長崎市立江平中学校の男性校長(51)の自宅パソコンから、全校生徒や卒業生計約200人分の個人情報が、インターネット上に流出している可能性があることが分かった。流出情報には、違法にダウンロードした幼女や女子中学生の性的画像も大量に含まれていた。きっかけはまたもファイル交換ソフトだが、今回は新手のネット詐欺も絡んでいるという。
校長のパソコンは家族共有で、生徒の個人情報や指導内容、教諭の勤務査定に加え、妻や大学生と社会人の2人の娘のフォルダも含まれていた。さらに、ファイル交換ソフト「Share(シェア)」や「Winny(ウイニー)」で違法ダウンロードした多数のロリコン動画も同時に流出した。
ただ、今回の流出はファイル交換ソフトを狙う暴露ウイルスの仕業ではなく、ユーザーの間で「ロマンシング詐欺」と呼ばれるネット詐欺の延長だという。ファイル交換ソフトのヘビーユーザーが解説する。
「ロマンシング詐欺の一味は、ファイル交換ソフトのネットワーク上にウイルスを仕込んだフォルダを置き、それをダウンロードした者に個人情報を入力させます。その入力が完了した瞬間、画面は『ICO 国際著作権機構』という架空の団体のホームページに移り、今回のダウンロードが著作権に違反することを警告する画面が表示されるのです。そのうえで和解金の支払いを要求し、集金代行会社を名乗る『株式会社ロマンシング』の口座が表れます」
ニセ団体であるICOの画面には、直前に入力した個人情報や、パソコンで管理しているすべてのデータなどが表示され、これは支払いが確認されるまで削除されない。そのため、被害者は実際に“和解金”を支払う可能性が高い。校長の流出情報も、ICOのページにすべて列挙されていた。
「ウイルスが仕込まれているのはエロ系タイトルのフォルダとはかぎらない。今回の校長は、セキュリティーソフトのつもりでダウンロードしてワナにかかってしまったようです。ユーザーには、自分が違法ダウンロードをしているという負い目があるため、犯行は表沙汰になりにくいのです」(前出のユーザー)
夕刊フジは昨年11月、「ロマンシング」という名称を伏せたうえで詐欺の実態を報じたが、当時はIOCなどというインチキ団体のホームページは存在せず、1件あたりの要求額も1500円と少額だった。だが今回は、要求額が5800円にアップ。手口は巧妙かつ悪質化している。
夕刊フジは前回同様、ロマンシング社に電話取材を申し込んだが、やはり回答は得られなかった。