宣誓サポーターの声 > お笑い芸人 ロザン 菅 広文さん 宇治原 史規さん

――芸人をめざしたのはいつですか。

高3の時です。本気で進路のことを考えるようになって、当時すごく仲がよかった宇治原を誘ったんです。2人でしゃべるのが楽しかったから、このまま一緒にしゃべれる仕事は何かって考えた時、「芸人や」って。高校が関西なんで、自分の中ではそんなに違和感なかったです。
宇治原 僕はそれまで、特に「お笑い」が好きというわけではなかったんですけど、菅に誘われた時は、「芸人になるのもいいなぁ、楽しそうやなぁ」と思いました。
誘った僕のほうが「ほんまにええの?」っていう気持ちで(笑)。ただ、もちろん簡単に実現するとは思ってなかったけど、なりたい度100%でしたから、やれると信じていました。
宇治原 それ以来、ほかの道は全く考えなかった。2人して、すごい勘違いと思い込みやったね(笑)。
「その自信はどこから来るねん」という感じなんですけど、自分を信じる力というのは、何を成すにもいちばん大事だと思います。

――宇治原さんは京都大、菅さんは大阪府立大に合格されていますが、受験時代は大変でしたか?

宇治原 思い返してみると確かに大変だったんですけど、当時はそれほど感じてなかったです。もちろん勉強はしました。でも、1か月やればいいという話ではないですから、無理をすると行き詰まる。自分ができる範囲でやっていくことが大切だと思っていました。
大学に行くんだから受験勉強やるのは当たり前。しんどいこともあったけど、「受験勉強は大変」と最初から思い込まない方がいいかなと思います。
それにしても宇治原は、どのタイミングでどんな勉強をするか、まず年間スケジュールを立てて、さらに1日のスケジュールも立てて、きっちりやっとったなぁ。
宇治原 無理のないスケジュールを立てることは受験勉強には欠かせない。だから、必ず休憩を取るようにするということまで管理していました(笑)。

――芸人をめざしつつ、大学に行くという選択をした理由と、進学してよかったと思うことはなんですか?

僕らの通っていた高校は進学率がとても高かったので、大学に行かないという選択肢は頭になかった、というのが正直なところなんですけど…。
宇治原 でも、大学に行ってみて思いましたけど、いろんな人間がいるんですよね。まずわかりやすいことだと、全国各地から人が集まってくるから、知らない地方のことが話題に上ったりする。あと当然だけど、学部が分かれているから、学内に自分が知らないことを学んでいる学生がいる。彼らと話していると知らない用語が出てきたりして、「え、何それ?」って。やっぱり、高校の時より、世界がグッと広がりました。
自分たちが通ってきた道っていうのは、自然と人柄に現れるんですよね。僕らにはそれぞれ「受験」というポイントがあって、それを通過してきた。ある時期に、あることに一生懸命になって、そこでは少なくとも結果を出した。その経験は僕らをつくっている一部だし、そうした内面が、芸人としての僕らの特徴になっているんだと思います。

――大学在学中は、芸人になるためにどんなことをしていましたか?

これはもう、ネタを考えて、オーディションに行くっていうことの繰り返し。週1回、受け続けて、受かるまでに1年半くらいかかりました。
宇治原 もちろん、落ちると嫌な気分にはなるけど、「次はどうしようか」と2人で話しているのも楽しかったですね。不安になることもなかったし、あきらめるという気も全くおきませんでした。
絶対、芸人になると決めていましたからね。僕らは「お笑い」の基本的なことをなんにも知らないところからスタートしたんです。だから、オーディションこそが「お笑い」の勉強の場。とにかくほかの人たちのネタをめちゃくちゃ見ていました。どういう時にウケるのか、合格した人たちのネタと自分たちのネタでは何が違うのか。何十回オーディションに落ちても、そのたびごとに2人で反省会をして・・・。ホンマに楽しかったです。

――2人で、将来の夢や目標について話し合ったりしたことはありますか?

芸人になるという思いは、もう確認するまでもなかったですから、具体的にどうするかということをよく話していました。やりたいことを言葉にすると考えが明確になるんですよ。だから、やりたいこととか、それをどうやって実現しようと考えているかを、人に話してみると思いますよ。何回か話してみると、いつも同じところがうまく言えなかったりする。そこが自分の中ではっきりしてないところ、つまり弱いところです。
宇治原 人に話すと、自分のすべきことを整理できますしね。ネタはいつも菅が書くので、僕はプレーヤー。だから後輩と話をしたりする時も、わざと自分がプレーヤーだということを言うんです。それによって、プレーヤーとしての仕事、つまり書かれてあるネタをどういうふうに演じるかが、僕の勝負になるんだぞ、って自分にプレッシャーをかけられる。何をしなくてはならないかがわからなくなりそうな時は、特に人に話してみるといいですよ。
言葉にすることで、協力してくれる人が増えていきますしね。僕は物事を考えることが好きなので、どうしても自分の考えにかたくなになってしまいがちなんです。でも人に話すと、ほかの人からの思いがけない助言がもらえたりすることがあって考えが広がりますね。
宇治原 同級生でも親でも学校の先生でも、目標や夢を話せる相手を見つけておくといいですよ。

――受験を前にした高校生にメッセージをお願いします。

宇治原 「受かる」「受からない」ということより、「やる」「やらない」が大事だと思うんです。僕は京大に受かった時、受かったことよりも、「できた!」ということの方がうれしかった。受験に向けて1年間きっちりスケジュールを立てて、その通りにやり終えたことが、すごく気持ちよかったんです。富士山に登った時くらいの達成感、爽快感でした。だから最初の目標をあやふやにせずに、「将来こういう仕事に就く」でも、「この大学に行く」でも、「こういうやり方で勉強する」でも、「1日何時間勉強する」でも…、とにかく、はっきりと決めてそれを実行する。「できた」という実感、「自分への約束を果たした」という喜びを感じてほしいですね。
受験生には、とにかく頑張れっていう言葉しかないです。定員より志望者が多い大学に行こうとするなら、人に勝つしかない。ごちゃごちゃ言わんと、頑張ってとりあえず、受かってみよう! 一生懸命取り組む過程には必ず意味があります。ただ、実はそれだけでは、ホンマに夢を持って頑張ってる人間には最後に負けるんですけど。
宇治原 エッ! シビア!! なに、最後にキュッて締めてんねん!
だから、夢を持った方がええよっていう話やん(笑)。