入った。 シャーレス会長は「大邱R&Dセンターはアジア唯一の研究所で、世界20カ所のダッソR&Dセンターと連係してアジア地域の顧客会社を支援していく」と明らかにした。
大邱市と大邱・慶北経済自由区域庁はダッソー・システムズR&Dセンターの円滑な運営のためにできる限り支援する計画だ。 ダッソー・システムズR&Dセンターはまず採用候補の人材プールの提供を受け、採用後は研究員人件費の一部の支援を受ける。 ダッソー・システムズ・コリアのチョ・ヨンビン社長は「フランス本社では韓国の知的財産権保護風土が十分でないという理由で反対の声もあったが、大邱地域の公務員がこうした懸念を解消するのに力を注いだ」と述べた。
シャーレス会長は「造船所で使用する3D図面は50万件を超える情報が含まれ、小さな都市を一つ造成するのに必要な情報量に匹敵する。 それだけ該当産業に精通してこそ良いSWを作ることができる」と強調した。 シャーレス会長は「造船に使われる3D技術が航空技術とエネルギー・原子力発電などに幅広く使われるように韓国内の大学との研究協業を増やしていく」と述べた。