野球

【日本ハム・ソフトバンク】二回裏日本ハム２死二塁、田中賢が左前適時打を放つ＝札幌ドームで２０１０年３月２２日、木葉健二撮影

　プロ野球はパ・リーグ３試合が行われ、日本ハムが今季初白星を挙げた。一回に４点、二回は１イニング全員得点の猛攻で１０点を加えた。二回の田中賢の１イニング２安打、２得点はパ・リーグタイ記録（多数あり）。ソフトバンクは右のエース、ホールトンが誤算だった。ロッテは１６安打で西武に大勝した。唐川は自己最多タイの１１奪三振、５安打２失点で完投勝利。西武・岸は３回５失点で降板した。オリックスは楽天に逆転勝ちし、１０年ぶりの開幕３連勝。六回にラロッカの左越え２ランで逆転すると、八回はカブレラが２試合連続本塁打となるソロ。四回から山本を継いだ岸田が６回１失点で勝ち投手になった。楽天は永井が踏ん張れなかった。

　◇日本ハム・梨田監督が監督通算５００勝

　今季初の白星をつかんだ日本ハム。梨田監督にとって、プロ史上２５人目の監督通算５００勝目（近鉄時代は３４４勝３３３敗１０分け）となる区切りの１勝でもあった。試合後、梨田監督は「２０日の開幕戦でやれれば一番よかったんだけどね」と照れ笑いを浮かべた。

　開幕戦から連敗を喫したうっぷんを晴らすかのように打線が打ちまくった。二回は打者１４人を送り、１イニング全員得点の猛攻で計１０点を奪う日本ハムらしいつなぎの野球を見せた。そんな中、梨田監督を最も喜ばせたのは４番・高橋のバットから快音が聞かれたことだろう。

　高橋は、右打ちなどつなぐ打撃ができ、勝負強さも備えながら開幕戦からの２試合は「らしさ」が消えていた。開幕戦からの２試合で９打数１安打３三振で、前日（２１日）の試合ではブレーキにさえなっていた。

　しかし、この日はまるで別人だった。二回１死満塁の場面ではカウント２ボール１ストライクからの４球目、ホールトンの外角高めの直球を迷いなくたたき、ライナー性の当たりで中堅手の頭上を襲う２点適時二塁打を放って打線の勢いを加速させた。

　結局、５打数３安打、３打点の働きぶり。高橋はなぜ、復調できたのか。

　ポイントは一回１死一、二塁で迎えた第１打席にある。高橋はホールトンの外角高めのカーブを打った。打ち損なったが、幸運にも打球は高く弾んで三遊間を抜ける左前適時打となった。その時、高橋は「奇跡、ミラクルが起こった」と思った。打席で球種を絞ることやタイミングの取り方などで迷いがあり、いつの間にか思い切りバットを振り切ることができなくなっていたが、この思いがけない安打をきっかけに迷いを吹っ切ることができたのだろう。

　４番が活躍し、昨年に続く開幕カード３連敗も避けられた。５００勝も達成していいことずくめの梨田監督は「今季、あと８７勝。自分の背番号の８８（勝）くらいが目標かな。優勝するのは最低８０勝はしないと」。昨年の覇者が連覇を目指し、その一歩を踏み出した。【田中義郎】