(cache) 静岡文化・芸術：島田みのる座“千秋楽”　山田洋次監督迎え上映会

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島田みのる座“千秋楽”　山田洋次監督迎え上映会

2010/03/11

　廃館となる島田市本通の映画館「島田みのる座」（１９１６年建築）で１０日夜、山田洋次監督を迎え、最後のフィルム映画上映会が開かれた。映画館としての“千秋楽”に立ち会おうと市内をはじめ、東京など県外からも大勢のファンが駆け付け、同市で撮影された山田監督作品「男はつらいよ　噂の寅次郎」（１９７８年）を観賞しながら名残を惜しんだ。
　みのる座の経営者、太田晴也さん（４９）らとトークショーに臨んだ山田監督は、太田さんの父で前経営者の修平さん（８０）と５０年前の映画館関係者のパーティーで出会い、その後に親交が深まった縁で“寅さん”を同市の蓬莱橋などで撮影したエピソードを紹介。「いつか島田に行こう、太田さんに世話になろうと決めていた。そして、素晴らしいロケ地を見つけた」と振り返った。
　閉鎖寸前の映画館主を主人公にした作品「虹をつかむ男」（９６年）のモデルの１人が修平さんで、映画に登場した映画館のセットは、みのる座をモデルに造ったこともあらためて説明した。
　山田監督は「映画館には住民に対する文化的な使命感があった」と単館の醍醐味（だいごみ）を強調、「みのる座にはよくここまで頑張ってくれた」とねぎらいの言葉を掛けた。近年では「母べえ」「武士の一分」なども同市周辺を撮影地に選んでいるとあって、地元エキストラに「映画は大勢でつくる芸術。参加した一人一人が自分の映画と思ってほしい」との願いも込めた。太田晴也さんは「山田監督に来ていただき、市民や商店街のボランティアに支えられ最後の日が一番輝かしい日になった。建物も映写機も“日本一幸せ”と喜んでくれたはず」と涙ぐみながら感謝の思いを語った。引退後も同館を見守ってきた修平さんは「市民の１人として、みのる座に長い間ありがとうと言いたい」と唇をかみしめた。

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山田監督（右から２人目）を迎え、観客にあいさつする太田晴也さん（右）と修平さん、淑子さん夫妻＝島田市本通のみのる座

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