2009年に県内で発生した飲酒絡みの死亡事故は13件で、全死亡事故46件に占める割合は15年連続で全国ワーストとなったことが、県警交通企画課のまとめで22日までに、分かった。全人身事故に占める飲酒絡み事故の割合が20年連続、人口千人当たりの飲酒運転の摘発件数も全国ワーストだった。(湧田ちひろ)
県警によると、昨年一年間の全人身事故は6324件(前年比185件減)、うち飲酒絡みの事故は125件(同3件減)で占める割合は1・98%。全国平均0・82%の約2・4倍となっている。
県内の飲酒運転の摘発件数は1725件で、人口千人当たりでは全国平均約0・32%の3・8倍に上った。
飲酒が絡んだ事故の発生件数は年々減少傾向にあるが、全国に比べ割合は依然高い状態が続いている。
酒5杯 加害者に
自問「生きていいのか」
出所後は撲滅活動へ
「大丈夫かな」。少しの過信が大きな事故を引き起こす。24歳のミカさん(仮名)は、2009年、飲酒運転で道路を横断中の男性をはねて死亡させる事故を起こした。懲役1年6カ月の判決を受けた彼女が、事故を起こした当時の状況や胸の内を語った。
ミカさんはその日、レストランでビールを4杯ほど飲んだ後、居酒屋に移動しさらに1杯ほど飲んだという。飲み会が終わり、少し離れた駐車場に1人で、徒歩で戻った。
車中で30分ほど眠り、目が覚めて運転代行を呼ぼうとしたが、自宅まで約15分と近かったこともあり、「大丈夫かな」。一瞬、考えが頭をよぎった。歩いていたときはふらつきもせず意識もはっきりしていたと思った。
午前0時すぎ、自宅までのハンドルを握った帰路の途中、男性をはねた。気がつくと、パトカーの警官と人だかりができていた。「頭が真っ白」の状態で、警察から事情聴取を受けた。
事故後は、被害者のお墓参りや、自宅へ線香を上げに行った。「本当に反省しているのか」と、投げ掛ける遺族の怒りや悲しみは深かった。
「わたしは生きていていいのだろうか」。死んでわびることも考えたという。
家でふさぎこむ日々が続いたある日、テレビの特番で、飲酒運転の事故で母親を亡くした心理カウンセラーの真栄田絵麻さんが出演する番組を目にした。数日悩んだ末、連絡先を調べて、飲酒運転撲滅の活動に取り組む真栄田さんに電話をかけたという。
「なぜあなたが、こんな若い女の子がなぜなの? 飲酒運転の怖さを知らなかったの?」
真栄田さんは自らの体験を話してくれた。「どんなに悔やんでも、あの日に引き返すことはできない。泣くのはやめて、これからどのように償いをしていくか考えなさい」。そして、真栄田さんは支えになってくれることを約束した。
ミカさんは現在服役中で、社会復帰後は真栄田さんのもとで講演やサポートなど、飲酒運転撲滅活動にかかわりたいと考えている。
「これまで事故のニュースなどを見たときに、『自分の身にも起こりうる』という気持ちで受け止めればよかった」と悔やむ。
「わたしみたいな無責任な行動で誰にも命を落としてほしくない。飲酒運転が理由で被害者も加害者も出てほしくない」。自らが起こした罪の重さを背負いながら、これからの人生の道をどう生きるか、内省する日々を過ごしている。