THE BACK HORN
戦う君よ
山下達郎
希望という名の光
大塚 愛
ゾッ婚ディション
東方神起
時ヲ止メテ
Perfume
ナチュラルに恋して

POWER PLAY

2010/03/19

POEWR PUSH

毎月注目アーティストの一曲をピックアップし、
そのミュージックビデオをヘビーローテーションでオンエア!
2010年3月のパワープッシュアーティストは…
  • BACKNUMBER
無題ドキュメント
神聖かまってちゃん
RELEASE

ロックンロールは鳴り止まないっ / 神聖かまってちゃん

PROFILE

何もかもうまくいかない現代を生きる全ての"非"リア充へ、これがインターネット配信時代のレベルミュージックだ!
mono(リーダー,Key) 
の子(Vo&Gt,曲作り) 
みさこ(Dr&Cho) 
ちばぎん(Ba&Cho)
インターネットの世界から突如現れ、音楽業界に衝撃を与えたバンド「神聖かまってちゃん」。2ちゃんねるやニコニコ動画での奇行、無軌道で事件性の高いライブなど、センセーショナルな話題をたくさん振りまきながらも、聴いたこともないメロディと繊細な言葉でとにかく多くの人々の心を揺さぶりまくった楽曲たちが遂にリリース!
新人発掘番組「クラブサーモン」では12月のキングサーモンを獲得。
度肝を抜かれるライブアクトはもちろんのこと、MCも必見です!!

INTERVIEW

神聖かまってちゃん。その音や像をつかんでいかなくても、このあまりに独特なバンド名の響きに引っかかりを覚えている人は多いだろう。インターネットの動画配信を中心に活動し、バンドのありのままを曝すように生中継、パソコンの前に存在するリスナー(視聴者)と罵詈雑言が飛び交うカオティックなコミュニケーションを交わす。時にバンドの生命線を掌握するヴォーカル&ギター、の子が“ストリートライヴ”と称して渋谷や新宿に突撃し、それを制止しようとする警察と押し問答を繰り広げる様子さえも生中継された。そういった、何もかもがハプニング性にまみれたバンドのキャラクター性と、の子の辛酸を舐めまくった学生時代の記憶がなぜか、本当になぜかロックの本質と呼応し、ポップの魔法を引き寄せてしまったような中毒性に満ちた楽曲が人から人へ感染のように広がり、バンドはいま“歪んだ時代の寵児”のような注目を集めている。そして、3月のPower Push!は彼らの1stアルバム『友だちを殺してまで。』から、「ロックンロールは鳴り止まないっ」に大決定。本人たちに様々聞かせてもらおうと思ったのだが、残念ながら取材当日、の子は現れなかった。しかし、の子をそれぞれのやり方で理解する3人のメンバーにたっぷり話を聞くことで、神聖かまってちゃんというバンドの実体に迫った。

神聖かまってちゃん

今日は、の子くんが欠席なんですけど、彼が取材に参加するか否かはやっぱりそのときの気分によるところが大きいんですか?

ちばぎん(Ba):そうですね。そのときの気分で(笑)。
mono(Key):余裕があるときは大丈夫なんですけどね。今日はライヴ前だから気分がナーバスになっているというか。


了解です。でも、この3人のインタビューだからこそ聞けることもいろいろあると思うので、よろしくお願いします。まず、いま、ものすごい勢いで注目されているこの現状をどう受け止めてますか?

mono:まったく実感がなくて(笑)。なんでこうなったのか……。


自分たちの存在、音楽のどんなところがいろんな人に刺さってると思いますか?

ちばぎん:やっぱりメロディがポップなのと、歌詞も鬱というか、後ろめたい、暗いことを言ってるんですけど、それは誰にでも当てはまるというか。


確かにこのどす黒さは多かれ少なかれ誰の心底にも沈殿しているもので、それをものすごくいびつに、ポップに吐き出してますよね。だから、妙に引っかかる。

みさこ(Dr):そうですね。ポップさも鬱屈した歌詞も両極端というか(笑)。それでいて、なぜかミスマッチにならないというのは上手いなと思います。


上手いというのは、の子くんのソングライティングが?

みさこ:そうですね。曲づくりが。だから、若い世代じゃなくて、昔、筋肉少女帯が好きだったリスナーとかも聴いてくれたりするのかなって。


あと、ナゴム系(ナゴムレコード/80年代後半より日本のサブカルチャーを牽引した インディーズ・レーベル)が好きだった人とかも引っかかるだろうし。

みさこ:そうですね! バンドとしてまとまりはかなりよくないかもしれないですけど(笑)、きれいにまとまってるバンドではできないことをやってると思います。


の子くん、ちばぎんくん、monoくんの3人は幼稚園の同級生で、の子くんはその後小学校のときに転校していって、高校のときにまたmonoくんと再会したと。でも、の子くんは高校を中退するんですよね。

mono:はい。もともとあいつは軽音部に入りたいがために高校に入るみたいな感じだったらしくて。でも、軽音部は上下関係が厳しくて、1年のうちは楽器をもって練習したりできなくて。


くだらねえ〜。

mono:ですよね。それで、あいつはつまんねえから辞めるってなって。で、「軽音部辞めたら学校行く意味もねえからって学校も辞めるわ」ってなって。入学して半年足らずでドロップアウトしちゃうんですけど。僕は、あまり交流なかったし「じゃあ、音楽がんばってよって」って言ってお別れしたんですけど。


の子くんの、当時のパーソナリティというか、キャラクターはどんな感じだったんですか?

mono:すごく落ち着いてましたよ。ホントに、ふつうな感じです。
みさこ:いまも落ち着いてるときはすごく落ち着いてるんですけどね。


どんなときにスイッチが入るんですか?

ちばぎん:やっぱりライヴとか配信とか、人目につくところに出たときですかね。


それは防衛手段みたいな感じなんですかね?

ちばぎん:どうなんですかね? 本人はだいたい「記憶がない」って言ってますけど(笑)。
みさこ:1回スイッチが入っちゃうと、そこから計算じゃなくなるところもあるみたいで。自分でも制御が利かない感じで。


話を戻すと、どういう経緯でこのバンドははじまるんですか?

mono:僕も高校のころからバンドに興味をもちはじめて、ちばぎんとは小中のときに仲がよかったんで、バンドを一緒にやろうってなって。そのとき僕はドラムだったんですけど。あるとき、ちばぎんがいないときに、もうひとりのメンバーと練習でスタジオに入ったんですけど、そしたらの子も同じスタジオにいたんですよ。それが高校2、3年のときで。の子は常にバンドを組んでいたみたいで、「おおっ久しぶりだね!」ってなって。そのときあいつが「いまドラムがいないんだ」って言っていて。そのときは僕も「そうなんだ」って言って流したんですけど、その後ちばぎんとのバンドが空中分解して、僕も行くあてがなくなって。で、の子の言葉を思い出して、「ドラムまだ空いてる?」って聞いたんですよ。それが最初きっかけでした。


の子くんも「入りなよ」って感じだったんですか?

mono:「一緒にやりたいなら、とりあえずオリジナルがあるからそれを聴いて判断してくれ」ってデモをもらったんです。最初そのデモを聴いたときは「なんだこれ!?」って思ったんですけど(笑)。でも、ほかに行くあてもないし、ドラムが叩ければいいやって、軽い気持ちで加入して。


音にはあまり感じるものはなかった?

mono:いや……そのときは音もふつうにヴォーカル、ギター、ベース、ドラムだけの編成で。「なんだこりゃ!?」とは思ったんですけど、聴いてるうちに引っかかるものはあったんですよ。独特で……口では上手く言えないんですけど。ただ、僕は音楽を聴くときにけっこうメロディ重視で聴くんで。メロディがキャッチーなのがよかったというのはあります。


そこからどういう流れでキーボードに?

mono:そのときは僕がドラム、の子がギター&ヴォーカル、もうひとり女の子のベースがいて。ベースは何回もメンバー・チェンジして、それから1、2年やっているうちに音数を増やそうということになって、キーボードを入れようと。で、僕、キーボードもかじってたんで、「俺がやるよ」ってなって。


いろんな楽器ができるんだ。ライヴのときはギター弾くこともあるでしょ?

mono:全部中途半端なんですけど(笑)。楽器のなかでいちばん最初に手をつけたのがキーボードだったんですよ。姉貴がピアノのレッスンをしてたんで、家にピアノがあって。僕も遊びで弾いていたんですよね。で、ドラムが空くわけですけど、そこで頭に浮かんだのがちばぎんで。ちばぎんもドラムを叩けたので。


そうなんだ。

ちばぎん:僕はmonoくんとやっていたバンドを解散して、自分がギター&ヴォーカルのバンドをやっていて。でも、monoくんとは解散後も仲がよかったので、お互いのバンドの経過報告みたいな話をしょっちゅうしてたんです。で、しばらくしたらキーボードをやることになって、ドラムがいなくなったと。僕もスタジオで遊び程度だったんですけど、ドラムを叩いたことがあって。それでヘルプでいいなら、という条件でサポート・ドラムとしてこのバンドに入ったんです。


再会を果たして、の子くんがつくる曲にはどんな感想を?

ちばぎん:おもしろかったですね。サポートに入る前にライヴを観に行ったら、向こうから話しかけてくれて。いきなり「幼稚園のときキラカードを盗んでゴメン!」って言われて(笑)。


でたっ、キラカード(笑)。

みさこ:よく覚えてるなと!(笑)。
ちばぎん:ガンダムのキラカードをパクったらしいんですけど(笑)。再会早々そんなこと言われたんで「なんだ、こいつは!」って思って(笑)。それからほどなくして、みさこ さんが加入して、僕がベースをやることになって(笑)。僕、ギターとドラムは経験があっても、ベースははじめてだったので、かなり困ったんですけど(笑)。だから、ベースが楽しいと思いはじめたのは最近なんですよ。


それでも、ギター&ヴォーカルをやっていたバンドではなく、不得手なベースをやらなくてはいけないかまってちゃんに残ったのはなぜですか?

ちばぎん:メインでギター&ヴォーカルやってたバンドは時を同じくして解散して、かまってちゃんとは別のバンドからもギターとして誘いがあったんですね。インディーズ・レーベルに所属してるような、当時のかまってちゃんより先を行ってるバンドから。そこでなんでかまってちゃんを選んだかというと……なんかこのバンドは自分にしかできないことがありそうだなって思ったんです。そうとしか言えないですね。


やっぱりそこに尽きるんでしょうね。ところで、みさこさんの加入のきっかけは?

みさこ:はい。メンバー募集の掲示板を通じての子さんから「趣味が合うので一度会いませんか?」って連絡がきて。私がそのときに影響を受けたアーティストとして掲示板に書いていたのが、椎名林檎さん、Coccoさん、ゲーム音楽をつくってる植松伸夫さん、アニソンをつくってる菅野よう子さん、あと、戸川純さんとか、特撮。そこで「趣味が合います」ってレスがきたので、「どんな人なんだろう?」と思って(笑)。


カオスなサブカル臭を嗅ぎつけたのかもしれないですね。

みさこ:そうでしょうね! それで、の子さんとmonoくんとスタジオで会って。そのスタジオも私の馴染み深いスタジオだったから一瞬「釣りか?」って思ったんですけど(笑)、そんなことはなく。ただ、やっぱり会ってみてインパクトは強かったですけど(笑)。


どういう話をしたんですか?

みさこ:どういう音楽をやってるかとか、配信は知ってるか、ということも聞かれましたね。そのときにデモをもらって、後日一緒にセッションして、楽しかったので「よろしくお願いします」ということになったんです。


それが2008年ですよね。そのときからの子くんは配信に手を出していたんですか?

みさこ:私が加入するちょっと前にはじめていたと思います。
ちばぎん:そのときはけっこうひとりでやっていましたね。


いずれはバンドで配信をやると。

みさこ:そうですね。私は最初配信がどういうものかわかっていなかったんですけど、特に抵抗は感じなかったです。


ちばぎんくんとmonoくんは当初配信というやり方に対してどういう思いがありましたか?

mono:いやあ、単純に気分が悪かったですね(苦笑)。ネットの言葉が――。
ちばぎん:決していい言葉だけではないし、叩かれることも多いので。
mono:叩かれるのになんでわざわざこんなことやってるんだ、っていう。


ふつうはそう思うよね。

ちばぎん:配信をはじめてから、見る見るうちに閲覧者は50人、100人、150人って増えていったんですけど、それに比例してライヴハウスに来るお客さんが増えていったかというと、別にそうではなかったので。「ホントに意味があるのかな?」って思いながらやってましたよね。
mono:だから、半ばあきらめていたというか。どのみち25歳には就職しようと思っていたので、ネットでも観る人がいればそれでいいかっていう感覚になりましたね。ヤな気持ちのほうが強かったですけど。
みさこ:私は単純にやっていて楽しかったんですよね。もともと傷つきにくいのかもしれないですけど(笑)。あと、私はアニメをはじめ趣味がけっこう偏ってるので。配信を観てくださってる方は同じ趣味をもってる人が多いんですよ。だから、身の周りよりも趣味の合う人が見つかるんです。そういう意味ではコミュニケーションとしても楽しいんですよね。


の子くんは、なんで配信をするのかという説明を3人にはしたんですか?

ちばぎん:売名の手段という面もあると思いますけど、それよりも“配信をやっているバンド”という意味合いのほうが強いんですよね、の子のなかでは。とにかく誰もやっていないような新しいバンドにしたいと。そういうことはずっと言ってますね。
みさこ:あと、配信自体がバンド活動のなかでいちばん好きなんですよね、の子さんは。
ちばぎん:そうだね。むしろバンド活動より配信が好きなんですよね(笑)。配信が好きだからバンドやってるぐらいの。


3人から見て、の子くんは配信に何を求めてるんだと思いますか?

みさこ:“新しい文化”という意識がすごく強いんですよね。音楽はあたりまえにずっとあるものだけど、配信はいまだからこそ出てきた文化だから、そこに触れてることがワクワクするんだと思います。


音楽表現のさらに先にある居場所を探してたという感じなんですかね。

mono:うん、そういう感じだと思います。
ちばぎん:だから配信なしで、ライヴにお客さんがいないままバンドをやってたら続いてないと思いますね。
みさこ:の子さんは「ライヴハウスに行くぐらいなら、いまの子はネットカフェに行ってる。ネットカフェでいくらでもライヴなんか観れるから」って言ってますね。あと“ネットでの言葉”を信じてるんだと思う。人と面と向かって話すときは建前がついてくると思うんですけど、ネットで匿名で書かれてることは、相手の本音が見えるから。


ただ、そこに自ら向かっていくことはすごく勇気が要りますよね。

みさこ:そうですね。「叩かれる度にヘコむ」とは言ってますね(笑)。


だから、匿名性の高いネットの世界に飛び込んで、あえて自らを、バンドを曝して、生身の人間としての痛みを浴びようとしているとも言えるわけで。両方を行き来しながら、リアルを暴露していると言ったら大袈裟になるかもしれないけど。

みさこ:そういうところはあるかもしれない。ライヴでも「アンチ以外の声が聞こえるとどうしていいかわからなくなる」って言うんですけど、ある種の反骨精神で成り立ってるのかもしれないですね。否定されると腹が立つけど、そっちのほうがリアルだしっていう。


それがまた音楽になるっていう。

みさこ:ですね。


その感覚を3人は共有できてるんですか?

みさこ:仕切れてはいないです。理解があるからどうにかついていけてるぐらいの感じで(笑)。
ちばぎん:理解はしてるけど、納得はできないですね(笑)。
mono:納得はしてるっちゃしてるけど、やっぱ俺は違うかなあって(笑)。


でも、一緒にやりたいと思うのはの子くんがつくる曲が好きだし――。

みさこ:尊敬できる部分が多々あって。認めれない部分も多々あるんですけど(笑)。ただ、ホントに楽曲のセンスやライヴでの爆発力、一瞬一瞬にかける情熱みたいなものはすごいなと思います。マネできないというか。すごく簡単に説明すると、すごい子どもなんですよね(笑)。後先のことを考えないで突っ走るのもそうだし、ピンポイントで小さなことを気にするのもそうだし。


ピュアとも、残酷とも言える。

みさこ:その通りだと思います。


ふたりはどうですか?

ちばぎん:アーティストとしては尊敬できますね。人間としては最低だと思いますけど。
一同:(笑)。
みさこ:ただ、その最低の部分がなかったら、いいところもないかもしれない(笑)。
ちばぎん:そうやって思えるからついていけるというのはあります。
mono:僕は、尊敬したことないですね(笑)。


よくケンカするんですよね?

momo:まあ、しますけどね(笑)。なんなんすかね……付き合いが長いから一緒にやってるっていうのもあるし。いちばん辞めたいって言ってるのは、この3人のなかで俺なのは間違いないです。


でも、ギリギリの状態でいるのが楽しいんじゃないの?

momo:いや、楽しくはないですね(苦笑)。バンドを辞めちゃったらポッカリ穴が空くし、それが怖いんですよね。
みさこ:端から見たら、の子さんへの情があるんだと思いますけどね(笑)。monoくんがいちばん優しいと思うし、の子さんがよく言ってるんですけど。「自分のことをいちばん理解してるのはmonoくんだ」って。


人伝の告白(笑)。

momo:そんなこと言わなくていいよ!(笑)。


ライヴもまた、よくも悪くも常に不条理なハプニング性がついてまわっていると思うんですけど。

ちばぎん:はい、よくも悪くも(笑)。ホントに、配信もライヴも観ているお客さんにとっては何が起こるかわからないおもしろさがあると思うんですけど、僕ら自身も何が起こるかわからなくて。そこにどう対処していくかという(苦笑)。


それは、刺激ですか。

みさこ:はい、刺激です――。
ちばぎん:いや、僕らは不安ですね(苦笑)。
mono:僕はその不安をお酒でごまかしてパッパラパーになるんで(笑)。時と場合によっては、の子に便乗して(笑)。
ちばぎん:だから面倒くさいんですよ! もう、いいかげんにしろと。
みさこ:私は何が起こるかわからない、それをある意味第三者の視点で見てるというか(笑)。
ちばぎん:この人はなんも考えてないんですよ!


このバランスがいいんでしょうね、の子くんにとっても。客観的に楽しんでくれる人、一緒に壊れてくれる人、まとめてくれる人っていう(笑)。

ちばぎん:はい(笑)。たまに胃が痛くなるんですけど。
mono:(笑うしかない、という感じで)はっはっはっはっはっ。


単純に楽曲がいいというのも絶対的な魅力なんですけど、の子くんの超個人的な記憶や宇宙が、3人のフレーズが加わることでさらに奇妙な温度でダイナミックに、ポップになっているような気がする。

ちばぎん:ポップになっているのは、monoくんの力がデカいと思います。元のデモは、ピアノのフレーズとか不協和音が多いんですけど、monoくんがバンドの音に直すときにきっちり整理してくれるというか。
mono:う〜ん……の子のつくる曲は簡単なコードが多いんで、それに合わせてこのメロディがいいかなってつけてるだけなんですけどね。


の子くんの音楽世界に対する共感が出ているんじゃないですか?

mono:いや、共感ではないんですね。


の子くんが出せない、混沌のなかのピュアな部分をmonoくんのフレーズが代弁しているような気がするけど。

みさこ:そうそう! 私もそう思う。
mono:いや、そんな感覚ないですよ! ふつうにやってるだけなんです。逆に意識しちゃうからやめてください!


この1stアルバム『友だちを殺してまで。』は、神聖かまってちゃんの音楽世界とは何かが、もうヤというほど迫ってくるものになったと思います。

ちばぎん:やり切った感はありますね。


ストックのなかからこの7曲を新たに録り直して1stアルバムに入れた理由はなんですか?

ちばぎん:単純に、制作当時にライヴでしっくりきてた曲やお客さんに人気が高かった曲を選びました。そのとき考え得るベストな7曲ですね。
みさこ:そのときの勢いや粗さがすべて反映されてるというか。かまってちゃんの一瞬を切り取った“まんま”だと思います。ライヴもそうですけど、いまどんどん新しい音楽が出てきているなかでもちょっとほかにはない刺激が得られると思うので(笑)。それを感じ取ってもらえたら本望ですね。


このなかから「ロックンロールは鳴り止まないっ」が3月のPower Push!に選ばれたわけですが、1年前はまったく想像つかなかったことですよね?

みさこ:不思議ですねえ。すごく不思議。
ちばぎん:僕は親戚から連絡がありました。「なんか知らないけど、テレビ出てるよ」って。羞恥プレイです(笑)。


配信を主戦場にしていたバンドが、その歴史やキャラクター性を知らしめるようなこのミュージック・ビデオ(以下MV)で音楽チャネルをジャックするような痛快さがあって。

みさこ:そうですね。はじめて観る人にはインパクトが強くて、いままで追いかけてくれた人には軌跡を眺めることができる、いいMVだと思います。


いま、ここで何かが起こってる!っていう感じがすごくある。この劇的な歩みも含めて。

みさこ:そうですよねえ。現に私とちばぎんは去年まで正社員で働いてましたからねえ。


何をやってたんですか?

ちばぎん:僕はガテン系です。
みさこ:私は生命保険のセールス・レディです!


いまもバイトをしつつ?

みさこ:はい、バイトしてます。バンドの状況をいまいちつかめてないので(笑)。リアルな話をすると、monoくんは週決めシフトだからいいんですけど、ふつうの派遣バイトだと直前になって「明日休みたいんですけど」がやたらと多くなるので。派遣、キツいっすねえ(笑)。
mono:僕はカート回収のバイトをやっていて。お客さんが使ったショッピングカートをひたすら集めて片づける、それだけです。それを年下のやつらとベラベラしゃべりながらやってます。僕がいちばん年上なんでシフトも勝手に決められるんですよ。


でも、このアルバムを発売したらまた状況が大きく動くと思うんですけど、今後の活動をどう見据えていますか?

ちばぎん:いい意味で変わらずに。どう見てもカッコいいバンドではないと思うので、ダラダラしたMCとかもこのままでいけたら。
みさこ:そうね、等身大で!(笑)。
momo:変に力を入れても疲れるだけなんでね。


ぜひね、このまま日本の音楽シーンの必要悪のような存在に成り上がってほしいと思います。

ちばぎん:必要悪かあ。それ、いいですね!(笑)。


神聖かまってちゃん
text:三宅 正一
photo:後藤 淳

神聖かまってちゃん
神聖かまってちゃん 神聖かまってちゃん

みさこ
ハッピージャガビー
ジャガビーは歯ごたえがサクサクしていて美味しいのと、イモの味がしっかりするところが大好きです。しかも最近新しく“バターしょうゆ味”が発売されて、これもホントに美味しいです!

ちばぎん
ティラミス
基本的に甘いものが大好きなですけど、このファミリマートのティラミスはプチな感じがお気に入りです。値段も105円と安い!

神聖かまってちゃん  

mono
ハッピーターン
ハッピーターンを食べれば、ハッピーでターンしちゃうんです! ライヴ前、ウイスキーのツマミでよく買います。ウイスキーとの相性ですか? 全然合わないんですけど、酔っぱらってしまえば関係ないんです。